【日経デジタルヘルス Online Special】維持透析のチーム医療を支える電子カルテシステムERとMeLL+(メルタス)

東京都日野市で医療・介護サービスを提供する医療法人社団 英世会は、介護老人保健施設カトレアのICTシステムを刷新し、ケア記録の電子化による記録業務の効率化と多職種情報共有ツールの導入で職員間の情報共有・業務連携強化を図った。新全老健ケアマネジメントシステム「R4システム」導入を前提として採用されたのが、ワイズマンの「介護老人保健施設管理システムSP」、ケア記録システム「すぐろくTablet」、医療・介護連携サービス「MeLL+」である。

 東京都日野市を中心に画像診断クリニックや介護老人保健施設、居宅介護支援事業所、地域包括支援センターなど8施設・事業所を運営する医療法人社団 英世会。「カトレア」「サルビア」「ロベリア」の老健3施設を核に、入所サービス、ショートステイ、デイケア(通所リハビリ)、訪問リハビリ、居宅介護支援、地域包括ケア、および画像診断と、幅広く医療・介護サービスを提供している。

瑞穂会 みずほ病院 理事長の越野慶隆氏
医療法人社団 英世会
介護老人保健施設カトレア
施設長・医師 青木利明氏

 老健施設入所者の在宅復帰に力を注いできた英世会だが、2018年の介護保険法改正を機に在宅強化型の施設要件を満たせるよう、さらなる在宅復帰や在宅療養支援、リハビリテーション機能を強化している。「自立支援、在宅復帰に向けて、入所前の自宅訪問から入所後の集中リハビリなど一連のサービスを強化し、住み慣れた自宅に戻れることを第一に考えて取り組んでいます」。カトレア施設長で医師の青木利明氏はこう述べ、老健におけるサービスを地域包括ケアシステムの中核施設と位置付け、取り組みを強化している。

 また、老健施設の運営方針として、「サービス品質向上宣言」を掲げ、全職員が一丸となってサービス提供に努めている。宣言は職員の“約束”であり、“理念”を表す。すなわち、(1)私たちは「その人らしさ」を大切にし、心の通う人間関係を築けるように努力します。(2)私たちは、全職員が協力し良質なサービスを提供します。(3)私たちは、地域との連携を強化し、社会に信頼される施設を目指します――の3項目だ。

副施設長・看護長 土屋裕美子氏
副施設長・看護長
土屋裕美子氏

 こうした宣言の実践を含めカトレアの強みを副施設長で看護長の土屋裕美子氏は、「全職員が入所者の在宅復帰をサポートする組織のチーム力です。全員が自分の持てる力を結集してケアサービスに取り組んでいます」と自負する。

 一方、在宅復帰強化型老健として機能維持に向けて、新全老健ケアマネジメントシステム「R4システム」への移行に合せ、R4システム対応型介護支援システムや多職種コミュニケーションツールの導入などICT基盤を刷新した。そこで採用されたのが、ワイズマンの「介護老人保健施設管理システムSP」、ケア記録支援システム「すぐろくTablet」、医療・介護連携サービス「MeLL+」である。

多職種情報共有・連携の仕組みで選定

介護支援専門員 鈴木直大氏
介護支援専門員 鈴木直大氏

 カトレアでは従来、包括的自立支援プログラムを用いたケアを実施してきたが、「なかなか全職員に浸透しなかった」(土屋氏)という背景があった。そこで、入所前からの情報収集・アセスメントを行うことで、入所後のケア・リハビリを効果的、スムーズに行えるようにと、システム刷新を機にR4システムを導入することを前提に検討を行った。「ICT基盤上で運用するR4システムは、まず多職種での情報共有がしやすいこと。ICFステージングによって、入所者が何をできるかに視点を置いたアセスメントをすることで、次の目標が設定しやすくなるので、在宅復帰に向けた生活能力の獲得が期待できます」(介護支援専門員の鈴木直大氏)と、導入の経緯を説明する。

 一方、職員間の情報共有という点では、それまで各職種・部門別の連絡ノートを設置して各人が手書きするとともに、フロアのホワイトボードにも書き記していたため、非常に手間がかかり、伝達・周知の正確性にも課題があった。こうした課題を背景にシステム選定を検討したが、まずはR4システム導入に伴いケア記録の電子化と情報共有の電子化を中心にシステム選定を検討した。

