日経 XTREND SPECIAL

オンラインで
新たな車ユーザーが流入

 

株式会社KINTO
副社長執行役員 CSO
本條 聡

1998年、東京大学工学部卒業後、住友商事入社。住商アビーム自動車総合研究所の他、住友商事とパートナー企業の合弁事業4社を立ち上げる。その後、住友商事の経営企画を経て、2019年4月より現職。

杉山 車のサブスクリプションサービス「KINTO」がスタートして約1年がたちました。手応えはいかがですか。

本條 月々定額でトヨタの新車を気軽に楽しんでいただける「KINTO ONE」は、昨年3月に東京で試験販売をスタートし、7月から全国展開。車種も当初の5車種から今年1月には31車種に拡大し、法人受付も開始しました。約1年で累計約3150件のお申し込みをいただき、着実にクルマのサブスクの認知が広がってきた実感を得ています。

もう1つの手応えとして、従来はトヨタ販売店の店頭に来なかったようなお客様が、新たにトヨタファンになってくださっています。オンライン申し込みいただいたお客様の内訳を見ると、トヨタ車にお乗りではない方が3分の2を占める結果となっているのです。

佐野 所有から利用へ、ついにクルマもサブスクの時代が到来しつつあるということでしょうか。

Macbee Planetでは、サブスクリプションサービスを展開するお客様を中心に、ウェブマーケティング支援事業を実践していますが、近年、多くの業種業界からサブスク市場への参入が相次いでいます。サブスクの国内市場規模は、2023年度には1兆1021億円に達する(※1)と予測されていますが、「KINTO」が先鞭をつける形で手を出しにくかった高額商品のサブスク化も促進されそうですね。

本條 5月末には多様なニーズに合わせたご提案として、新たなサービスを開始します。「KINTO ONE」では1台の新車に3年間お乗りいただいていますが、通常の車の乗り換えスパン同様に「もっと長い期間で利用したい」というお声を受け、5年/7年プランを追加。より手軽に始めやすい月額料金も設定します。

同時に、契約期間中に新たな車に乗り換え可能な新サービス「のりかえGO」もスタートします。これにより「新型車に乗り換えたい」といったニーズ、さらに近年増加している高齢の方の自動車事故を未然に防ぐべく、常に最新の安全装備を搭載した新車で安心・安全を後押しするという社会的課題にもお応えしていければと考えています。

コロナ禍が生んだ
サブスクリプション業界の
二極化現象

 

株式会社Macbee Planet
エヴァンジェリスト
佐野 敏哉

BrightcoveにてSaaS型の動画配信サービスをテレビ局や大手企業100社以上に導入。Adobeにてデジタルマーケティングや広告配信の業務をサポート。2018年9月よりMacbee Planetに参画。解約防止のプロダクト責任者として従事する。

杉山 サービスから1年で柔軟にサービスのカイゼンを実践されていらっしゃるわけですね。現在、新型コロナウイルス感染症により、多くの企業がビジネスモデルの変革を余儀なくされているわけですが、コロナ禍のサブスク業界への影響について、佐野さんはどう見ていますか。

佐野 一言で申し上げると、同じサブスク業界でも二極化現象が見られます。当社ではLTV(※2)向上・ROI最適化をミッションに、自社プロダクトのデータ解析プラットフォーム「ハニカム」およびWeb接客ツール「Robee(ロビー)」を活用した新規ユーザー獲得および既存ユーザーの解約防止サービスを成果報酬型で展開しています。

それらの分析結果を見ると、在宅のVOD型の動画配信ビジネスの契約者数は、1月に比べて4月は20~40%増になっています。一方、店舗来店型の美容エステなどでは契約者数20~30%減。新型コロナウイルスを解約理由として挙げる率が10~20%に及ぶ結果が出ています。

本條 当社が属する自動車業界も業界全体としては、需要低迷と生産休止などから厳しい状況に立たされています。大きな出費を控え、車検の時期の買い替えをやめるといった車業界にとってはネガティブな消費行動の変化が表れる中、一方でオンライン申し込みや自分専用の車へのニーズの高まりは、「KINTO」にとっては追い風になっている状況です。

当社としても、お客様の意識や価値観が変化していく可能性を見据え、これからも新たなモビリティサービスを提案していきたいと考えています。

佐野 先ほど挙げた好調なVOD業界でも、従来のスマホからパソコン利用が増えるなどの変化が見られます。アフターコロナも見据え、ユーザーの小さな行動の変化にもアンテナを張ることが肝要ですね。

※1 出所:矢野経済研究所「サブスクリプションサービス市場に関する調査(2020年)」2020年4月22日発表、サブスクリプションサービス国内市場規模推移(7市場計)より。エンドユーザー(消費者)支払額ベース

※2 LTV=Life Time Value、顧客生涯価値。顧客から生涯にわたって得られる利益を指す。