【デジタルヘルス Online Special】法人全体の情報共有、サービスの均質化実現を目指す ワイズマンシステムSPで実現した記録業務省力化と施設間情報共有

千葉県匝瑳市で医療・保健・福祉サービスを総合的に提供する九十九里ホーム。9拠点21事業所の中で特別養護老人ホームや介護老人保健施設、デイサービスセンター、居宅介護支援事業所などの、障害者支援施設を除く全施設でワイズマンの介護業務支援システム「ワイズマンシステムSP」を導入した。かねてから課題だった記録業務の負担解消、施設間の提供サービスレベルの差を解消し、情報共有の伸展によるサービスの質の均一化を実現しつつある。

地域のニーズ、要請を汲んで施設・サービスを拡大

 イギリス人宣教師A.M.ヘンテ女史の主導の下、1935年に結核患者保養所として開設されたことを端緒として80年の歴史を持つ九十九里ホーム。今では九十九里ホーム病院(149床)を中核として同一敷地内および隣接地域に、特別養護老人ホーム4施設、老人保健施設2施設、養護老人ホーム、デイサービスセンター、ヘルパーステーション、訪問看護ステーション、障害者支援施設などを次々と開設し、医療・保健・福祉サービスを総合的に提供する“九十九里ホームサービスネットワーク”を築いている。その規模は、入所施設定員約650人、通所サービス定員約300人に及ぶ。

 「地域の要請に応え、高齢者に限らず、できるだけ多くの人に喜んでもらえる保健福祉サービスを、というポリシーで取り組んできた結果として現在の姿になりました」。2005年から理事長を務める井上峰夫氏は、施設・サービス拡大の背景をこう話す。

社会福祉法人 九十九里ホーム 理事長 井上 峰夫 氏
社会福祉法人 九十九里ホーム
理事長 井上 峰夫 氏
 介護福祉事業への取り組みは、1978年に特別養護老人ホーム松丘園を九十九里ホーム病院の敷地内に開設したのに始まる。「当時は措置入所だったことから遠方からの入所者も多く、すぐに満床になった」(井上氏)ことから同園を増床したほか、他の法人施設から経営委託の申し入れ等があったこともあり、徐々に九十九里ホームは拡大した。一方で、「特養に入所しなくても適切なリハビリを行えば寝たきりにならなくてもすむ方が多数いました。それが病院でのリハビリテーション機能の強化、通院手段のない方への送迎付きデイケア、デイサービスの新設とつながり、さらに在宅療養へと地域の方々の求めに応えるサービスを提供してきた結果が、現在の医療・保健・福祉サービスの総合的な提供でした」(井上氏)と振り返る。

 各種施設が増え、また法人内で職員の移動などもあることから、法人全体で統一したサービスレベルの提供が求められるようになった。「様々な職種レベルで担当者会議を実施してきましたが、現場サイドではどうしても施設ごと独自のサービス提供に陥りがち。法人全体でサービスの均質化を図っていく一環として、介護業務支援システムの導入を決めました」(井上氏)とシステム導入の背景を述べる。

複数施設の連携、情報共有に期待してワイズマンを選定

 九十九里ホームでは従来、法人全体で介護保険請求を管理するシステムを運用してきたが、施設サービス計画や日常生活自立度評価、提供した具体的なサービス内容など、ほとんどが手書きの帳票として管理されていた。システム導入に際して法人内の各施設から代表が集まって発足したIT委員会では、こうした帳票記載業務を省力化することが第一の要件として挙げられた。

 「主にデイサービスにおいて相談員業務や個別機能訓練業務で、利用者スケジュールや日々の介護記録などに時間がかかり、残業時間が増えるなど負担が大きいという課題がありました」(第二松丘園デイサービスセンターの生活相談員/介護福祉士 飯田義和氏)という。

 また、法人内でデイサービスの利用者が別施設のショートステイを利用するなど、同じ利用者が異なる施設のサービスを利用することも多い。「各施設で利用者情報が重複記載していたり、経過記録を共有できなかったりする問題がありました。同じデイサービスでも施設によってサービスの内容が異なることもあり、サービスの均質化を推進する必要もありました」(第二松丘園施設長 村越善子氏)といった課題もIT委員会で検討され、システム導入の目標を明らかにしていったと話す。

