ディープラーニングで変わるビジネス ディープラーニングで変わるビジネス

ものづくり現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)への
関心が急速に高まっている。

それを支えるのが、AI(人工知能)、
とりわけ画像認識などを得意とするディープラーニングという技術だ。

カーボンニュートラルなど外的環境が劇変する自動車業界にあって、
武蔵精密工業の大塚浩史社長はデジタルで工場を変えていく。

AI(人工知能)をインフラにして、工場の在り方をガラリと変える──。

四輪車・二輪車向け部品の開発・製造・販売を手がける武蔵精密工業の大塚浩史社長が描く、ものづくり現場の将来像だ。自動車業界はいま、100年に1度と言われる大きな変革期にある。自社が動かなければ、相対的に沈む。大塚氏が目を付けたのが、画像認識に優れるディープラーニングなどAIを全面的に活用することだった。

人員配置の「2:6:2」

トランスミッション(変速機)など、自動車の基幹部品を武蔵精密工業は手がけている。工場内の人員配置をAIでガラリと変えてしまう。それが大塚氏にとってのDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。

荷受けから所定のラインへ部品を運ぶ工程が、工場全体の人員の約2割、ものづくりの中核である製造に携わる人が約6割、そして最終工程の検査を担当するのが約2割だという。このうち、搬送や検査といった比較的単純な作業はAIに任せて、従業員は付加価値の高い分野へシフトさせる。これにより、工場の在り方そのものを大きく変えようとしているわけだ。

武蔵精密工業株式会社

武蔵精密工業株式会社

事業内容: 輸送用機械器具の製造および販売/本社所在地: 愛知県豊橋市/設立:1938年/連結従業員数: 16,113人 (2020年3月末現在)

部品点数は1/3に

現在、世界的に自動車業界はコネクティッド、自動化、シェアリング、電動化と呼ばれる領域で技術革新が急速に進んでいる。とりわけ電動化シフトによって、自動車製造に参入する企業が多様化するだけでなく、製造に使われる部品点数も従来の3分の1程度へ激減するとも言われている。新たな局面を迎えた競争はすでに、勝ち負けではなく、生きるか死ぬかという問いを経営者に突きつける。大塚氏が出した答えが、AIでものづくりの現場を変えることだ。

新型コロナの影響で、武蔵精密工業の現場を記者が直に見ることはできなかった。が、SDVと呼ぶ自動搬送車が工場内を行き来しているという。「まだ部分的にしか導入できていませんよ」と大塚氏は言うが、実際の製造現場で使用している。AIの一つの手法であるディープラーニングが得意とする画像認識技術を使って、人やモノを避けながら、目的の場所へ部品を運ぶ。

だったら自社で
無人搬送機をつくってみよう

だったら自社で無人搬送機をつくってみよう

かねて、無人搬送機に強い関心のあった大塚氏。試しに購入してみたが、高価なわりに効果がない。「搬送機ごとにカメラとAIが付いているから、値段が上がりしかも効率が悪い」と大塚氏は言う。だったら自社で作ってみよう。そう考えて開発に入る。

カメラは搬送車ではなく工場の天井に効率的に配置した。SDVが人などにぶつからずに最も効率的なルートをAIが選択、それぞれのSDVに指示を出す。それを「セントラル・コントロール・システム(CCS)と呼んでいるんです」(大塚氏)。

武蔵精密工業が提供している自動搬送車(SDV)

武蔵精密工業が提供している
自動搬送車(SDV)

検査工程にもAIを導入する。大塚氏は言う。

「自動車に搭載される精密部品は人の命を預かっているだけに、不良品が許されない100%保証。1枚の歯車のどこにどんな傷が付くのか分からない。だから熟練作業員の目に頼らざるを得ませんでした」

検査工程では、ギヤの部品表面にある50ミクロンほどの傷を見分けていく。髪の毛の半分ほどの小さな傷だ。やはりこれも、ディープラーニングの画像認識技術を使うことで、傷の有無を自動的に検査する。人による目視検査も続けながら、AI検査も既に実ラインへ導入済みだ。「AIを使った検査システムは、トヨタ自動車の工場にも納入されている」と、その正確性に大塚氏は自信を見せる。大塚氏はなぜここまでAIに注目するのか──。

NEXT

2018年1月、すべてが変わった

日本ディープラーニング協会が
情報サイト「DL for DX (Deep Learning for Digital Transformation)」を公開

DL for DX

日本ディープラーニング協会はビジネスパーソンに向けて、ディープラーニングのビジネス活用をより理解してもらうために、「DL for DX」をテーマに情報発信を行う新サイトを公開した。コンテンツ第一弾はAI研究の第一人者である東京大学の松尾豊教授と、数々の企業でAIによるDX推進に取り組む野口竜司氏による対談。今後もディープラーニングを活用したDX推進事例のご紹介や、「データ×AI」のリテラシー習得に関するニュース、イベントのご紹介など、「ディープラーニングとは何か?」「ディープラーニングで何ができるのか?」を理解するための様々なコンテンツを発信していく。

「DL for DX」 Webサイトへ

CONTENTS

お問い合わせ
一般社団法人 日本ディープラーニング協会
https://www.jdla.org/