手間を惜しまぬ「丸亀うどん弁当」大ヒットの必然 丸亀製麺クオリティを貫き600万食※超え! 手間を惜しまぬ「丸亀うどん弁当」大ヒットの必然 丸亀製麺クオリティを貫き600万食※超え! 手間を惜しまぬ「丸亀うどん弁当」大ヒットの必然 丸亀製麺クオリティを貫き600万食※超え!

丸亀製麺の「丸亀うどん弁当」が売れに売れている。4月13日の発売から、2カ月超で600万食※を突破。人気の秘密はどこにあるのか。その答えをもっともよく知るのは、同社社長にして本商品の生みの親である山口寛氏。「日経トレンディ」元編集長で、自他ともに認めるうどん好きの能勢剛氏が、大ヒットに至る経緯と戦略を山口氏に聞いた。
取材のため、特別に店内で「丸亀うどん弁当」を食べさせていただきました。
※2021年6月22日現在

株式会社コンセプトブルー チーフエディター 能勢 剛さん

株式会社丸亀製麺
代表取締役社長
山口 寛さん

2008年、株式会社トリドールに入社。複数の丸亀製麺店舗で店長やマネージャーを経験した後、店舗運営改善業務を経験。その後、複数店舗を統括するチーフマネージャー、関東営業部部長、本部長を歴任する。2020年に丸亀製麺がトリドールから分社化する際に社長に就任。

株式会社丸亀製麺 代表取締役社長 山口 寛さん

株式会社コンセプトブルー
チーフエディター
能勢 剛さん

「日経トレンディ」「日経おとなのOFF」の編集長を務めた後、日経BPコンサルティング取締役編集担当としてカスタム出版部門を統括。2016年に独立し、メディア制作会社コンセプトブルーを主宰。東京に出店してきた讃岐うどんの店にハマり、今も週1~2回のペースでうどんを食べ続けている。

作りたての矜持を四角い容器に詰めた
テイクアウト業界に一石を投じる風雲児

テイクアウトサービスそのものは、昨年から開始していた。麺の温冷、だしの温冷、好みのトッピングを選べる店内飲食とほぼ同じスタイル。コロナ禍で高まるお持ち帰り需要もあって、売上は堅調に推移していた。

だがしかし、丸亀製麺はさらなる一手を打ってきた。それが「丸亀うどん弁当」の市場投入だ。ひとつの容器に麺と袋詰めのぶっかけだし、それにあらかじめ組み合わせが決められた複数の天ぷら、さらには玉子焼きときんぴらごぼうを詰め込んだテイクアウト専用の商品。

あえて商品チョイスの自由度をなくしたのはなぜか? このスタイルで、ブランドのキャッチコピーでもある「ここのうどんは、生きている」、つまりは打ち立て、茹でたての丸亀食感を実現できるのか? 発売開始から2カ月超で600万食というロケットスタートを切ったと聞いてもなお残る疑問を、社長の山口氏にぶつけた。

ーーうどんを弁当にするという発想はどのように生まれたのですか?

株式会社コンセプトブルー チーフエディター 能勢 剛さん

2020年5月にテイクアウトサービスを開始しました。それで売上は伸びたのですが、やはり単なる持ち帰りではなく、丸亀製麺としてテイクアウトの新しい価値を打ち出したかったんです。

一方、持ち帰りサービスでは、導入時にはオペレーションに慣れず現場が混乱してしまうという事情もありました。うどんとだしとトッピングをそれぞれの包材に詰めて、袋に入れてお客さまにお渡しする。この一連の流れに手間取ってしまったこともあり、多くのお客さまをお待たせしてしまう状況が生まれてしまいました。テイクアウトのお客さまだけでなく、店内でお召し上がりの方にもご迷惑をおかけしてしまった。これは早急にどうにかしなければいけないという課題がありました。

そこで行き着いたのが弁当というスタイルだった、というわけです。容器をひとつにして、そこにすべて詰めればスタッフの手間を軽減し、お客さまにもご迷惑をおかけしない。我ながらいいアイデアだと思いました。

株式会社丸亀製麺 代表取締役社長 山口 寛さん

ーーただ、「丸亀うどん弁当」は基本的に冷たいぶっかけうどんです。温かいうどんを食べたい人もいるでしょうし、弁当には入っていない天ぷらが好きな人もいます。そのあたりのことは、どうお考えでしたか?

