日経クロストレンド Special
Adobe

優れた顧客体験を実現する
直感的で情緒的な
クリエイティビティ」とは

顧客体験が重要視される今、優れた顧客体験の実現には優れたクリエイティブが欠かせない。
今、求められるクリエイティビティについて、アドビの田口恭平氏に話を聞いた。

顧客は製品やサービスではなく
体験を購入している

ユーザーがスマホなどで価格や機能を簡単に比較できるようになった今、マーケティングの現場では顧客体験への注目が高まっている。何をいくらで売るかより、どうやって「またここで買いたい」と思ってもらうかを考える必要が出てきているのだ。ソフトウエアやクラウドソリューションなどクリエイティブなサービスを提供するアドビのプロフェッショナルサービスセールス本部本部長である田口恭平氏は、「顧客はもはや製品やサービスを買っているのではなく、体験を買っているのです」と言う。

アドビ プロフェッショナル サービスセールス本部 本部長 田口恭平 氏

アドビ
プロフェッショナル
サービスセールス本部
本部長
田口 恭平

典型的な事例が米国にある。売上げの低迷に悩んできた大手家電量販店では、顧客に提供できる価値を再考するところから改善を試みた。それまでは陳列した商品を販売するだけだったが、価格面でECに勝てずにいたのだ。そこで、実店舗だから提供できる価値として、その店舗で買っていない家電も対象にして、使い方を教えたり修理に対応したりする24時間体制の出張サポートを始めた。「提供する体験を瞬間的なものに終わらせず、提供し続けられるようにしたのです。このサービスは、内心では誰かに相談したいと考えていた高齢者を中心に多くのユーザーに受け入れられました。日本でも今後、顧客体験の向上によって競争優位性を獲得する企業が出てくるでしょう」と田口氏は先を見通している。

優れた顧客体験には
なぜクリエイティブが重要か

優れた顧客体験を創出するには、クリエイティブが重要だ。その理由を田口氏はこう解説する。「顧客体験を向上させるには、何が人の心を動かして魅了するのか、どのように魅了するのか、どのように継続するのかを知る必要があります。それぞれのシーンで求められるのは、理詰めのアプローチだけではありません」。

田口氏は「海沿いの町への旅」という文字列と、青く澄んだ海を見下ろす丘に白壁の家々が並ぶ、海外のリゾート地の写真とを比較する。「言葉からもイメージは湧きますが、写真だからこそかき立てられる感情や感性もあります。ですから、顧客体験向上のため、感情に訴えるという方法を取らない、という選択肢はないと思っています」。

コミュニケーションのパーソナライズ化も不可欠だ。「データに基づいて顧客分析をし、自社にとって重要なセグメントをいくつか定義したとします。しかし、提供できるメッセージ、たとえばバナー広告を1種類しか用意していなければ、せっかくのロジカルなアプローチが意味をなさなくなってしまいます。データだけではパーソナライゼーションはできないのです」(田口氏)

このパーソナライズ化は、どこか1つの顧客接点でのみ行えばいいというものではない。

「アドビの考える重要なデジタルトレンドの一つに“パーソナライゼーションを支えるコンテンツ管理の見直し”があります。正しいパーソナライゼーションを維持するには、クリエイティブを適切に取り扱い続ける必要があるからです。管理ができなくては一過性のもので終わってしまいます」(田口氏)

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