特別養護老人ホーム 第二松丘園 施設長 村越 善子 氏
特別養護老人ホーム 第二松丘園
施設長 村越 善子 氏
 システム選定は、2013年の国際福祉機器展で各社の製品デモを見たうえで数社のシステムを具体的に検討。また近隣の導入施設の見学も行い、最終的に2社に絞り込んで提案を依頼。検討を重ねた結果、ワイズマンシステムSPが採用された。

 「最終的に法人内の複数施設の連携が取りやすいことを重視して選定。ワイズマンASPサービスで提供されるため、1人の利用者の記録を複数施設で行え、情報共有もしやすいと考えました。また、長年勤務する年配の職員でも操作に抵抗感がないという印象も受けました」。IT委員会でシステム導入のリーダシップをとった第二松丘園のサービス提供責任者/介護福祉士 向井栄志氏は、ワイズマンシステムSPの採用に至った理由をこう説明する。

 一方、井上理事長はワイズマンに対して、「介護福祉システムにおける会社としての実績もさることながら、担当営業者が現場の実情をよく理解したうえで導入・運用サポートをしてくれるサービス体制を高く評価しています」と強調した。

情報共有により法人内サービスの均質化が進展

 導入されたワイズマンシステムSPは、障害者支援施設を除くそれぞれの施設において「介護老人福祉施設管理システムSP」「介護老人保健施設管理システムSP」「施設ケアマネジメント支援システム SP」「デイサービス管理システムSP」「ホームヘルプサービス管理システムSP」など、9システムで300を超えるライセンスが利用されている。

 介護保険請求系システムが2015年2月より稼働し、記録系システムは同年9月より本格的に運用を開始。約10カ月が経過し、まだ施設によって活用度合いに濃淡があるものの、ペーパーレスによる業務の省力化や情報共有の成果は各所に現われている。「採用の大きなポイントだった利用者スケジュール管理が非常にしやすくなり、月末の実績管理も時間短縮されるなど、特にデイサービスでは法人内のケアマネジャーとの連携も強化され、業務の省力化が進展しました」(飯田氏)と話す。

ノートパソコンでの運用で、利用者の近くで介護記録をすぐに参照できるようにしている。
ノートパソコンでの運用で、利用者の近くで介護記録をすぐに参照できるようにしている。
 一方、情報共有という点では、想定以上の成果を実感しているという。その一端を機能訓練指導員/理学療法士の鶴岡一江氏は次のように説明する。

 「第二松丘園のショートステイの利用者が、他の施設のデイサービス等を利用していると、施設によって機能訓練指導員が在席したり不在だったりすることもあり、機能回復の進み具合が異なることがあります。各施設がケア記録オプションを利用するようになり他の施設のケア記録が参照できるため、利用者さんの状態や身体機能などを把握することが容易になりました」(鶴岡氏)

 また、経過記録を入力すればケア記録に転記できるため手間がかからないうえ、「従来は経過記録にのみ細かな状況を書いていたので、他の部署のスタッフに自分の感じたことなどを伝えきれませんでした。ケア記録に転記されるため他の介護職や医務室の職員とも共有でき、1人の利用者さんに対してどのようにケアしていくかべきか、方針を一緒に検討できるようになり多職種協働が伸展したと感じています」(鶴岡氏)という。

 さらに、新しい入所者の初回評価の際に評価記録で「重要」指定すると、必ず全スタッフが閲覧できるため、入所当日の夕方には夜間勤務スタッフにその内容が伝達され、当日の夜から注意事項を意識しながらケアにあたれるようになった。「自分からの情報発信・伝達がスムーズになった一方、翌日には夜間勤務スタッフからのフィードバックもシステム上で確認が可能。こうした内容は、サービス担当者会議につなげていくことができます」(鶴岡氏)

システム画面
申し送り一覧により、勤務交代時にも利用者の申し送り内容をもれなく短時間で伝達できる。(画面はサンプルです)

