USSECサステナビリティ シンポジウム2021 大豆が招く持続かのうな未来

主催/アメリカ大豆輸出協会(USSEC)
共催/日経BP総合研究所
協賛/米国大使館、米国農務省(USDA) 
協力/Sustainable Japan

食のサステナビリティに対する人々の意識が大きく変化する中、日本の伝統的な健康食材であり、地球環境に優しいプラントベース(植物由来)素材の「大豆」に世界から注目が集まっている。2021年9月15・16日、大豆の新たな可能性を探る国際シンポジウムがオンラインで開催。
日本の原料大豆の7割を占める「アメリカ大豆」のサステナブルな取り組みと、日本企業にとっての新たなビジネスチャンスについて議論した。国内外からのべ1200人以上が参加した、2日間の様子をレポートする。

アメリカ大豆 / USSECとは

実は、日本で消費される原料大豆の9割が輸入で、その7割がアメリカ産。
ブラジルに次ぐ世界第2位の大豆生産国であるアメリカは、既に「サステナブル調達」がビジネスの前提である欧州と連携し、長年サステナビリティに対する取り組みを継続。広大な農地面積と最新鋭の穀物輸送インフラをもとに、森林伐採を行わず、CO2排出削減に寄与しながら、生物多様性や環境保全に注力した農法を取り入れている。
USSEC(U.S. Soybean Export Council:アメリカ大豆輸出協会)は、世界90カ国で活動するマーケティング機関。

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サステナビリティ認証プロトコル
「SSAP」とは

USSECが2013年にスタートしたアメリカ大豆の認証制度。
環境への負荷が少なく、サステナブルな方法で生産された大豆とサプライチェーン業者に対し、出荷先の要望に応じて輸出時に証明書を発行する。具体的には「生物多様性と生態系の維持」、「サステナブルな生産活動」、「生産農家の労働環境改善」、「生産活動と環境保全の継続的改善」の4つの基準をクリアした大豆商品に認証マークが発行される。
現在、日本に輸入されるアメリカ大豆の9割がSSAP認証付きのもの。2020年東京オリンピック組織委員会が策定する「持続可能な調達コード」にも承認された。

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DAY 1持続可能な未来と
サステナブル調達

キーノートスピーチ

2030年に向けた農業&大豆ビジネスの持続可能な未来

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ニューラル代表取締役CEO

夫馬 賢治

世界人口の増加に伴い、良質なたんぱく源であり多様な用途を持つ大豆の生産量も増加している。一方で農地開拓などに伴う森林や生態系破壊が進み、気候変動や地球環境、大豆生産にも多大な影響を与えている。
「これらの背景から、農業や食品業界でのサステナビリティの重要性が指摘されている。一般企業はサステナビリティ経営の実践とともに、投資家や取引先企業への説明責任も求められるようになってきた」と、ニューラルの夫馬賢治氏。

そんな中、数年前から欧米では環境負荷の少ない食材として、プラントベース(植物由来)フードが注目されている。「家畜は飼育には大量の水や餌が必要なうえ、家畜が排出する温室効果ガス問題もあるため、食肉を大豆肉などに代替する動きが活発になっている。今後も大豆は世界で市場拡大するだろう」
一方、日本では今年5月、農林水産省が「みどりの食料システム戦略」を発表。2050年までにCO2排出ネットゼロ化の実現、有機農業の拡大などの目標を掲げるもので、食品メーカーは30年までに輸入原料も含めサステナブル調達の実現が求められる。
「日本の食品メーカーもトレーサビリティの確保がより重要になる。一定基準が担保されたSSAPなどの認証制度を活用していくことも有効だ」と話した。

企業講演1

アメリカ大豆生産者のサステナブルな取り組み

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シュワルツ・ファームズ
パートナー&オーナー

ダン・シュワルツ

最初に企業講演を行ったのは、オハイオ州で25年以上にわたり大豆を生産するシュワルツ・ファームズのダン・シュワルツ氏。同ファームでは、SSAP認証の保全プログラムに基づき、遺伝子組み換え作物との混入を防ぐ「分別生産流通管理」(IP)システムを導入し、生産・選別・保管・出荷・加工に至るまで厳格な品質管理を行い、まさに顔が見えるトレーサビリティを実現している。
サステナビリティのカギとなるのが、土を耕さない不耕起栽培だ。「トラクター等で耕起作業を行わないことで、土壌を健康にするだけでなく、温室効果ガスの排出を大きく削減する効果がある。さらにクローバーやオーツ麦などのカバークロップ(被覆作物)を植えることで、土壌の健康維持や雑草・害虫の抑制を行っている。同時にGPSやドローンなどのテクノロジーを活用した精密農業により、農薬やエネルギーの使用を最小化しつつ、大豆の収量の最大化に努めている」と生産現場の声を届けた。

