【日経デジタルヘルス Online Special】利用者急増、看護スタッフ増加に伴う情報連携・共有の課題をMeLL+で解決

青森県青森市で地域に根ざした医療・介護・福祉サービスを提供する慈恵会。その一翼を担う「じけいかい訪問看護ステーション」は、有料老人ホーム開設に伴う利用者の増加、看護体制の拡大で課題になった利用者情報の共有を、ワイズマンの医療・介護連携サービス「MeLL+(メルタス)」の導入で実現した。

 半世紀にわたり地域に密着した医療・介護・福祉サービスの提供を目指し歩み続けてきた青森市の慈恵会。青森慈恵会病院(332床)を中核に、老人保健施設やグループホーム、居宅系介護事業所など19事業所を運営している。中でも住宅型有料老人ホーム、小規模多機能型居宅介護事業所など、6つの異なる在宅介護・福祉事業を集約した9つの各事業所のネットワークが「じけいかい地域包括ケアシステムズ」を形成し、在宅医療・福祉サービスを提供している。その1事業所が、2004年に開設されたじけいかい訪問看護ステーションである。

 開設から10年ほどは4〜5人の訪問看護師が、40人程度の在宅利用者を対象にサービス提供してきた。2015年4月に慈恵会で2つめの住宅型有料老人ホーム「オアシスの家」(定員60人)が開設される際に隣接する敷地内に移転し、訪問対象利用者は一気に約100人に膨らんだ。同老人ホームは、要介護度の高い利用者が入居しているため、ほとんどの入居者にとって訪問看護サービスが必要不可欠だったこともあり、開設に伴ってじけいかい訪問看護ステーションの看護体制も10人前後まで拡大された。

青森慈恵会病院
慈恵会グループの中核である青森慈恵会病院

 じけいかい訪問看護ステーションの特徴は、オアシスの家の利用者が6割を占めていることと、緩和ケア病棟(22床)を持つ青森慈恵会病院の終末期患者の在宅療養を支えている点が挙げられる。在宅終末期患者の訪問診療も緩和ケア病棟の医師が担当しており、青森慈恵会病院との医療・介護連携が密に行われている。また、医療・介護従事者の人員不足という悩みがありながらも、訪問看護師の多くが青森慈恵会病院勤務を経験するなど、慈恵会グループ内で転籍した看護師で構成されていることも特徴といえる。

利用者増加・体制拡大に伴う課題解決へ

 オアシスの家の開設に伴う対象利用者の急増と訪問看護師の増加により、課題も明らかになった。それまでは訪問利用者数も少なく看護体制も少数だったため、スタッフ全員が利用者の情報を把握することは、さしたる問題ではなかった。しかし、利用者が増えたことで利用者情報の共有が難しくなった。毎日の業務終了前に情報共有と申し送りのための会議を実施していたが、共有すべき情報が増加し、会議時間も長時間化してきたのである。特に夜間・休日の緊急対応を担当する待機担当者(当番制)は、自宅で受けた緊急連絡の際に、利用者の経過や容体をすぐさま正確に把握できないことが課題となった。

 そこで、全利用者情報の共有とスタッフ間のコミュニケーションを密にすることを狙って導入したのが、ワイズマンの医療・介護連携サービス「MeLL+」だった。「利用者が少なかったときの利用者情報はある程度記憶もできましたし、各利用者の担当に問い合わせるのも比較的容易でしたが、規模が拡大するとそれも難しくなりました。待機担当者は、症状変化の連絡を受けた際に当該利用者の情報を把握する術がなく、不安も大きくなっていました」。じけいかい訪問看護ステーション管理者で訪問看護総括課長の野澤美栄子氏は、MeLL+導入の背景をこう話す。

 訪問看護スタッフおよび在宅医療スタッフとの情報連携・共有のためにMeLL+を採用した理由は、野澤氏が慈恵会グループ入りする前の職場でMeLL+の利用経験があったことが大きい。

