ディープラーニングで変わるビジネス ディープラーニングで変わるビジネス

伝統的な業界と最先端のAI(人工知能)。
対極にありそうな二つが触れ合うときイノベーションが起こるという。

例えば日本酒造りの工程にディープラーニングを活用し、
造り方そのものを変えていく。

AI活用のima(あいま)の三浦亜美社長は
DX(デジタルトランスフォーメーション)の先に何を見るのか。

伝統的な事業や業界に関心があった。自らの生い立ちが関係しているのかもしれない。伝統産業などでAI(人工知能)活用支援をするima(あいま、東京・港)社長の三浦亜美氏はこんな見立てを披露してくれた。

「伝統的な産業とAIって、最も遠い存在だと思うじゃないですか。ただ、こうした対極にありそうなもの同士が触れ合うと、そこにバッとイノベーションが起こるんです」

隣り合う技術が結びついて起こるのが技術の進化だという。イノベーションは、あまり関係がないもの同士、つまり相関が薄いもの同士を相互に作用させることで起こる。それによって三浦氏は、価値ある伝統的な事業を承継させたい思いがある。

三浦 亜美氏

ima(あいま)の創業者で代表取締役CEO、アーティスト。志本創業者。愛知県名古屋市出身。ほか、東京都 スタートアップ・エコシステム 東京コンソーシアム アドバイザー、デジタルハリウッド大学特任准教授などを務める。Forbes JAPANによる「SELF MADE WOMEN 100」に選出。2021年、Appleアンバサダー茨城県代表に選出

祖父母は愛知の柔道を
立ち上げたのに…

かつて材木や料亭で財を成した家に育った。名古屋城の庭には実家が寄贈した岩が今も残る。柔道家の曽祖父は愛知県の柔道連盟を立ち上げ、また新体操でリオ五輪に出場した従姉妹もいる。せっかくの輝かしい過去の実績。なのに、それがきちんと受け継がれていない気がする。より前向きに後世につないでいきたい。そうした思いがビジネスの面でも三浦氏を駆り立てる。

手掛けた一つがAI酒だ。日本酒造りの工程の多くは、いまでも職人芸に支えられている。こうした工程全体を管理するのは、杜氏(とうじ)と呼ばれる熟練の人たちだ。杜氏という職が代々受け継がれていかなかったら、日本酒造りは途絶えてしまう恐れだってある。

「南部美人」の酒蔵が協力

日本酒造りを受け継いでいくため、工程にAIを導入することはできないか。そんな実証実験を試みる。頼った先が、岩手県にある酒蔵「南部美人」の社長で、知己の久慈浩介氏だった。「業界の将来のためになるなら、ということで、もともと先端技術に関心の高い久慈さんと一緒に取り組むことになりました」と三浦氏は語る。

人手を中心とした伝統的な業界にAIを導入して、造り方を大きく変える。日本酒造りのDX(デジタルトランスフォーメーション)とも言える取り組みだ。AIの中でも、画像認識を得意とするディープラーニングを使って、杜氏たちが目で判断する工程を置き換えていく。それが実証実験の狙いだ。

杜氏たちが目で判断する工程をAIで置き換え、酒米にとって最適な浸漬時間をデータ化する

杜氏たちが目で判断する工程をAIで置き換え、酒米にとって最適な浸漬時間をデータ化する

「浸漬」工程にディープラーニング

日本酒造りは、精米、洗米、浸漬、蒸米という段取りを経て、仕込みに入る。杜氏たちは味覚、嗅覚、視覚を駆使して酒を造り上げていく。精米したものを洗った後、蒸米の前に水に浸すのが浸漬という工程だ。その時間の長さによって、酒米への吸水率が変わっていく。この時間が適切でないと、その後の発酵などがうまくいかない。

浸漬では酒米を、その形状や色がほどよく変わったタイミングで取り出す必要がある。酒米の質、あるいは水温や気候条件にも影響を受けるだけに判断が難しい。この浸漬工程は、視覚だけで作業を行うため、そこにディープラーニングを活用すれば、杜氏たちの役割の一部を代替でき、日本酒造りが後々まで承継されるきっかけになると三浦氏は考えた。

この実験を通じて三浦氏が実現したかったこと。その一つは、ディープラーニングの画像認識の精度が、浸漬工程で“使いもの”になるかを確かめること。それは確認できたという。そしてもう一つは、伝統産業に先端技術を導入する過程で、関係者たちが知見を持ち寄り、業界全体を変革する契機にしたいということだった。

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