日経クロストレンドSpecial

従来のリストを一新し顧客データを有効活用 顧客の再来店と常連化を実現したマーケティング施策を探る

飲食業界では、新規顧客の獲得に加え、リピート客の定着も重要な課題だ。2つを両立させるマーケティングについて、エムアンドケイの萩原弘太郎氏と日経クロストレンド発行人の杉本昭彦が対談した。

金沢、能登の新鮮なネタを全国の回転寿司で提供

杉本 エムアンドケイさんは、回転寿司やとんかつ、イタリアンなど、複数の飲食チェーン事業を展開されていますが、中でも中心となっているのが、回転寿司の「金沢まいもん寿司」ですね。

萩原氏 はい。地元である金沢の3店舗の他、関東エリアで6店舗、関西と東海で2店舗ずつ、福岡で1店舗、さらに海外初店舗として台北にも出店しています。

杉本 回転寿司は価格競争も含めて群雄割拠というイメージですが、金沢まいもん寿司の特徴、売りはどのあたりでしょうか。

萩原氏 やはり、まずは北陸の新鮮な海の幸ですね。地元店舗だけでなく、全国のお店で産地直送のネタを提供できるのは強みだと思っています。価格競争というお話が出ましたが、当社は味や新鮮さに加え、寿司職人も自社で育成しており、付加価値の高い商品を提供しているという自負があるので、価格を下げることが最優先ではありません。そのため、商品力を意識した1000円皿というものも提供しています。

杉本 となると、ビジネスパーソンが毎日ランチで来店するというイメージではありませんね。客層はいかがですか。

萩原氏 金沢の3店舗は観光客がメインですが、全体的にはファミリー層が多いのが特徴です。付加価値を高めている分客単価はやや高めの設定なので、お孫さんが祖父母におねだりするとか、何らかの記念のお祝いとか、家族がそろってご利用いただくといったイメージが近いと思います。店舗づくりもそうしたおもてなしができるよう、加賀百万石を意識した豪華な内装になっています。

はがきやDMは費用対効果が悪く断念

杉本 観光客やファミリー層がメインとのことですが、顧客管理などはやられていましたか。

萩原氏 100円のお食事ごとに1円相当のポイントが貯まる「寿まいるカード」という独自のポイントカードシステムがありました。会員登録時に、名前と住所、メールアドレスを記入していただいていたので、一応は顧客リストがあるといった状態でした。

杉本 「一応は」という注釈が付くということは、顧客リストはあるけれど、あまり活用できていなかったということですか。

萩原氏 できていませんでしたね。お客様が記入された情報は紙ベースなので会員数が多くなると入力も大変ですし、住所・氏名では属性も分からないので活用の仕方が分からない。はがきやDMを送っていた時期もありますが、宛名シールを作成してみんなで貼るような状態だったので手間も膨大ですし、セグメントができていない状態でDMをただ送っても効果が薄かったため続きませんでした。

杉本 観光地の外食産業の課題として、観光客は来店頻度が高くなりませんし、客単価が高めの設定だと地元のファミリー層も毎週来るというわけにはいかないというのはありますね。そうした課題がある中で、どのような対策を考えられたのでしょうか。

萩原氏 ブランド力アップという点では、ウェブサイトや地元のテレビCMに力を入れています。また、顧客データを活用しきれていなかったポイントカードの刷新も、お客様の固定化やリピート率のアップにつながるのではないかということで検討しました。

店舗外観
加賀百万石を連想させる豪華な店内で、北陸の新鮮な海の幸を味わえる「金沢まいもん寿司」。職人を自社で育成するなど、高付加価値の商品づくりで国内14店舗、海外1店舗を展開
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