消費者へ大きなインパクトを与えるブランド伝達 モーメントをとらえたマーケティングを実現するデジタル音声広告

スポティファイジャパン ビジネスマーケティングマネージャー 石井 恵子氏 × 日経クロストレンド発行人 杉本 昭彦

近年、デジタル音声メディアの市場が拡大している。それに伴い注目を集めているのがデジタル音声広告だ。視覚に訴えかける広告が流布する一方、聴覚に訴えかけるデジタル音声広告にはどのような特長があり、どのような成功事例を収めているのか。スポティファイジャパンでマーケティングを担当する石井恵子氏に、日経クロストレンド発行人の杉本昭彦が聞いた。

急成長するデジタル音声広告市場

写真:石井 恵子 氏

スポティファイジャパン
ビジネスマーケティングマネージャー

石井 恵子

杉本:「日経トレンディ(2020年11月号)」で今成長市場であるラジオの特集を行ったところ、大きな反響をいただきました。Spotifyのようなデジタル音声サービスが定着してきたことで、音声メディアに再び脚光が当たっているように感じています。それに伴い、デジタル音声広告の市場も成長しているのではないでしょうか。

石井:デジタル音声広告は今特に米国で急拡大しています。日本でもその成長は著しく、2020年は前年比229%増の16億円規模が見込まれており、今後も急速に成長し、25年には420億円規模に達すると期待されています

従来の音声メディアのデジタル化や、ポッドキャストユーザーの増加によって拡大してきた市場ですが、コロナ禍で家にいる時間が増えた、ライフスタイルの変化もこのメディアの急伸の一因でしょう。

また最近の当社の調査結果では、Webの広告表示が多すぎるという印象を持つ方が増えているようです。おそらく、自宅で過ごす時間が増え、動画やWebサイトを見る時間が長くなったことで広告との接触回数が増え、自身に関係ない広告が表示されることにストレスを感じているのでしょう。

動画などの視覚情報が氾濫する中で、スクリーンレス、目で見なくてもいいというデジタル音声広告の特長は、現代のユーザーの潜在ニーズにも適していると思います。

杉本:ポッドキャストは日本でも質の高いコンテンツが多く、テレビやWeb動画などとは違う面白さがあって、より注目していきたいメディアですね。Spotify内でのデジタル音声広告についてお聞きしたいのですが、まずはSpotifyのサービスの特徴から教えてください。

石井:Spotifyを音楽メディアと思われる方も多いのですが、私たちはプレミアムオーディオカンパニーとして、幅広い音声コンテンツを提供しています。

現在、Spotifyのアクティブユーザー数はグローバルで約3億2000万人です。さまざまな年齢層の方に利用いただいていますが、国内では、35歳未満の方が全体の56.2%とトレンドに敏感な若年層が多いことが特徴に挙げられます。また、1日の平均利用時間は125分、つまり2時間以上と非常に長いことも特徴です。

杉本:多くのメディアによって消費者の時間の奪い合いが起きている中、1日2時間というのはすごいことだと思います。家事をしながら、仕事をしながらといった、ながら聞きの割合が高そうですが、だからこそさまざまなシーンに合わせたデジタル音声広告が提供できそうですね。

写真:杉本 昭彦

日経クロストレンド発行人

杉本 昭彦

石井:おっしゃる通り、どんなデバイスで、どの時間帯に、どんなジャンルのコンテンツを聞いているかというデータも収集可能です。Spotifyではそれぞれのモーメントに合わせてデジタル音声広告が出稿でき、ユーザー属性に基づいたターゲティングができることが最大の特長ですね。

その他にも、Spotifyでは音楽と音楽の間に広告を配信するので、動画視聴サイトの広告のようにスキップされることがなく、ユーザーに確実に広告を届けることができるのも大きなメリットだと考えています。

また、動画広告などに比べて制作費が安価なので、複数の広告を制作し、より効果が得られたものに絞り込んでいくなど、PDCAを回しながら広告を出稿できることも強みです。

さらにデジタル音声広告が消費者に与える効果は、科学的かつ定量的な視点から見ても証明されています。今年6月にニールセンに依頼して行った脳波の調査では、非常に興味深い結果が得られました。

杉本:面白いですね。詳しく教えてください。

* 出典:デジタルインファクト調べ

日本におけるSpotifyユーザーの特徴

図:日本におけるSpotifyユーザーの特徴
								35歳未満56.2%、女性54.5%、スマートフォン92%、Spotify平均利用時間(1日)125分
日本のSpotifyユーザーはスマートフォン世代を中心に拡大中(2020年8月時点 Spotify自社データ)
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