企業講演2

イケアのプラントベース食品開発戦略

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イケア・ジャパン
カントリー・フードマネージャー

佐川 季由

スウェーデン発祥のイケアの佐川季由氏は、同社のプラントベースフードの開発戦略について紹介した。同社では、「ピープル・プラネット・ポジティブ(=地球環境に配慮したビジネス)」を目標に、イケアの代名詞であるミートボールを、食物由来の原料で再構築した「プラントボール」を筆頭に、プラントベース商品の開発を推進。肉好きも納得の手頃でおいしいメニューが人気を集めている。
「昨年原宿や渋谷、新宿に開店した都市型店舗では、人気の『プラントアイス』『ベジホットドック』など、既に商品の5割を植物由来へ転換している。特に20代の若者はサステナビリティへの感度が高く、プラントベースメニューはこの1年で約2倍に増え、売り上げは約170%成長した」と佐川氏。
さらにプラントボールはミートボールの4%のCO2の排出量でできており、この1年で1000トン以上のCO2削減できたという。「50年までにプラントベース商品の割合を半分に増やす予定だ」と展望を語った。

パネルトーク

アメリカ大豆・サステナビリティ認証(SSAP認証)の今、そして未来

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USSEC日本
副代表

立石 雅子

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マルキン食品
代表取締役社長

吉良 扶佐子

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小杉食品
代表取締役

小杉 悟

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三基商事
商品部部長

中川 雅史

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埼玉糧穀
常務取締役

相原 宏一朗

後半のパネルトークでは、実際にSSAP認証を採用する企業の代表が登場し、認証をどのように商品価値の向上に役立てているのか、意見を交わした。モデレーターは日経BP総合研究所上席研究員渡辺和博が務めた。

冒頭では、USSECの立石雅子氏がSSAP認証の詳細と現状について報告。「事業のリスク管理や投資家からの開示プレッシャーが高まる中、SSAP認証を公開するだけで負担なく産地のサステナビリティの状況を発信できる。トレーサビリティの向上・推進や原産地表示の確保ができることもメリットだ」と話した。

熊本の納豆メーカー、マルキン食品の吉良扶佐子氏は、「会社として長年SDGsや環境保全に取り組む中で、栽培条件のほか、生産者やサプライヤー側の労働環境に配慮するUSSECの取り組みに共感し、現在6商品に認証マークを付けている。サステナビリティへの意識が高まる消費者に対しても効果的なアピールになる」と語った。
三重の納豆メーカー、小杉食品の小杉悟氏もこれに賛同し、「SDGsを重視した事業展開を進める中で、自社発電やバイオマスインクの活用などの取り組みとともに、安心・安全なアメリカ大豆とその認証マークを活用し始めた。今後も業界の皆さんと共に取り組み、認証マークを浸透させることで、相乗効果が高まると考えている」と述べた。

一方、大豆たんぱくを主成分とした栄養補助食品を販売する三基商事の中川雅史氏は、「最終商品の品質だけでなく、途中のプロセスも非常に大切だ。認証マークにはプロセスを消費者に“見える化”する効果がある。健康補助食品業界ではこうした取り組みはまだ少ないが、認証マークを付けて他者に対して“手を挙げる”ことで、BtoBや異なる業種との連携が生まれたり、イノベーションの種が見つかる可能性も高まるのではないか」と語った。 埼玉で大豆や配合飼料、大豆由来の剥離剤などを販売する埼玉糧穀は、前出のシュワルツファームズから大豆を調達する日本の専属代理店。シュワルツファームズに駐在経験もある同社の相原宏一朗氏は、「大豆成分を使った剥離剤は、従来の石油由来とは異なり、建設や工場現場で働く方の健康と地球環境にも優しいのが魅力。今後もサステナブルな大豆を活用し、食品や油など新しい分野にも挑戦したい」と展望を語った。
最後に立石氏は、「業界が一丸となって発信することで業界の価値向上にもつながる。皆さんと共に、健康でサステナブルな未来に向けて課題解決に貢献していきたい」と締めくくった。

本セミナーをオンデマンドで配信中。
詳細はUSSEC/アメリカ大豆輸出協会の特設ページへ。

SASTAINABLE U.S.SOY

USSEC

USDA