 このように日常的にスタッフ間の情報共有が進んだことにより、法人内の相談員会議や介護長会議などでケア記録を元にケアサービスの質の統一化、向上に向けた取り組みの検討が充実してきたと村越氏は指摘する。「以前のような同じ利用者さんが異なる施設で受けるサービスの内容や質に温度差があったという問題が解消しつつあります」(村越氏)とし、システム導入の大きな目標であった法人内のサービス品質の均質化が進展したことを実感している。
ノートパソコンでの運用で、利用者の近くで介護記録をすぐに参照できるようにしている。
(左から)
特別養護老人ホーム 第二松丘園
 機能訓練指導員 / 理学療法士 鶴岡 一江 氏
第二松丘園デイサービスセンター
 生活相談員 / 介護福祉士 飯田 義和 氏
グループホーム 第二松丘園
 サービス提供責任者 / 介護福祉士 向井 栄志 氏
特別養護老人ホーム 第二松丘園
 施設長 村越 善子 氏
 記録業務のペーパーレス化による記載作業の省力化や情報共有により運用成果が随所に現われてきた九十九里ホーム第二松丘園。しかしながら、法人全体を見渡すとワイズマンシステムSPの活用度合いが、まだ施設によってばらつきがある点が課題だという。「施設によってパソコン自体の操作に不慣れな職員がいることも事実で、われわれは理解していない機能も直接ワイズマンの担当者に問い合わせて活用深度を深められることもありますが、まだ法人全体として活用し切れていないことが現在の課題です」(向井氏)

 その課題解消に向け、法人全体のシステム運用研修会の開催を計画。各施設における活用事例をそれぞれ担当者が発表しながら、施設間で機能理解を深め活用を向上させていく予定だ。「第一段階として、まずデイサービスにおける活用をテーマに実施していきます。こうした活用研修会を重ねることで各施設のシステム習熟度を高め、法人全体の活用の底上げを図っていきたい」(向井氏)と意気込む。

 地域ニーズ・課題解決に向け施設やサービスの拡大に取り組んできた九十九里ホーム。同法人の位置する九十九里浜北部の匝瑳市は、人口減と高齢化が同時進行する「自治体消滅の危機に瀕している」(井上理事長)地区だと言う。法人職員は約800人に及び、地域住民の雇用にも貢献する法人だが、地域活性化にも尽力する。その1つが最寄り駅、総武本線・飯倉駅前地区まちづくり協議会への参画だ。大型スーパーが撤退した跡地を買い取り、地方創生加速化交付金を活用しながら、認定こども園の移転、特別養護老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、障害者の交流スペースを新設し、“駅前福祉村”を計画中である。

 「雇用と地域の賑わいを創出し、地域で安心して働き、暮らせる環境をつくり、消滅自治体にならないよう必死で取り組んでいる」と井上理事長。2017年3月に事業着工し、100床定員の特別養護老人ホームは2018年9月オープンを予定している。街を上げての福祉事業を成功させるためにも介護サービスの質の向上は不可欠であり、「ワイズマンシステムSPが少なからず、それに寄与してくれることに期待している」と述べた。

病院概要

九十九里ホーム病院
特別養護老人ホーム 松丘園
老人保健施設 ミス・ヘンテ記念ケアセンター

特別養護老人ホーム 第二松丘園
■社会福祉法人 九十九里ホーム
所在地
千葉県匝瑳市飯倉21番地
サービス概要
九十九里ホーム病院(一般66床、療養83床)、ミス・ヘンテ記念ケアセンター(老健定員80人、デイケア定員30人)、日向の里(老健定員80人、デイケア定員40人)、松丘園(特養定員150人、ショートステイ定員10人)、第二松丘園(特養定員104人、ショートステイ定員36人、デイサービス定員65人)、山田特別養護老人ホーム(定員70人、ショートステイ定員10人)、瑞穂園(特養定員29人、養護老人ホーム定員50人、デイサービス定員20人)、聖マーガレットホーム(障害者支援施設、定員80人)、九十九里ホームデイサービスセンター(定員45人)、ケアサロン悠々(デイサービス定員15人)、九十九里ホーム山田デイサービスセンター(定員30人)、その他、グループホーム、ヘルパーステーション、訪問看護ステーション

■お問い合わせ■

株式会社ワイズマン

〒020-0045
岩手県盛岡市盛岡駅西通2丁目11番1号

TEL:019-604-0750
FAX:019-604-0770
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