日経クロストレンド SPECIAL
ネオマーケティング

必要なのは
想起されるブランディング
これからのブランド戦略とは

そのブランディング活動は
本当に効果を発揮しているのか

たとえば、ビールやヨーグルトを買うとき、ぱっと頭の中に浮かぶブランドは2つか3つという人が多いだろう。その2つか3つの候補を「想起集合」と呼ぶ。

「その想起集合に入れていないと、生活者からは選ばれません。ですから、今、ここに入れているのかを把握し、入れていないのならどうやったら入れるか、入れているのならそこでどうやってトップになれるのかを考える必要があります」(福徳氏)

その戦略の立案に有効なのが、同社が日本のマーケティング研究の第一人者である早稲田大学商学学術院教授の恩藏直人氏との共同研究によって開発した調査スキーム『エボークトセット調査』だ。これは、カテゴリーごとに具体的な想起集合などを調査するもので、生活者は、ビールを飲みたいとなったらどのブランドを、ヨーグルトを買う場合にはどのブランドを頭に思い浮かべているかを定量的に可視化するものだ。

ブランディングでは何を評価するのが効果的か?

開発の背景には、ブランディング活動の効果をどのように測定すべきかという課題があったと松田氏は言う。

「ブランディング活動には多くの予算が投入されていますが、その効果の測定方法が確立されておらず、そのブランディング活動によって目指す方向に近づけているのかどうかが分かりにくいという課題がありました」

しかし、『エボークトセット調査』を使えば効果が分かりやすい形で把握できる。

「想起集合に入るブランドは売上げでも上位に入るという相関関係があるので、効果の測定ができるのです」(松田氏)

『エボークトセット調査』を活用し
ブランドらしさを追求する

『エボークトセット調査』では、ブランドの属するカテゴリーで、生活者が名前を知っているブランド(知名集合)、特定の製品属性で評価されるブランド(処理集合)、購買時に選択の候補として想起するブランド(想起集合)、さらに、ネオマーケティング独自の指標である、処理集合のうち誰かに勧めるブランド(推奨集合)それぞれを調査する。

「ある生活者の想起集合に入ることは、その生活者が購入する可能性が高いブランドです。一方で、推奨集合に入るブランドは、将来的に伸びしろがあるブランドと言えます。どちらがいいのかは一概には言えません。ブランドによって、そのブランドらしさに違いがあるからです」と松田氏は言う。

エボークトセット調査スキーム

目指す方向と立ち位置のギャップに気づければ、どのようなブランディングをすべきか、具体的な手段を絞り込みやすくなる。福徳氏はこの『エボークトセット調査』で定期的に自社ブランドについて調査し続けることが、そのブランドに最適なマーケティング施策への近道だという。

「想起集合に入っていて、かつ、シェアや売上げの高いブランドも、想起集合に入っているのにシェアや売上げの低いブランドもあります。低い場合は、マーケティングのどこかに問題があるということです。実際に、そこに着目してマーケティングの改善を進めている企業もあります」

生活者は今、どのブランドを買おうとしていて、どのブランドを人に勧めるのか。自社ブランドはそこに入っているのか。それを知ることが、これからのブランド戦略の第一歩になる。

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