副施設長・事務長 近裕樹氏
副施設長・事務長 近裕樹氏

 当所は、従来から運用する介護請求システムを販売する会社のケア記録システムを検討したものの、使い勝手とケア記録画面の見にくさに懸念を抱き、以前から付き合いのある大塚商会の担当者に相談を持ちかけた。そこで提案されたのが、ワイズマンの「介護老人保健施設管理システムSP」だった。「ケア記録の発生源入力から介護請求まで一貫するために介護請求システムもリプレースする必要があるため、大塚商会の提案を含め6社ほどのシステムを検討しました」。副施設長・事務長の近裕樹氏はシステム選定の経緯をこう説明し、ワイズマンが採用された理由を次のように述べた。

 「ワイズマンのR4システム対応介護老人保健施設管理システム、ケア記録システムに対して、現場職員から視認性が高いという意見が多いこと、療法士支援オプションがあること、加えて多職種情報共有のためのMeLL+が活用できること。これら総合的にワイズマンに優位性があると、採用を決定しました」。

操作マニュアルを独自作成し全職員で協力して運用開始

 これまで介護報酬請求はシステム化していたカトレアだが、現場の職員が日々使用するケア記録システムや情報共有・連携ツールの導入は初めて。多くの介護施設のICT化で課題になるのが、ICT機器に対する年配の介護・看護スタッフの抵抗感だ。年配の看護スタッフにはパソコンに触ったこともなく、ICT機器を使いこなす自信もなく、辞めると言い出した職員もいたそうだ。「夜勤30分前に使い方の講習時間を設けるなど、時間をかけ、また職員同士でサポートし合いながら運用を進めていきました」(土屋氏)という。

介護支援専門員 美保佳代子氏
介護支援専門員 美保佳代子氏

 そこで大きな役割を果たしたのが、介護支援専門員の美保佳代子氏だった。同氏によると、アンケートの回答を基にまずはICT機器が得意そうな職員を中心に操作説明を実施したが、そこで使用したのが独自に作成した操作マニュアルだった。

 メーカー製のマニュアルと異なり、「食事や排泄、バイタル記録などの操作を介護記録シーンごとに分け、作業プロセスに合せてスクリーンショットを使って一操作ごとに手順をまとめたマニュアル」(美保氏)である。これをパソコン端末用、すぐろくTablet用、R4システム用として作成し、まずはスマートフォンを使っている職員にすぐろくTablet用マニュアルを用いて操作トレーニングを実施した。「徐々に習熟度が上がっていきました。マニュアルを見ても操作できないスタッフには、個別に対応するとともに、職員同士で教え合うことも増えました」(美保氏)と話す。


作業時間の短縮により業務効率化を達成

 介護老人保健施設管理システムとケア記録システムの導入で最も効果が表われたのが、記録業務の効率化、作業時間の短縮である。従来、例えばバイタル記録業務では、2フロア140人の入所者に対し、2人で手分けして測定・チェック表記入・温度板転記に約90分を費やしていた。すぐろくTabletの導入により、測定と記録入力で30分程度に短縮され、温度板への転記作業はなくなった。同様に、入浴記録は30分から5分へ、食事記録は50分から10分へ、排泄記録に至っては45分から5分に短縮された。どの記録も帳票への手書きで行っていた温度板転記が、システムへの入力で不要になったことが大きい。

 介護長の荻原輝美氏は、介護職員のこうした記録作業に関して、「入浴ができなかった入所者の理由などもタブレットで選択入力するだけで済みますし、排泄記録では表に手書きして夜の0時に帳票に転記していた作業などがすべて、その都度タブレットに入力するだけ。タブレットへの一括入力を使用すると、大幅な作業時間の短縮につながりました」と導入効果を説明する。その短縮された時間は、「入所者への直接介助や支援に当てることができ、サービスの向上につながっていると思っています」(荻原氏)としている。

介護長 荻原輝美氏
介護長 荻原輝美氏

 また、R4システム運用に関しては、ケア記録が電子化されたことも含めて、入所者の日々の情報が端末の前でリアルタイムに閲覧できることから、状態把握がしやすくなったという。評価方法が変わった点に関して鈴木氏は、「当初はICF評価の仕方が職員に受け入れられるのか不安でしたが、向上した機能、低下した機能が把握しやすく、機能向上させるためのケアに何が必要か分かりやすくなりました。また、アセスメントの際に従来は各部署の担当者を回ってリハビリ状況や食事の状況を得なければなりませんでしたが、端末に向かえばそれぞれの情報がすべて入手でき、課題分析も迅速にできるようになりました」と述べている。