じけいかい訪問看護ステーション 管理者・訪問看護総括課長 野澤美栄子氏
じけいかい訪問看護ステーション
管理者・訪問看護総括課長
野澤美栄子氏

 野澤氏はかつて、はちのへファミリークリニック(小倉和也院長、青森県八戸市)が事務局を務める多職種連携コミュニティチームに在籍しており、同チームがリリース間もないMeLL+を利用していたのである。在宅医療に取り組んでいた小倉氏は、MeLL+の製品化に当初から協力してきた人物でもある。

 野澤氏はMeLL+導入に際して、他社のツールの試験運用にも参加したが、MeLL+の使い勝手の良さに及ばなかったという。「日常業務で利用経験があり、MeLL+の使い勝手を理解していたことが大きい。当ステーションがワイズマンの『訪問看護ステーション管理システムSP』を運用していたことも、その親和性という点でMeLL+に優位性がありました」(野澤氏)。法人内での情報連携・共有を主目的とするMeLL+ professionalでは、ワイズマンの電子カルテシステムERや介護・福祉向け製品のワイズマンシステムSPシリーズとシステム連携が可能であり、各システムに登録した情報の多くをMeLL+で共有でき、情報の二重入力を回避できるメリットがある。

MeLL+による情報共有で毎日のミーティングを廃止

 訪問看護ステーションのスタッフ間での利用者情報共有を当初目的として導入されたMeLL+であったが、訪問診療を行う青森慈恵会病院 緩和ケア部門の医師・看護スタッフとの医療・介護情報連携をはじめ、調剤薬局薬剤師(1カ所)、最近では慈恵会のケアマネジャーも利用を始めた。また、オアシスの家やデイケアのスタッフの一部も閲覧している。

MeLL+画面
利用者情報やコメント機能によりスタッフ間で指示内容の確認や正確な伝達が可能。
タブレットで撮影した画像をMeLL+にアップすることで迅速に対応が行える。(画面はサンプル画像です)

 多職種間の情報共有では、訪問看護ステーション管理システムSPの支援ノート機能を利用して共有している。同システムでは訪問看護記録を入力した後に支援ノートに転記することで、時系列で記録が参照できる。利用者に対するケア実施内容や経過は、支援ノートからMeLL+に反映されてどこででも閲覧共有できるようになった。また、申し送り事項などはMeLL+の利用者コメント機能を使い、伝達共有している。

 導入前に行っていた帰所後の全体ミーティングで報告・申し送りしていた内容は、すべてMeLL+上で共有できるようになったため、毎日のミーティング開催は必要なくなった。「利用者・スタッフが拡大してからはミーティングが1時間以上に及ぶこともありました。遠方への訪問をしたスタッフの帰りを待って開催していたため、必然的にミーティングが残業時間にずれ込むこともありました。MeLL+によって、そうした問題は一切なくなりました」(訪問看護課長の田澤由美子氏)と導入成果の一端を話す。訪問後の利用者経過などの情報がすぐさま入力されるため、他の看護師もほぼリアルタイムで各利用者の状態を把握することが可能になった。

じけいかい訪問看護ステーション 訪問看護課長 田澤由美子氏
じけいかい訪問看護ステーション
訪問看護課長
田澤由美子氏

 利用者ごとに専任の担当者を決めているが、担当外の利用者情報も常に共有されているので、「各担当スタッフに聞き取る時間や手間もなく、担当外利用者の対応もスムーズになった」(田澤氏)という。また、利用者に対して各スタッフが気づいた点を詳細にコメントしているため、より経過の見える化が進み、綿密な状況把握ができるようになり、ケアサービスの向上にも寄与している。特にオアシスの家の利用者60人に対しては土日を含め、毎日訪問看護を実施しているため、自分が休みの日に利用者に何があったのか出勤直後に把握できるようになったと指摘する。

事業所外からのアクセスで緊急対応がスムーズに

 訪問看護スタッフは毎朝出勤すると、まずMeLL+にアクセスして利用者情報・経過を確認するのが日課になっているという。また、同訪問看護ステーションでは訪問車ごとにスマートフォンを1台ずつ配置しており、移動中に訪問先利用者の情報を確認することもできるようになった点も大きい。

