日経クロストレンド SPECIAL
ネオマーケティング

必要なのは
想起されるブランディング
これからのブランド戦略とは

生活者は、自分がよく知っているブランドの中から、以前よりも短時間でものを選んで買っている。
生活者にとって“よく知っているブランド”になるにはどうしたらいいのか。その手法と前提となる考え方について、
ネオマーケティング顧問の福徳俊弘氏と同社の松田和也氏に聞いた。

コロナ禍で変化が進む
生活者の購買意識

ネオマーケティングは「生活者起点のマーケティング支援会社」を事業コンセプトとし、インサイトの発見、商品開発、プロモーション、改善施策までを一気通貫でサポートしている。その同社が2021年6月に行った調査では、興味深い結果が得られたという。「生活者が購買にかけている時間が短くなり、知っているブランドを選ぶ傾向が強くなっていることが分かりました」と同社カスタマードリブンディビジョン マネージャーの松田和也氏。この背景には、スマートフォン利用の常態化と商品のコモディティ化があるというのは同社顧問の福徳俊弘氏だ。

ネオマーケティング 顧問 福徳 俊弘 氏

ネオマーケティング
顧問
福徳 俊弘

「スマホのある生活が当たり前になったことで、隙間時間でECサイトを検索し、スワイプひとつでものを買う、そして翌日には自宅に届くことがスタンダードになっています。日常の時間が非常に小刻みになっているのです。また、同じような商品が多く目に入るので、何を選んだらいいのかが分からなくなっていて、その結果、知っているブランド、安心できるブランドから選ぼうとするのでしょう」

こうした流れを加速したのが、コロナ禍による日常生活のDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。

「とにかく早いこと、ストレスがないことが以前に増して重要視されるようになりました。この価値観は、強くなることはあっても逆戻りはしないでしょう」(福徳氏)

ブランディングの見直しが
中長期&短期売上げにつながる

従来、デジタルマーケティングの分野では主要なKPIにコンバージョンが挙げられることが多かった。

「目の前の売上げを最大化するにはそれが適していました。しかし、生活者の頭の中にないブランドがその短期のエンジンを回し続けても、成長は見込めません。短期で売上げを上げるためにも、まずは生活者に候補として挙げてもらえるよう、中長期的な視点でブランドを育成する必要があります」(福徳氏)

分母はそのままに分子を大きくするのではなく、分母から大きくしていかなくてはならないのだ。では、具体的にはどうすればいいのか。「ここに頭を悩ませている企業が多い」という松田氏の指摘を受けて、「そうした企業に必要なものは2つあります」と福徳氏が解説した。

ネオマーケティング カスタマードリブンディビジョン マネージャー 松田 和也 氏

ネオマーケティング
カスタマードリブンディビジョン
マネージャー
松田 和也

「1つはそのブランドらしさとは何かを今一度確認することです。つまり、最初にブランドを開発したときの思いや志、本質的なベネフィットに立ち返ることです。そして、そのブランドらしさを、どのようなコミュニケーションの接点でも一貫して示すことが、もう1つの必要なことです」

この2つが整って初めて、具体的な施策を打てるのだ。しかし、その具体的な方法は「ブランドの置かれた環境やカテゴリーによって異なります」と福徳氏は言う。次ページでは、ブランディングについて具体的に見ていきたい。

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