InterSystems in Healthcare Seminar 2016 医療連携最前線〜国内外の先進事例から学ぶ

特別講演 地域包括ケアと情報システム

千葉大学予防医学センター 臨床疫学 教授 千葉大学医学部附属病院 地域医療連携部 部長 藤田 伸輔 様  特別講演には、千葉大学予防医学センター教授である藤田 伸輔氏が登壇し、世界の医療改革、日本の医療改革について詳しく触れた後、地域医療連携・地域包括ケア・21世紀型情報システムの将来像、あるべき姿について説得力あふれる講演を行った。

 世界と比較したときに、日本における「患者中心の医療」の実態は異質だと言う。
 「『患者中心の医療』というと、日本ではインフォームドコンセントだけに重きを置きますが、世界では、患者さんの『健康観』と『自由権』を尊重することを重視します。健康観とは、いま何をしたいか、それをできるかどうかで決まるものです。そして、自由権を考えるときに象徴的なシーンがあります。『車いす』を日本人が連想すると、多くの場合、誰かに押しもらっているシーンになりますが、それは欧州では考えられないことだと言います。自分で行きたいところに移動するための道具が車いすだからです」と、説明する。

 藤田氏は、「患者中心の医療とは、どのように健康観と自由権の尊重するのかということが大切であると共に、情報の共有、抑制の禁止、施設の廃止の3つがセットになったものです」とまとめる。

 藤田氏は、地域医療連携の流れを次のように説明した。
 「機能分化によって、機能向上が進み、自然淘汰されていくという流れは避けられないので、機能向上した上で、『連携強化』を進めなければなりません。具体的には、職種連携(カンファレンスの実施)、多職種連携(クリニカルパスの作成)、施設連携(地域連携)、患者連携(糖尿病の糖尿病療養指導など)を進めなければならないように、診療報酬の改訂が行われています」。

 多職種連携に関しては、「昔は階層型で、馭者だけが行き先を知っていればよくて、馬はがむしゃらに走るだけでした。今は4人1組で行う自転車レースのように、1人ひとりが目的を理解して、場面に応じて先頭(リーダー)が入れ代わるような連携が求められています」と語る。

 施設連携の成功例として、自身が実施している千葉県脳卒中パスの例を紹介した。
 「平成21年には患者1,098名にパスを提供して、リハに行ったのが133名だったが、地域連携を実施し、平成27年には8,030名のうち2,721名にリハを提供しており、桁違いに増えています。地域をあげて連携をしていくことでQOLが向上した例です」

 次に、地域包括ケアシステムに触れた後、21世紀の情報システムのあるべき姿を、次の4点にまとめた。
  1. 患者との双方向情報共有ができなければ、これからの情報システムとしては、意味がないと言える。
  2. 多施設間共同診療を円滑にするのが情報システムの重要な役割。たとえば大学病院では病状が安定してきた患者を外来で診られないため、その後のことは、地域のかかりつけ医からの連絡を待たねばならないからだ。
  3. データ死蔵の防止が不可欠だ。画像データの1年後の利用率は10%以下との調査結果があるが、そのために何億円ものお金をつぎ込むことは無駄だと考えられる。そうならないように、常時データを活用するプログラムを整備する必要がある。
  4. 日常データの積極的な活用。患者さんと日々やり取りできる体制をつくり、診療情報を患者にまで提供し、患者主体の健康改善を可能にすることが重要。また、患者は言葉によって治療されていく部分が非常に大きいので、コーチングができるようするなど、積極的にコミュニケーションできる仕組みが求められる。さらに、患者から得られたデータをBig Data処理し、新たな心理学的な考察を可能にしたい。
 藤田氏は、これらのすべてをクリアし、患者中心の医療を推進する情報システムであり、自身が手掛けているSHACHI(Social Health Assist CHIba)を紹介した。

 さらに、情報システムにマネジメントの支援も必要だと語った。
 具体的には、「ケアマネジメントは厚労省の定義では、『ケアの組み合わせを提供すること』とあり、その役割を担うのがケアマネジャーですが、マネジメントには『適用管理、進捗管理、成果管理』が欠かせないため、管理手法が必要になります。それがエビデンス・ベースド・ケア(EBC)で、これを情報システムで担うことが今後、求められるでしょう」と語る。

 そこで重要なことは、アウトカムの変更だと、藤田氏は言う。

 「医療者は従来、健康の改善をアウトカムにしていましたが、これからは、相応しくありませんので『人生の改善』を指標にしました。ここには気持ちの問題があります。QOL、満足度ではなくて、自分の人生をより充実したと感じられることが重要なのです」と、藤田氏は語った。