モバイル端末で利用
MeLL+により施設外から情報閲覧が可能に。利用者宅への移動中や待機当番の際にはモバイル端末で利用する。

 さらに待機当番者はタブレット端末を持ち帰るため、夜間の自宅待機時に急変連絡が入った際に当該利用者の経過をその場で確認できるようになり、適切でスムーズな対応が可能になった。「従来は各利用者の基本情報や経過情報を訪問看護ステーション管理システムSPからプリントアウトして持ち帰っていたが、その手間が負担になっていましたし、本来利用者情報を持ち出すことを危惧していました。今はタブレットですべて当日までの利用者状況を確認でき、利用者情報を持ち帰る手間や待機時の不安が解消されました」(野澤氏)。

 一方、医療・介護連携におけるMeLL+の利用は、訪問診療の際の所見や処方変更、訪問看護師への申し送り事項などは、医師に同行した緩和ケア担当看護師が帰院後に入力した情報を共有している。以前は電話とFAXで報告されていたため、紙で各看護スタッフに回覧していたものの、全員に情報が伝わるにはタイムラグがあったり、確実性も高くなかった。今では訪問診療当日中に全スタッフが利用者の診療状況を知ることができるようになった。「同行した病院看護師も当ステーションへの連絡には直接MeLL+に入力でき、FAX送信に伴う業務負担が軽くなったと評判はいいです」(野澤氏)と話す。また、訪問看護スタッフが入力した経過情報も同行看護師が閲覧して訪問診療時に役立てており、医師自身も移動中にスマートフォンで確認する場合もあるという。

徐々に拡大するMeLL+利用者

 MeLL+の法人外利用者としては、病院の院外主力薬局の薬剤師にアクセス権を配布している。薬剤師は必要に応じて訪問診療・看護状況を閲覧する以外に、薬剤情報提供書を画像としてMeLL+にアップロードしている。「薬剤に関する情報を私たち訪問看護師がすべて把握することは、難しいのが実状です。薬剤情報提供書をMeLL+で確認できるだけでも、非常に助かっています」と野澤氏。

MeLL+の表示画面
訪問看護スタッフは出勤するとすぐさまMeLL+にアクセスし、前日の利用者状況を確認することが日課となっている。薬剤師が画像として添付する薬剤情報提供書で薬剤の剤形も一目でわかる。

 最近は法人内に限ってだが、ケアマネジャーのMeLL+利用も増えている。ケアマネジャーは利用者の状態変化を確認してケアプラン変更などに役立てることができるようになったことに加え、訪問介護スタッフから伝え聞いた利用者の動向や利用者家族からの情報をMeLL+に入力するなど、多職種の情報が集積するようになった。「病院の退院が決まりそうな患者の情報なども事前にケアマネからもたらされるようになり、在宅療養移行がスムーズに行われるようになりつつあります」(野澤氏)とし、多職種情報連携がMeLL+によって活発化していると話す。



施設概要

一般社団法人慈恵会 じけいかい訪問看護ステーション
■一般社団法人慈恵会 じけいかい訪問看護ステーション
所在地
青森県青森市安田字近野136-1
開設
2004年2月
法人概要
■一般社団法人 慈恵会
所在地
青森県青森市安田近野145-13
理事長
丹野智宙氏
運営事業
青森慈恵会病院、青い森病院、慈恵クリニック(健診施設)、グループホーム(2施設)、通所サービス(3施設)、老人保健施設(1施設)、訪問リハビリ、住宅型有料老人ホーム(2施設)、小規模多機能型居宅介護事業所(3施設)、訪問看護ステーション(1施設)、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所(1施設)、居宅介護支援事業所、青森市地域包括支援センター

■お問い合わせ■

株式会社ワイズマン

〒020-0045
岩手県盛岡市盛岡駅西通2丁目11番1号

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