
2024年2月に全面リニューアルした歯周病予防歯みがき
「クリーンデンタル トータルケア」シリーズが好調だ。
ヒットを導いた“攻めのコミュニケーション”とはどのようなものなのか、
ブランドマネジャーの松田一成氏に、本誌発行人の佐藤央明が迫った。

※1 出典:インテージSRI+ クリーンデンタル24年4-8月累計販売金額
※2 出典:True Data クリーンデンタルシリーズ リピート率 2023年4月~2024年3月(連続アクティブ会員対象)
佐藤央明(以下、佐藤) 長い歴史を持つ「クリーンデンタル」は、約5割※2がリピート購入するほどファンからの信頼が厚いブランドですよね。全面リニューアルでは、ある種自虐的とも言えるテレビCMが話題を呼びましたが、売れ行きはいかがですか。
松田一成さん(同、松田) 来年40周年を迎えるタイミングで、製品機能をさらに強化し、思い切ったコミュニケーションも展開しました。8月までの売上金額は前年比約130%と好調に推移し、リピート率の低下もありません。
佐藤 固定ファンをしっかりつかんだまま、新規獲得に成功したということですね。
松田 特に女性の新規購入者の増加は、狙いとも一致しています。というのも、歯周病のリスク要因の一つが女性ホルモンだからです。月経や妊娠・出産などホルモンが大きく変動する時期は特にリスクが高まるので、若年世代からの歯周病予防普及が重要と捉えなおしました。
佐藤 現役世代の男性にも「歯周病は老年期に起こる病気だからまだ自分は心配ない」という誤った先入観がありますよね。
松田 日本人のおよそ2人に1人は歯周病症状が見られるといわれるほど身近な疾患ですが、自覚症状がほぼないまま症状が進行することもあって、当事者意識を持ちづらいんですよね。
佐藤 早くから歯周病予防をしましょう、と言っても響きにくい。
歯周病は「世界で最も感染者が多い病気」としてギネスブックに掲載されており、欧米諸国ではむし歯や歯周病を防ぐ「予防歯科」が主流。一方、日本では「治療のための歯科受診」がメインで予防意識が低く、「オーラルケア後進国と言わざるを得ない」(松田さん)。歯周病は歯が失われる原因の第1位であり、高齢者の残歯数は先進国最下位とも。日本における歯周病予防意識向上は社会課題のひとつだ。

歯周病予防にクリーンデンタルが一役買っている。リニューアルに際し、俳優の松本若菜さんを起用したCMを3月に発表。これを機に売れ行きが加速。4月から8月までの累計販売金額が前年比約130%を記録した。1985年の発売当時から着実にファンを増やし、約2人に1人という高いリピート率を誇ってきたが、従来よりも若い世代や女性の購入者が増加。早い段階からの歯周病予防実現へとさらに一歩進んだ。


出典 インテージSRI+ クリーンデンタル累計販売金額
(ドラッグストア)
松田 どうすれば行動変容につなげられるのか、突破口を求めた先が「ファンの声」でした。製薬会社の高機能な歯みがき、というのが我々の考える製品の価値でしたが、顧客の抱く製品価値との“交差点”を探ったのです。「すごい味だけど、磨くと歯がツルツルすることにも驚いた」「スッキリ感がクセになり歯みがきが楽しみに」といったコメントから浮かび上がってきたのは、「実感」というキーワード。ブランド価値は使用シーンにおける「実感」にこそあるのかもしれない。それを発信するには、ユーモアを交えたコミュニケーションが効果的なのでは、と思い至りました。

佐藤 「その味には理由がある」「3日で慣れて1週間でくせになるかも!?」と、味を逆手に取った実感コミュニケーションはユーモラスで印象的でした。
松田 塩を基調とした“すごい味”は、10種もの薬用成分を配合した結果生まれたもの。これまではストレートに機能性を発信してきましたが、今回初めて味をフックにしたことでクリーンデンタルのキャラクターが際立ち、結果として高機能な歯みがきだという認識も広がったようです。“伝わった”という手ごたえを感じています。



以前は高い機能性をストレートに訴求していたが「自分事化につながるブレイクスルーが必要だと感じていた」(松田さん)。歯周病は罹患にも気づかず、予防している実感もないという点に難しさがあったが、「クリーンデンタルだと“歯を磨いた”という実感が持てる」という既存ユーザーの声がヒントに。ここから、表情やユーモアで耳目を集め「実感」を伝えるCMが誕生。さらに、10万人にクリーンデンタルを体験してもらうキャンペーンも開催し、生活者の“実感”を後押しした。振り切った内容のコミュニケーションゆえに実施ハードルも高かったが、ブランドの個性が明確に表現されたことで、独特な味の理由である「機能性の高さ」の認知拡大にもつながった。
佐藤 目的別に用意された“選べるケア”のラインアップも目を引きます。
松田 口臭や知覚過敏症状など各ケアに特化した処方を強化。また従来の「くすみ」ケアを「美白」ケアにするなど表現を置き換えた結果、前年比約180%※3にも上り、ユーザーニーズを突き詰めることの重要性を改めて“実感”しましたね。 ※3 出典 インテージSRI+ クリーンデンタル美白ケア 24年4-8月累計販売金額


「一生ものの歯と歯ぐきのために」をブランドパーパスに、歯周病ゼロ社会を目指すクリーンデンタル。製薬会社こだわりの高機能性が特長だ。パンチのきいた塩味も、歯と歯ぐきをトータルケアするために配合した10種にも及ぶ薬用成分をまとめ上げるためのもの。リニューアルでは全品目に共通配合の殺菌成分3種のうち、2種の配合量を増量。従来シリーズと比較して、殺菌成分の配合濃度が最も高い処方※4に。また、「口臭ケア」「知覚過敏ケア」「美白ケア」の目的別に選べる3品目も、各ケアに特化した処方強化を実施。ユーザーニーズに応え好評を博した。
※4 IPMP、LSSを増量 ※5 口臭ケア、知覚過敏ケア、美白ケア ※6 知覚過敏ケアと美白ケアは11種
佐藤 オーラルケア市場の競争が激化しつつある中で、ブランドの個性を明確に打ち出していくことは大事ですね。
松田 今後も製薬会社としてエビデンスに基づいた製品と生活者目線での情報を提供し、健康意識を高めるパートナーだと思ってもらえる存在でありたいです。

日本人のオーラルケアに対する関心が高まるにつれ、歯みがき粉市場でも“高機能かつ高価格”といったプレミアム化が進み、競争も激化。次なるアプローチとして注目されるのが、消費者の情緒にどう訴えるのか、という点です。クリーンデンタルは実感コミュニケーションを通じてユーザーの心を見事につかんだことが勝因の一つでしょう。CMから知識や情報を自然と得ることができるので、歯みがき粉を共有する家族にも味の理由や機能性の高さを説明しやすい。ブランドの固定ファンの多さは今後も強い武器になるでしょう。ちなみに私も使用しましたが、確かにしょっぱい(笑)。他の人に試してもらいたくなる、納得の味でした。
