それでも逃げずに続けてきたからこそ、
今、演じることが楽しい。
映画、ドラマ、CMと大活躍をされている浜辺さんですが、芸能界入りのきっかけは2011年の「東宝シンデレラ」オーディションだそうですね。
浜辺はい。母が募集広告を見つけてくれて、自分がどこまでいけるのか試してみたいと思い応募しました。初めてのオーディションで、とても緊張したことを覚えています。
オーディションの時に、心がけていたことはありますか。
浜辺実は面接はあまり得意ではなくて。最初は、審査員の方と目を合わせることも怖いと思っていました。たくさん深呼吸して落ち着くこと、1人の方を凝視するのではなく、全員の顔をゆっくりと見渡しながら話をすることを心がけていました。今はようやく慣れてきて、質問されても素の自分で答えられるようになってきました。
女優という仕事に対する姿勢が定まったのは、いつ頃からですか。
浜辺自分の中で転機になったと感じている作品は、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(以降、『あのはな―』)という、アニメを原作としたテレビドラマです。デビュー4年目の2015年、中学2年生の頃でした。
「めんま」と呼ばれるヒロイン役をされていましたね。
浜辺はい。お話を頂く前から好きな作品だったので大切に演じたかったのですが、思うように体を動かせず、声も出なくて。泣くシーンで、監督から「涙はひと粒じゃなく、ふた粒流して」と指示されても、どうしていいか分からずに、何度もやり直しになったこともありました。どうしてできないんだろう、どうすればできるんだろうと考えてもうまくできない自分が悔しくて。2カ月に及んだ撮影期間中、何度も心が折れていました。結局、『あのはな―』では悔しい気持ちを残したまま撮影を終えてしまったので、期待に応えられなかった反省と共に「もっと、ちゃんと演じられるようになりたい」という強い思いが芽生えたんです。そこから女優という仕事に、本気で向き合う覚悟ができたと感じています。



「丁寧な仕事をしなさい」―。
幼い頃に聞いた祖母の言葉が支えに
そうした経験が、後に『君の膵臓をたべたい』で多くの新人賞を獲得した演技へとつながったんですね。
浜辺あの作品では、役を演じるだけでなく、お客様に作品を見ていただくためのプロモーション活動の大切さも学びました。作品づくりには、とても多くの人が携わってくれているので、責任も感じています。仕事の現場で心に留めているのは、まだ幼い頃、祖母に言われた「丁寧な仕事をしなさい」という言葉です。完璧にはできなくても、一つひとつのことに丁寧に向き合うことが大切で、そうした姿勢が結果につながると教えられました。一緒に折り紙をしていた時に言われたことですが、どんな仕事にも通じる心構えだと思って、大切にしています。
最後に、就活生に応援メッセージをお願いします。
浜辺私もオーディションで面接を受け続けた経験があるので、みなさんの緊張をまるで自分のことのように感じています。就職活動には、本当にたくさんの大変なことがあると思いますが、よく寝て、よく食べて、精神的に元気でいられる状態でいてくださいね。心が元気だと表情にも表れて、面接でも良い影響が出ると思います。気持ちを強く持って、頑張ってください!