2018年の発売以来、うまさを磨き続け、通算販売数35億本※1を達成した「本麒麟」。
2024年2月には、6回目となるリニューアルを果たし、さらなる話題を呼んでいる。
圧倒的なうまさの秘密はどこにあるのか。それが今回どう進化したのか。
元・日経トレンディ編集長の尾島和雄が6年前と今の「本麒麟」を飲み比べ、
本気のリニューアルを検証する。※1 2018年3月~2024年2月の出荷数量、350ml換算
2023年10月の酒税改正に伴い、ビール市場の構造に再び大きな変化が起きています。2020年以降2回目となる今回の改正で直撃を受けたのは、新ジャンルです。ビールが減税となる一方で、新ジャンルは増税。これにより、ビール回帰がさらに進むとともに、新ジャンル(発泡酒②)と発泡酒の酒税の差がなくなり、価格差が縮まりました。
この機を捉え、各社はビール新商品を投入し、大規模なプロモーションや店頭キャンペーンを展開。消費者がビールを目にし、手に取る機会も増えていることから、新ジャンル(発泡酒②)離れはますます加速しています。価格という大きな武器を奪われ、上からも下からも攻め込まれる新ジャンル(発泡酒②)は苦戦しています。
そうしたなか、独自の存在感を発揮しているのが「本麒麟」です。逆風をものともしない圧倒的な強さは、どこから来るのか。その理由をひもといてみましょう。


「本麒麟」は、キリンビールが2018年に発売した、渾身のブランドです。「本当はビールを飲みたいけど、安いから選んでいる」というユーザーの本音を捉え、「本当にうまいものをつくろう」という決意のもと開発がスタートしました。
うまさを実現するために、キリンビールは100年の歴史で培った醸造技術や、ビールにも使われている原料を惜しみなく投入。手間もコストもいとわず、愚直にうまさを追求したといいます。その覚悟は、「本麒麟」というブランド名と、コーポレートカラーの赤を全面に配したパッケージにも表れています。まさにキリンの「本気」が、ここに詰まっているのです。
「お客様第一」のものづくりを推し進めた結果、「本麒麟」は発売直後から生産が追いつかないほどの大ヒットを記録。発売1年後には販売数量4億本※2を達成し、キリンビール史上最速のレコードを塗り替えました。※2 2018年3月~2019年3月の1年間で4億本(350ml缶換算)を突破
発売当時、私にとっても「本麒麟」は新ジャンルを見直すきっかけになったブランド。さまざまな商品がひしめくビール市場にあって「本麒麟」は、「ビールに近い味わい」「気軽に飲める」を目指して開発したものであり、そのうまさはど真ん中ストレートで勝負する本格派ピッチャーのような存在。本当にうまいものに、ジャンルやカテゴリーは関係ないのだと思い知らされました。
「本麒麟」の累計販売数は、発売6年目で35億本※1を突破。売れ続けている理由は、「本当にうまいものをつくろう」という軸をブレさせることなく、「お客様にとってのうまさ」を追求し続けていることにあります。だからこそ、毎年リニューアルを繰り返しているのです。
どんなにうまいものでも日々飲んでいれば慣れてしまうし、生活者の味覚や好みも刻々と変わっていきます。その中で、「今この瞬間のうまさ」を捉えるために、キリンビールでは常にお客様の声を聞き続けているといいます。味覚評価のお客様試飲調査は、3万回※3に及ぶというから驚きです。※3 本麒麟の味覚実現に関わる試飲の延べ回数
そうしてお客様と共有した「今の新しいうまさ」を体感できるのが、2024年2月にリニューアルした「新・本麒麟」です。発売から6回目となる今回のリニューアルには、「あなたの一番うまいになる!」を目指し、「もう一度新発売する」という意気込みをもって臨んだと、マーケティング担当者はいいます。
では、何が大きく変わったのか。そのポイントは、「力強いコク・飲みごたえ」と「飲み飽きない味わい」を両立させたことにあると感じています。
もともと「本麒麟」は、ビールに近いコクと飲みごたえをうまさの骨格としています。その満足感を持続させるために、「飲み飽きなさ」にもこだわっていました。ところが、過去2度の酒税改正を経て、生活者の嗜好は「気軽に楽しめる飲みやすさ」が高まりつつありました。そこで、本麒麟ならではの力強いコクと飲みごたえを担保しながら、より飲み飽きない味わいへと進化させたのが、「新・本麒麟」です。