講演2 医療ビックデータ活用に向けた診療情報集積基盤構築の取り組み

株式会社日立製作所 ICT事業統括本部 スマート情報システム統括本部 ヘルスケア本部 医療情報ソリューション部 担当部長 河合 敏充 様  Big Dataと標準化で、新しい価値創出と社会貢献を目指す日立製作所。同社が手掛け、2016年3月27日から稼動した独立行政法人国立病院機構の「国立病院機構 診療情報集積基盤」(National Hospital Organization Clinical Data Archives:以下、NCDA)のデータ集積基盤の構築について、同社スマート情報システム統括本部 ヘルスケア本部 医療情報ソリューション部 担当部長である河合 敏充氏が講演を行った。

 国立病院機構は、全国で142病院を運営している。各病院で個別に作成された電子カルテのデータを、診療情報の標準的な仕様である「SS-MIX2」形式で収集するとともに、DPCデータや、レセプトデータも統合することで、膨大かつ複雑な医療情報を安全かつ効率的に分析・可視化できるデータベースを構築する。現在は41病院が参加しており、将来的には全国展開を予定している。

 SS-MIX2とは、「厚生労働省電子的診療情報交換推進事業」(SS-MIX:Standardized Structured Medical Information eXchange)において策定された、医療情報を交換・共有するための標準的な規約の最新版のことであり、2016年2月に開催された厚生労働省の保健医療情報標準化会議において「厚生労働省標準規格」として認定されたもの。

 河合氏は、「SS-MIX2形式とは、データの格納のやり方を示しているものです。投薬、注射、検査結果、病名等をHL7形式で記載されたものを、ルールに則ったフォルダ構造にテキスト形式で蓄積していくものです。また、テキスト形式ではない、紹介状やバイタルサイン、画像検査レポートなどは『拡張ストレージ』のディレクトリ構成が標準化されています。」と説明し、「標準規格であるSS-MIX2活用のメリットは、例えばビューア機能があればベンダーニュートラルにデータ取り込みや表示が簡単に行なえることが挙げられます。」と付け加える。

 蓄積された診療情報を分析することで、各病院の医療の質の向上が図れ、病院の経営効率改善にも寄与することが期待される。さらに、国立病院機構が推進する「電子カルテデータ標準化等のためのIT基盤構築事業」の一環でもあると、河合氏は説明した。

 さらに、河合氏は、センタ側のデータ取得処理フローについて詳しく解説した。
 「機構病院からSS-MIX2形式のデータが作られたら、センタ側は、定時取得もしくは任意取得を実施します。このデータ取得処理フローにおいて、インターシステムズの医療連携プラットフォームである『InterSystems Ensemble』が持つHL7チェックに加え、新たにSS-MIX2 標準化ストレージ 仕様書に準じたチェックおよびNHO拡張チェックを作成し、短期間でのシステム構築における生産性向上と品質確保を実現しました。検証プロセスを経た上で、データ保存の段階では研究や調査での活用を考慮して自由検索に適したテーブル形式にレイアウト変換を行って保存するものと、機構病院から取得したSS-MIX形式のままアーカイブする2通りが用意されています」。

 まとめとして、NCDAでの標準仕様の活用のメリットを3つ挙げた。
 「1つ目は、SS-MIX2形式で病院側のデータが出力されるため、整った仕様のデータで収集できること。2つ目は、病名、薬品、検査のコードを標準マスタ対応させたことで、医療機関をまたいだデータ活用が可能になること。3つ目は、単位や検査結果の定性値表現を規格化し、検索しやすく、活用しやすくなること」であると強調した。

医療システム・ソリューション展示デモ

ホワイエでは、医療システム・ソリューションの展示やデモンストレーションが行われた。
各社が提供する先進のソリューションや、構築事例などは、参加者の注目を集めていた。
フォーラム会場の様子フォーラム会場の様子フォーラム会場の様子
出展企業ソリューション名
株式会社医用工学研究所 医療用データウェアハウス CLISTA!
京セラ丸善システムインテグレーション株式会社 院内連携・地域連携システム
株式会社ゼクト 人間ドック受診者誘導支援システム
Medical Dock Navigator Z
データキューブ株式会社循環器疾患診療支援システム Med@Heart
不妊治療支援システム Warabee
東芝メディカルシステムズ株式会社 病院向け医科電子カルテシステム HAPPY ACTIS
株式会社日立製作所在宅歯科訪問情報ネットワーク
株式会社マップ・システム安全点検システム MARIS
株式会社メイン JMU総合診療支援システム
メディカルアイ株式会社医歩ippo医療カルテ、医歩ippo地域お薬カルテ、
医歩ippoソーシャルネット
インターシステムズジャパン株式会社医療情報プラットフォーム InterSystems HealthShare

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