日経クロストレンド SPECIAL
技研商事インターナショナル

データの掛け算で
商圏・顧客像を明確化
地図情報システム」の現在地

エリアマーケティングに欠かせない地図情報システム(GIS)は今、進化の過程にある。
具体的にどのような分析が行えるようになっているのか、それをデジタルマーケティングに生かすには
どのような方法があるのか、GISの老舗である技研商事インターナショナルの市川史祥氏に話を聞いた。

地図情報システムで
生活者・商圏構造を理解する

地図データと、国勢調査などで得られる公的な統計データを組み合わせる地図情報システム(GIS)は、国内では30年以上前から使われてきた。その頃からGISを活用したエリアマーケティングを手掛けているのが技研商事インターナショナルだ。1976年に設立された同社は、経験値や土地勘だけに頼らない、客観的なエビデンスに基づいた意思決定をサポートし、現在までに2000社以上の支援を行ってきた。

技研商事インターナショナル 執行役員 マーケティング部 部長 シニアコンサルタント 市川 史祥 氏

技研商事インターナショナル
執行役員
マーケティング部 部長
シニアコンサルタント
市川 史祥

「弊社は、日本全国1億2600万人の全データを取得しています。と言っても個人情報ではなく、何々町何丁目には、たとえば40代の男性は何人いるというような、小地域単位でのデータを持っているのです」

技研商事インターナショナル執行役員でマーケティング部部長、シニアコンサルタントの市川史祥氏はそう説明する。日本全国をカバーする緻密なデータを保有していることが、同社の強みなのだ。

最近は地図データと組み合わせるデータが、GPSなどの位置情報やSNSの投稿、クレジットカードの利用データなど、多岐にわたってきた。こうした新しいデータと地図データの掛け合わせには同社の実績がものを言い、以前よりもより詳細な分析が可能になり、活用の幅が拡大しているという。

データの掛け算で
最新の商圏動態を把握

地図データと他のデータを組み合わせた最先端のエリアマーケティングでは、どのようなことが分かるのか。市川氏が自主的な調査を基に解説していく。

「大手ファミレスチェーンがテイクアウト専門店という新業態に挑戦しました。その1号店の立地は、本当にテイクアウト専門店に向いているのか、イートインの店にするべきだったのかを自主的に調査してみました」

店舗の商圏は徒歩10分圏内とすると、その商圏の夜間人口や家族構成、1世帯当たりの食料消費額などがすぐに分かる。そうしたデータを別の地域や全国平均と比べると、その地域が、イートインを提供しないテイクアウト専門店に適しているかどうかが可視化されるのだ。

「テイクアウト専門店はすでに2号店もあります。その商圏も同様に分析してみたところ、構造はほぼ一緒でした。このファミレスチェーンは、しっかりと商圏分析をしたうえで出店戦略を立てていることが推察されます」(市川氏)

従来の公的設計に加わる新たな分析軸

次に大手ホームセンターの新店出店を例に、市川氏が自主調査を行った。ファミレスの例と異なるのは競合の影響を加味する点だ。商圏は車で20分の範囲とすると、競合店が2店ある。

「新店出店の際には、どの程度のお客さんを期待できるかという数値を『吸引人口』として算出できます。もちろん既存の競合店2店の『吸引人口』も算出できますが、新店出店によってどれくらい目減りするかといったデータも算出できます」(市川氏)

携帯電話のGPSデータと掛け合わせると、新店を含めた3店舗に、どの世代の、どのあたりに住んでいる人が来ているのか、または3店舗間の併用度なども分かり、新店開店後のいわゆる開店特需の間の来店者数とその後の来店者数といったような、時系列での比較もできる。

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