スコッチの王道に見る世界で愛されるものづくりとは

魔法のような「無水調理」を実現した鋳物ホーロー鍋、バーミキュラ。開発者の愛知ドビー・土方智晴代表取締役副社長は、日ごろからウイスキーを嗜むという。「『スコッチの王道』と称されるバランタインのように、世界中で愛される製品が目標です」と語る。

  • 愛知ドビー株式会社
  • 代表取締役副社長
  • 土方 智晴

独自の技術に磨きをかけ、唯一無二の調理鍋を開発

2010年2月の発売以来、10年近くヒットを続けている鋳物ホーロー鍋、バーミキュラ。水を入れずに火にかけても、野菜の水分が出てカレーやシチューなどがつくれる「無水調理」が話題を呼んだ。

「しかも、水分とともに野菜から出たうま味や栄養が鍋の中にそのまま残るので、普通の鍋で調理するよりも格段においしく、健康にもいい。これは当社にしかできない技術です」と土方氏は言う。

愛知ドビーはもともと、繊維産業向けの機械メーカーだった。ところが繊維産業の衰退とともに需要が急減。鋳造部品などを製造する下請け業者となり、職人たちは自信をなくしてしまった。「何とかメーカーに返り咲き、職人たちに誇りを取り戻してもらいたい。その一心で新たな製品づくりを模索しました」。

そうして海外で人気の高い鋳物ホーロー鍋にたどり着いたが、最も苦しんだのは、「無水調理」を実現する鍋と鍋蓋の密閉性をどうやって高めるかであった。

「鋳物は1個1個の形が不ぞろいになりやすく、鍋と鍋蓋がしっかり閉じないことが多い。試行錯誤の末、隙間を0.01mm単位で削り込んで調整する技術を生み出しました。鋳物の厚みは3mmなので、削り込みには高度な職人技が要求されます。鋳造と精密加工の技術を磨き上げてきた当社ならではの技術です」

こうしてバーミキュラは、食材のうま味や栄養を十分に引き出し、それを逃がさないという調理鍋としては世界で唯一無二の機能を実現した。

VERMICULAR

世界一を目指す鋳物ホーロー鍋 無水調理が生み出す素材本来の味わい

「町工場から世界最高の製品をつくりたい」という強い思いから生まれた純国産の鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」。最初の鋳造工程から、0.01mm以下の精度の削り込み、釉薬を吹き付けるホーロー工程まで、すべて熟練職人の手作業で行われる繊細な技術力と、数種の熱伝達テクノロジーを組み合わせることで、素材本来の味を引き出す理想的な無水調理を実現した。

【 80年培った
卓越した技術 】

バーミキュラは、土方氏と、兄で愛知ドビー代表取締役社長の土方邦裕氏が二人三脚で開発した。2人とも元サラリーマンだが、「職人の誇りを取り戻すため」に家業を承継。創業80年以上培ってきた鋳造技術と精密加工技術によって、密閉性の高い鋳物ホーロー鍋・バーミキュラを完成。兄の邦裕氏は鋳造技師の資格を持ち、土方氏も精密加工技術を習得した職人である。