確かに、好きなうどんと好きな天ぷらを自由に組みわせて、オリジナルのメニューを注文できるのは丸亀製麺の強みのひとつです。しかし、その自由度の高さが逆にテイクアウトの際には、敷居の高さにもなっていたようなのです。「食べてはみたいけど、オーダー方法が難しそうで…」と敬遠していらっしゃったお客さまも、「丸亀うどん弁当」で新たに呼び込めました。「これがおすすめの組み合わせですよ」と、店側からいくつかのパッケージを提示することで、特に丸亀初心者のお客さまには喜んでいただいているようです。サッと買ってサッと帰れるというのも、今の時代にマッチしているのではないでしょうか。

ーーうどんの種類、トッピングの組み合わせは、どのように決めたのですか?

株式会社コンセプトブルー チーフエディター 能勢 剛さん

うどんは、やはり冷たいほうが時間が経っても食感が落ちにくい。4月発売が決まっていたので、テスト販売を繰り返したのは冬場。なかなか冷たいぶっかけは受け入れられにくかったのですが、そこは信念を曲げずに貫き通しました。

天ぷらに関しても試行錯誤を繰り返しました。ほぼすべての弁当に入れているちくわ磯辺天は、当初候補には挙がっていませんでした。海老天や鶏もも天を軸に開発を進めていたのですが、どうも“弁当っぽさ”が弱いのが気になっていたんです。そこで、ちくわ磯辺天を加えてみると、ぐっと弁当らしくなった。テスト販売でも好評だったので、今の組み合わせに落ち着きました。

ーーあくまでも“弁当”であることが重要なんですね?

麺類をお持ち帰りするのって、やはりなんとなく抵抗感がありませんか? だしをこぼしそう、うどんが伸びてしまいそう、といったネガティブなイメージがどうしてもつきまといます。テイクアウトが浸透したこの1年でも、まだそれは世間から払拭されていないように見えるんです。ただ、単純なことなのですが“弁当”とネーミングすることで、そのイメージを少なからず覆せたと思います。やはり古くから日本に浸透しているテイクアウトのスタイルですからね。なので、弁当っぽさにはこだわりました。細かなことですが、容器を四角くしたのもそのためです。

ーー玉子焼きときんぴらごぼうも、弁当らしさを感じさせます。

この2つは、店内での販売はせず「丸亀うどん弁当」のためだけに開発しました。弁当にはやはり玉子焼きが欠かせませんし、きんぴらごぼうはいい箸休めになってくれます。とくにきんぴらごぼうは、開けた蓋の上によけておいて食べてもいいですし、だしに浸しても美味しいですよ。数10種類の試作品のなかから、だしに負けないよう少し甘めの味付けにしたものを採用しました。

弁当らしさにこだわった「丸亀うどん弁当」

ーー丸亀製麺の命はうどんだと思います。弁当の開発にあたって、うどんにはなにか手を加えたのでしょうか。

「弁当なんだから、作りおきの麺をあらかじめ詰めておいて提供しているんでしょ」と思われる方もいるかもしれません。確かに、効率だけを追求すれば、そちらのほうがいいのは分かりきっています。ただ、それをした瞬間に、丸亀製麺の価値は失われてしまいます。打ち立て、茹でたての麺をお客さまに提供する。生きた麺を楽しんでいただいてきたからこそ、丸亀製麺は多くの方に愛され成長してこられたのです。「丸亀うどん弁当」も、店内で提供しているうどんと、まったく同じ打ち立て、茹でたてのものを提供しています。ですから、弁当の開発において、うどんの部分では苦労はありませんでした。今あるものを、自信を持ってお出しするだけでしたので。

持ち帰る時間で味が劣化することもありません。できれば20分以内にお召し上がりいただきたいですが、食感や風味は1時間以内であればそれほど変化しないという実験結果が出ています。

ーーでは、あらためて丸亀製麺のうどんについて教えてください。あの弾力ある食感と小麦の風味は、どのようにして生まれているのでしょう。日本のうどんの多くは、オーストラリア産小麦を使用していると聞いていますが。

まず、小麦粉は創業当初から国産にこだわり使用しています。小麦粉の風味と甘み、そして少し黄味がかっている麺が丸亀製麺の特徴です。また、丸亀製麺では、セントラルキッチン方式ではなく、各店で粉から毎朝打って、寝かせ、切りたて、茹でたてを提供する。うちのうどんの美味しさについて、それ以上の秘密はありません。

丸亀うどんのうどん

ーーだしには、どんな工夫をされているのですか?

