日経XTREND SPECIAL

真に使える 新時代の意識調査真に使える 新時代の意識調査

インターネットやPCの普及によって、以前より格段に実施しやすくなった市場調査・アンケート。しかしこの3~4年で、回答者たる生活者のメインデバイスはPCからスマートフォンにすっかり様変わり。しかし、調査サービスの依頼構造は、PC時代のまま変化を見せない。このズレによって、若年層の調査不参加・ライト回答者の脱落による回答の偏り・プロ化などの問題が顕在化してきたのだ。LINEリサーチはこうした課題を真正面から克服し、“市場調査の本質価値”に取り組もうとしている。

vol.01

心理学者×LINE対談

良質な調査は「回答者がリアルな消費者像かどうか」で決まる

調査会社に依頼した調査の結果が、肌感覚と異なる――。それは、回答者の偏りが要因の可能性がある。今、調査に協力してくれているのはどんな人なのか、協力してほしい人に協力してもらうにはどうしたらいいのか。大阪大学大学院教授の三浦麻子氏とLINEの調査事業を率いる地福節子氏に回答者の実態を聞いた。

依頼方法を変えなくても、時代変化で調査結果は変質していく

日本でインターネットの普及が本格的に始まったのは1998年と言われている。Windows 98、iMac(初代)の発売により、インターネットがより多くの人にとって身近な存在となったのだ。それによりさまざまなものが変わったが、そのうちの一つが「市場調査」である。

「かつては、調査と言えば紙や電話を使うか、対面で行うのが一般的でしたが、インターネットの普及を受けて2000年頃から、インターネット調査が増えました」と、LINEの地福節子氏は解説する。

社会心理学を専門とし、地福氏と共同研究も行っている大阪大学大学院人間科学研究科教授の三浦麻子氏も、インターネット普及以前の調査の難しさを経験している。

三浦麻子氏
三浦麻子氏
大阪大学大学院人間科学研究科教授。大阪大学助手、神戸学院大学准教授、関西学院大学教授を経て現職。専門は社会心理学、特にコミュニケーションや意思決定。大阪大学人間科学部卒業、同大学院人間科学研究科博士後期課程退学。博士(人間科学)。

「私はインターネット普及期の90年代初頭にインターネットで調査を行ったことがありますが、それは、インターネットユーザーという当時は少数派だった人たちの特徴を知るためのものでした。その頃は、一般の人を対象とする調査は、選挙人名簿から対象をピックアップして調査票を郵送するなど多大なコストがかかっていました。そのため社会心理学では手近な大学生を対象とするケースが大半でした。その後、インターネットが急速に普及したので、一般の人の心理を知るために、インターネット調査も十分に有用なツールになりました」

PCでのインターネットの普及を皮切りに、市場調査がオンライン化したことがうかがえる。そしてさらに、今から13年前の2007年にiPhoneが発売され、スマートフォンユーザーが爆発的に増えたことで、インターネット調査に答えるデバイスも、PCからスマホへシフトしつつある。

「そこで私たちLINEでは、PC時代からあった調査パネルに対してではなく、スマホかつLINEというコミュニケーションツールを通じて調査を行うため『LINEリサーチ』を立ち上げ、2012年から新規にLINE上のみで一から調査モニターを募りました」(地福氏)

地福節子氏
地福節子氏
LINE株式会社インサイトリサーチ室副室長。市場調査会社やヤフーのインハウスリサーチャーとして実績を積み、2010年にLINEに入社。2012年に自社サービスのリサーチ組織のPMとなり、2016年にLINEリサーチとして事業化。現在、インハウスのリサーチ部署とリサーチ事業双方の責任者を務める。

年々コストが下がり、調査する側にとっては非常に便利になったオンライン調査。依頼をすれば数日後には数字が手に入る。しかし一方で、答えてもらう回答者(調査モニター)の実像が見えづらくなっているのもまた事実だ。実は今の調査サービスには大きな課題がある。時代の過渡期にはまり、調査する側が答えてほしいと思う消費者像と、実際の回答者に乖離があるのだ。今回、LINE社が行った独自調査によってその一端を明らかにしていきたい。

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