リハビリテーション室室長 中村敏郎氏
リハビリテーション室室長
中村敏郎氏

 リハビリテーション室室長の中村敏郎氏は、ワイズマンの介護老人保健施設管理システムSPの療法士支援オプションの運用成果について指摘する。強化型老健では現在、入所者の個人リハビリが必要になり、療法士と対象入所者の詳細なスケジュール管理をしなければ実施が困難になった。従来、Excelを用いて各療法士がリハビリスケジュールを作成し、職長が全療法士のデータを集めて全体のスケジュール・実施情報を管理していた。「検討したシステムで療法支援機能を実装できるのはワイズマンだけ。療法士を軸としたスケジュール管理が効率的にでき、実績も全員分をすぐに確認できるようになりました。リハビリ関連の書類作成、進捗管理、リハビリ加算請求も効率的に行えます」(中村氏)。

システム化によってチームワークが高まり、働きがいも向上

 一方、職員間の情報共有・業務連携においては、MeLL+を中心としたシステム化がさまざまな効果をもたらした。従来の課題で指摘したように、各職種(部門)で連絡ノートを作り、各人が手書きし、特に重要な点などはホワイトボードにも書き記した。また、毎朝の申し送り事項の伝達も時間をかけて逐一口頭やメモを渡すなど、手間と時間をかけてきた。

 「業務連絡票を作成・プリントして、12か所ほどに配布していたほか、職員通用口も掲示するなど、かなりの時間を要していましたが、MeLL+により全職員に一元的に情報発信でき、効率的で確実な伝達が可能になりました」(近氏)という言葉をはじめ、各職種の職員がMeLL+活用の利点を述べている。

 連絡ノートは、利用者連絡ノート、看護と介護それぞれの申し送りノート、事故報告ノートなど多くが作成され、各人が記入。閲覧した際にはサインするなどしていた。これがすべて廃止され、MeLL+上でやり取りされている。例えば、申し送りでは、朝・昼・夕の3回で合計65分を費やしていたが、重要事項や当日の予定のみを申し送りし、その他はすべてMeLL+で参照するようになり、3回合計で20分程度に短縮された。「出勤してすぐに申し送り事項をMeLL+で確認できので、入所者に対して全員同じ意識ですぐにケアに入れるようになりました」(土屋氏)という。

 また、ケアマネジャーと療法士が入所前訪問・退所前訪問する際にタブレット端末を携帯し、MeLL+を活用する有用性もある。「これまでは訪問先の地図を用意し、退所前訪問のときは介護カルテを一緒に持っていきましたが、今はタブレットで地図を見られますし、介護情報もMeLL+を介して管理システムにアクセスできるので、非常に便利です」と鈴木氏は説明する。

 今回の一連のシステム化は、職員の意識変化や働き方にも影響を及ぼしているようだ。その点を近氏は次のように述べる。「チームワークは当職場の強みだと思っていましたが、ICTシステムの全面的導入を機に、その過程でよりチームワークが高まったと感じています。システム導入に伴う業務プロセスを変えていく作業を各職場スタッフが自ら考え工夫したこと、前向きに取り組む姿を目にして、職員のやり甲斐につながっているのでは、と感じました」。

 英世会では、2018年中に他の老健2施設(サルビア、ロベリア)でもワイズマンの一連のシステムを導入し、業務効率化と多職種での情報共有・業務連携強化を図っていく予定である。



施設概要

医療法人社団英世会
介護老人保健施設カトレア
■医療法人社団英世会 介護老人保健施設カトレア
所在地
〒191-0011 東京都日野市日野本町6-3-17
開設
2000年1月
入所定員
140人
通所定員
80人
事業内容
入所サービス、ショートステイ、デイケア、訪問リハビリ、地域包括支援、居宅介護支援、画像診断クリニック
関連施設
介護老人保健施設 サルビア、介護老人保健施設 ロベリア、日野市地域包括支援センター すずらん/せせらぎ、指定居宅介護支援事業所 カメリア

■お問い合わせ■

株式会社ワイズマン

〒020-0045
岩手県盛岡市盛岡駅西通2丁目11番1号

TEL:019-604-0750
FAX:019-604-0770
URL:https://www.wiseman.co.jp/

:0120-442-993