日経 xTREND Special

「正直品質。」のファンケルにいったい何が?

コロナ禍にともない、戦略的に顧客接点を増やし、ファン化を進めることが求められる今、各企業が動画コンテンツを中心にデジタルでの情報発信を強化している。こうした流れの中、“バカなことに真剣にチャレンジする”企画など、その面白さでSNSをザワつかせているWebメディアがある。その名も「そこまでやりますチャンネル」、通称「そこチャン」だ。運営しているのは、無添加化粧品や健康食品で知られるファンケル。実直な印象が強い企業だけに、「あのファンケルが?」と驚くようなエンタメ色の強いコンテンツが話題となっている。

株式会社ファンケル
事業企画本部
広告宣伝部
企業広告グループ
岩本 浩昭氏

いったいファンケルは何を思って「そこチャン」を制作したのだろうか。同社では16年より『正直品質。』というスタンスメッセージを掲げ、テレビCMを中心に広告活動を展開。数年で企業の好感度や認知度は上昇した。そこで企業広告を次のステージに進める必要があった。

「そのタイミングとコロナ禍が重なり、新たなコミュニケーション方法を考えようということから始まりました」と話すのは、「そこチャン」担当の岩本浩昭氏。テレビCMは多くの人にリーチできる反面、尺が短く伝えられることが限られる。一方、Webメディアは尺を気にせず、スピーディに情報発信が可能。コロナ禍で世の中のデジタル化が加速していることもあり、Webを媒体とした。

「弊社は研究、製造、販売を一貫して行っているため、商品の背後に様々なストーリーがあります。“まじめ”な企業イメージも一面にすぎず、実はいろんな面がある。こうしたファンケルの多面性を伝えたいという想いから、ただ情報を届けるのではなく、興味を持って楽しく見ることができ、誰かに語りたくなるようなエンタメチャンネルを目指しました」

その想いは「そこまでやりますチャンネル」という新しい形の企業ブランドサイトとなり、2020年10月、コーポレートサイトに新設された。

社員のチャレンジから未病対策、会社参観まで幅広い企画が満載

Webメディアで何より重要なのはコンテンツの内容だ。「そこチャン」では社員のチャレンジ企画から未病対策などタメになる企画、ドキュメンタリー企画まで、ファンケルに縁がない人でも気楽に楽しめる多彩なコンテンツを配信している。なかでも一番人気は、同社の洗顔パウダーで作った泡のもっちり具合を検証する「泡ピンポン」。SNSで反響を呼び、「Twitterでも“バカの方向性がいいね!”というお声をいただき、うれしい限りです」と岩本氏は相好を崩す。

「そこチャン」は、多くの社員が登場することも特徴のひとつだ。例えば、目隠しをして自社のサプリを当てる「利きサプリ」は、一人ひとりの人間味が感じられ、親しみがわく。

「企業は社員の集合体なので、企業の人格=社員の人格だと思います。まじめだけど個性的で面白い弊社の社員を通じて、ファンケルの社風が伝わり、少しでも好きになってもらえれば」と岩本氏。

人気コンテンツ例

また、コンテンツ制作の裏には、苦労や感動のエピソードも。「とくに『FANCL号が行く』は過酷でした。工場のクリーンルームにマイクロドローンが潜入するので、制作スタッフは防塵服で完全装備。夏場の撮影のため防塵服の中は汗だくで、地獄でした。親の職場を見学する『会社参観』では、子どもが親にメッセージを読むシーンで、周りまで感動して涙ぐむことも」(岩本氏)。

まさに、汗と涙の結晶である「そこチャン」コンテンツ。その本気度と面白さが磁力となり、21年6月末時点で延べ130万人がサイトに来訪した。

「コンテンツ数は70を超えますが、今後も研究員が夏休みの自由研究を手伝う企画や新入社員が社長に密着する企画を配信する予定です。一回の来訪で複数のコンテンツを見てもらえるように、面白いコンテンツを増やしていきます」と岩本氏は意気込む。毎週金曜日に新コンテンツがアップされる「そこチャン」。コンテンツの多くは隙間時間に見られる尺なので、気軽にチェックしてみてはいかがだろうか。