鰹節、昆布、アゴ等を使用しだしを各店で引いています。少なくとも2時間に一度は引いて、常に新鮮なだしの風味を感じていただけるようにしています。香り豊かなだしを味わっていただくには、このくらいの頻度で引いてだしの鮮度を保たなければいけないんです。

丸亀うどんのうどん

ーーこれだけの手間を、弁当にも同じくかけているんですね。発売後の反響は、いかがでしたか?

株式会社コンセプトブルー チーフエディター 能勢 剛さん

おかげさまで、発売開始から多くのお客さまにお買い上げいただくことができました。想定していたのは、それまでもテイクアウトをご利用していただいていたお客さまでそのテイクアウト利用者が、そのまま弁当にスイッチしてくださるのでは、と予想していたんです。

しかし、蓋を開けてみると、弁当を買ってくださるのは、ほとんどが新規のお客さま。それまでのテイクアウトの売上は横ばいで、弁当の売上が純増で加わりました。これは嬉しい誤算でしたね。

ーーそれは、やはりオーダーの難しさから入店をためらっていた、潜在的な顧客を取り込めたことが大きいのでしょうか。

それもひとつの理由だと思いますし、もうひとつ、あらためてテイクアウトという販売スタイルを告知できたのが大きかったように思います。2020年5月以来、ほぼ1年間テイクアウト販売をしてきましたが、まだまだ世間に浸透していなかったようです。弁当販売を始めてやっと「丸亀製麺ってテイクアウトをやってたんだ」と、知っていただいたお客さまがものすごく多いんです。

忙しいビジネスパーソンだけでなく、ファミリー層の利用が多いのもその現れだと思います。ショッピングセンター内など、ある程度店内スペースに余裕がある店舗でも、弁当の売上は伸びています。

株式会社丸亀製麺 代表取締役社長 山口 寛さん

ーーそれでは、弁当、あるいはテイクアウトサービス全体について、今後はどのようなビジョンをお持ちでしょうか。

日本の食市場は大きく変化しました。コロナが収束しても、テイクアウト市場が急速に縮小するとは考えていません。むしろコロナは、潜在的なテイクアウト需要を掘り起こすきっかけになったと思います。今後は、弁当やテイクアウト販売の売上も事業の柱としていきたいと考えています。そのために、テイクアウト推進事業部も立ち上げました。店内飲食の事業とは完全に切り離し、丸亀製麺らしいテイクアウトの新たな価値を創造していきたいですね。

ーーテイクアウトサービスを、弁当だけに一本化するお考えもあるのですか?

現在、弁当の売上は全テイクアウトの売上の中でも大きく、弁当専用の窓口の設置も進めていますし、将来的にはお持ち帰り専門店を立ち上げることも含め色々な可能性があると思っています。経営者としては、当然その道も探っていかなければならないのですが、やはり温かいうどんを持ち帰れないとなると、残念な想いをされるお客さまもいらっしゃると思うので難しいところですね。丸亀製麺としてできたて・手づくりの商品をどうご提供すればお客様に喜んでいただけるのか。夏だけではなく、冬になったらどうか。色々なことを視野にいれ今後のことは議論していきたいと思います。

ーー6月8日からは、夏の新作弁当も販売開始となりましたね。

豚の冷しゃぶや徳島県産のすだち、おろしポン酢を使った夏らしいメニューです。今後も、四季を感じられる商品を開発して提供していく予定です。今までになかった、丸亀製麺の新しい価値として弁当を認知していただき、売上の柱となるよう、大切に育てていきたいですね。

※「丸亀うどん弁当」夏の新作2種(豚の冷しゃぶと定番おかずのうどん弁当/鶏天おろしと定番おかずのうどん弁当)は7月26日までの期間限定商品

丸亀 うどん弁当

取材を終えて能勢 剛さん

株式会社コンセプトブルー チーフエディター 能勢 剛さん

テイクアウトサービスの一環としてではなく、まったく新しいコンセプトとして弁当が生まれたという話は面白かったですね。ご飯をうどんに置き換え、ワンパッケージで提供することで今までにない価値を創造した。しかも、「弁当=作り置き」という常識を打ち破り、丸亀クオリティで商品化したことが、新規ユーザーの開拓につながったんですね。アフターコロナでテイクアウト市場がどう変化し、それに合わせて「丸亀うどん弁当」がどう進化していくのか、うどんラヴァーとして追いかけていきたいと思います。

丸亀うどん弁当

豚の冷しゃぶと定番おかずのうどん弁当

鶏天おろしと定番おかずのうどん弁当

2種の天ぷらと定番おかずのうどん弁当

3種の天ぷらと定番おかずのうどん

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