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約9,700万IDのビッグデータをマーケティングに活用――
“Rakuten Marketing Platform”のインパクト

楽天株式会社

楽天が発表した新たな広告ブランド「Rakuten Marketing Platform(RMP)」が話題だ。楽天の約9,700万の楽天IDと70以上のサービスに関連する購買行動の分析データをはじめとするビッグデータをマーケティングに活用できるというこのプラットフォームについて、同社の広告事業を取り仕切る有馬誠副社長執行役員チーフレベニューオフィサーに話を聞いた。

不透明だったネット広告の成果が購買分析データから明らかに

「これまで楽天が販売してきた広告は、ブランド広告主に向けたものもありましたが、インターネット・ショッピングモールの『楽天市場』に出店されているお店が売り上げを上げるためのものがメインでした。つまり配信から成果まで『楽天市場』の中で完結するものだった訳ですが、現在は世の中の状況がこれまでとは変わってきています。ECの取引高が増え、ブランド広告主にとってECサイトが非常に重要なチャネルになっているのです。そうなればECサイトに広告を出したいというニーズが高まるのは当然のこと。一言で言えば、今回の体系整理はそのようなニーズに応えるためのものなのです」
今年、楽天は、これまであった多くの広告プロダクトを整理し、「Rakuten Marketing Platform」という統一されたブランドのもと一元化する取り組みを実施。先のコメントは、楽天の副社長で、昨年10月同社と電通のジョイントベンチャーとして設立された楽天データマーケティング株式会社の代表取締役社長も務める有馬氏に、この取り組みの狙いを質問した際の返答だ。
「RMP」の最大の特徴は、楽天の約9,700万の会員IDに関連する購買行動の分析データなどをベースとしたマーケティングが実現できる点。これによりどのようなユーザー層が広告を閲覧し、購買まで達したかなどの行動が分かる――つまり広告がどれくらい売り上げに貢献しているのかが把握できるのだ。
また、楽天が展開する数多くのサービスが有機的に結びつく「楽天エコシステム」の中には、家電やファッション、ファストフードなど、多くの店舗が加盟する「楽天ポイントカード」が存在する。これによりオンラインとオフラインをまたいだデータの活用も視野に入っているのだ。

消費財メーカー垂涎のサービス「RMP – Brand Gateway」

「Rakuten Marketing Platform」で実現できることについて、もう少し具体的に説明しよう。
「RMP」には様々なプロダクトが用意されているが、そのうちの1つである「RMP – Brand Gateway」は、ブランド広告を対象にしたサービスで、「楽天市場」の中に専用コンテンツを設置できるというものだ。「RMP」のリリースに先駆けて昨年12月から展開しているが、既に多くの消費財メーカーなどに採用されている。
「まず、数多くの会員を抱える『楽天市場』の中に専用のメディアを置くことで、宣伝効果が期待できます。ただし、このサービスの本当の価値は、データが蓄積されるということ。そのコンテンツに接触したユーザーのデータが分かる。さらにこれは匿名での提供になりますが、類似製品との売り上げ比較なども可能です」(有馬氏)
その他にも「RMP - Go! Spot」というサービスでは、例えば「Super Point Screen」という楽天が提供しているスマホアプリと連携したオフライン店舗への来店促進施策が行えるという。
「Super Point Screen」は広告を閲覧するとポイントが獲得できるアプリで、現在100万ダウンロードを達成しているが、スマートフォンにオフライン店舗に誘導する広告を配信したり、GPSを使って店舗の近くにいるユーザーにクーポンを発行したりすることもできる。モバイルを活用したマーケティングへの期待は数年前から高まっているものの、成果につながる事例はそれほど多くない。ここにきてやっと実用に堪え得るサービスが登場した印象である。
いずれにせよ、「RMP」を活用すれば、これまでのようにデータを分析して結果を予想するのではなく、「購買」という事実に基づいたプランニングやアクションを行うことができるという訳だ。

思い込みからの気付きにより、売上げが140%向上

楽天ではこのプラットフォームを軸に、他社の様々なデータと連携していくことで、購買データを基点としたマーケティングを一般化させていく考えだ。そうなれば、インターネット広告そのもののあり方を根底から変えることになるだろう。
これまでインターネット広告の世界では、CPC(Cost Per Click)、つまりクリック数が評価の指標として用いられてきたが、これには問題もある。クリックが必ず売り上げに結びつくわけではないので、本当の広告効果を示す訳ではないからだ。またアドフラウド(ロボットなどにクリックさせ広告の成果を不正に水増しする詐欺)も見逃すことのできない問題である。
しかし、広告が購買データと結びつくことで真の成果を把握できれば、このような問題は解消できると有馬氏は説明する。
「我々が思い描く世界が実現できれば、評価されるべきメディアや広告がきちんと評価される健全な世界になる。そして、購買データに基づかないマーケティングは意味がないものになるでしょう。これで広告業界が夢見てきたことが実現できる。すべてのデータが揃うまでには、まだ少し時間がかかると思いますが、私自身これまでCPCだけで広告を売ってきたという反省もあります。だからこそ、これを実現するまではやめられないですね」
ヤフーの常務取締役やグーグルの代表取締役などを務め、日本のインターネット広告業界を黎明期から支えてきた有馬氏だからこその言葉だが、そんな同氏が「業界を変えるほどのインパクトがある」と語る「Rakuten Marketing Platform」のポテンシャルは相当なものだろう。今後、どのような展開を見せるのか?引き続き注目していきたい。

楽天株式会社

副社長執行役員
チーフレベニューオフィサー
有馬 誠 氏

楽天株式会社

設立
1997年2月7日
所在地
東京都世田谷区玉川一丁目14番1号 楽天クリムゾンハウス
事業内容
■インターネットサービス(市場事業、トラベル事業等)
■金融サービス(クレジットカード事業、銀行事業、証券事業、電子マネー事業等)
■その他・通信事業、プロスポーツ事業等
お問い合わせ先
https://adsales.rakuten.co.jp/inquiry/advertiser/start_step1.html