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Cookie規制はマーケティング変革のチャンス 顧客の体験価値を向上させるマーケターの新しい武器とは何か

Cookie規制はマーケティング変革のチャンス 顧客の体験価値を向上させるマーケターの新しい武器とは何か

あらゆるデータを一元化し、マーケターが扱える状態に保つプラットフォームが必要

顧客体験を向上するマーケティング活動のためには、ファーストパーティーデータの拡充とリアルタイムの更新が重要だ。桑野氏は、その実現のためには、顧客データを1つに集約するデータ基盤(カスタマー・データ・プラットフォーム=CDP)が必要だと語る。

「企業が蓄積している顧客接点に関するデータは、Web上の行動データだけはありません。資料請求や購買記録、さらにはリアルの店舗での活動をIoTセンサーで収集したデータや、購入した機器がネットに接続して送ってくる使用状況など、多岐にわたります。人、モノ、サービスに関わる膨大なデータを統合し、リアルタイムに更新するプラットフォームが必要なのです」

そのデータを統合する基盤として、オラクルは「Oracle Unity」というサービスを提供している。顧客のファーストパーティーデータをはじめ、リアルタイムのIoTデータなど、オンラインとリアルの間を行き来する際の記録を余すことなく収集する。マーケターは、これまで部門間のサイロに閉じ込められていた顧客データの全貌を、1つのビューとして見ることができるため、新たな示唆を得ることができるだろう。

「データが物理的に1つのデータベースに入っているわけではなく、論理的に統合されているということが大きな特徴です。データを無理に移動したり、ビッグデータを保存するためのストレージのコストも必要ありません。実態は別のところにあっても、分析や処理に使える状態になっています」(桑野氏)

顧客データの一元化によって示唆が得られた例として、桑野氏は家庭用のスマートスピーカーを挙げる。スマートスピーカーは、家の中で複数台を違う場所に置いて、スマートフォンで管理できるようになっている。その際、個々のスピーカーに名前を付けられるのだが、データを見ると「バスルーム」という名前が非常に多かった。このことから、ユーザーは風呂または洗面所でこのスピーカーを使っていることが分かり、防水機能を強化するべき、などの議論が生まれたという。

「これまでバラバラに集めていたデータも、統合していくことで関連性が見えてくれば、意味を持ってきます。その結果、新しいオファリングを出す余地が生まれて、顧客体験が高められます。結果的に、企業の競争優位につながるのです」(桑野氏)

「データを統合することで、レコメンド1つとっても可能性が広がります。ECサイト等のアルゴリズムのみに頼らない、自社ならではの法則も見つけていくことができると考えています」(横大路氏)

また、顧客データを統合することで、マーケティングはより個人に合わせてカスタマイズできるようになる。

オラクルが2021年からテクニカルスポンサーになっている、F1のレッドブル・レーシング・ホンダチームは、レースに勝つためのビッグデータ分析基盤としてオラクルのデータテクノロジーを駆使しているが、それだけでなく、「ファンエクスペリエンス」と呼ぶエンゲージメントを向上させる施策にも取り組んでいる。Oracle CXを活用することで、よりカスタマイズされたコンテンツを提供しファンとの距離を縮め、究極の1to1コミュニケーションをする取り組みを始めている。従来のスポーツのスポンサーとは一線を画すマーケティングの手法だ。

オラクルが支援するデジタル・カスタマージャーニーの最適化

共通プラットフォーム上の単一の顧客データを使うことで、顧客の認知から検討、購入、利用、
そして次のニーズへと、一連の行動をつなぐループを描くことができる。

データ基盤+アプリケーションがそろってマーケターの武器になる

ただし、仮にデータを統合した基盤を持っていても、施策のたびに開発が必要では、成果を出すのは難しいと桑野氏は語る。

「オラクルはCDPをSaaSとして捉えており、機械学習などの高度な機能も含めて、現場のマーケターが自由にデータを操れるアプリケーションとして提供しています。そのため、マーケターが仮説を検証したいと思ったときに、直接データを引っ張ってきて確認することができます。これは大きなメリットです」

企業内のデータが統合されることで、これまで評価が難しかった、顧客の長期的な利益(LTV)への貢献も仕事の成果として認めることができる。

「CX向上が企業価値の向上につながることが証明できれば、真のデータドリブンな経営へ前進すると考えています」(横大路氏)

桑野氏は最後に、「コロナという想定外の事態が起きて、持続的に成長するには何が必要かを問い直している企業も多いと思います。オラクルは、長年データベースを開発してきた知見を生かし、信頼されるアドバイザーとして経営を支援していきます」と語った。

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