「本麒麟」のうまさは、絶妙なバランスの上に成り立っています。ゆえに少しいじっただけでも、骨格が崩れてしまう。完全な調和を保ちながらのリニューアルは、かなり難しかったでしょう。目指す味わいをつくり出すために、本麒麟の醸造家は製法や原料、温度を細かく見直し、何度も試験醸造や試飲を重ねています。リニューアルにかかる期間は約1年。それを毎年繰り返しているのだから、「本麒麟」は本当に毎日止まることなく進化し続けているわけです。
そうやってたどり着いた成果の1つが、製法の変更です。麦のうまみがしっかりと感じられると同時に、雑味が少なく飲み飽きない味わいを実現しています。また、長期低温熟成も引き続き採用しています。通常の1.5倍の時間※4をかけて熟成することで、バランスが良く雑味の少ないクリアな味わいが生まれます。さらに、大麦を増量することで、力強いコク・飲みごたえを担保。「本麒麟」ならではのバランスを完成させたことで、うまさが進化した感じがします。※4 キリンビール 主要発泡酒比
原料が高騰している現在、大麦の増量というのは勇気がいる決断です。それでも迷わず選択したのは、うまさの実現に必要だったからに他なりません。お客様のためにできることは何でもやる。実にキリンビールらしいものづくりの姿勢を感じさせるエピソードです。

「力強いコク・飲みごたえ」と「飲み飽きないうまさ」を両立し、2023年3月リニューアル時の味覚評価を上回る味わいを実現した
今回のリニューアルでは、パッケージの印象も変わりました。従来は重厚感のあった赤を明るい色合いに変更することで、親しみやすさが増しています。また、エンブレムと帯の金色の上質感を上げるとともに、麒麟聖獣のサイズも縮小され、より洗練された外観に。思わず手に取りたくなるような、非常に共感性の高いデザインだと感じました。

赤と金の色みをやわらかくすることで、「本麒麟」らしい品質感がありながら、手に取りやすいデザインへと進化
常に「今のうまさ」を追い求め、進化し続けてきた「本麒麟」。発売から6年を経て、その味わいはどう変化したのでしょうか。2018年発売当時のレシピでつくった「本麒麟」を用意してもらい、飲み比べてみました。


2018年版と2024年版、2つの「本麒麟」を飲んだときにまず感じるのは、力強いコク。6%というアルコール分も相まって、とても満足感のある飲みごたえです。どちらもうまく、発売当初からの完成度の高さがうかがえます。ただ、何口か飲むうちに、自然と手が伸びるのはやはり新しい「本麒麟」。後味がスッキリしているから飲み飽きず、すぐまた飲みたくなります。私はこちらのほうが断然好きですね。
6年の歳月をかけて、ひたすら味を磨き上げてきた「本麒麟」。狭義ビール並みに手間暇かけてこだわっているからこその味わい。この最前線のうまさを体現しているのが、「新・本麒麟」です。飲み比べてみて改めて感じたのは、「本麒麟」はメジャー級の本格ピッチャーに成長しているということ。いまや「本麒麟」という独自のポジションを確立するに至っていると思います。
多くの人に愛されるブランドに必要なのは、「憧れ」ではなく、「共感」。その意味で、日常的に楽しめるうまさを極め、日々をうれしくさせる可能性を感じる今回のリニューアルは、大成功といえるでしょう。
私自身、親がキリンを愛好しているのを見て育ってきたので、キリンビールには親しみを感じています。だから、キリンには王道をいく商品をつくってもらいたいという思いがあります。「本麒麟」は、まさにそれを体現するブランドです。それだけに、「本麒麟」のこれからにかける期待も大きい。2026年には次の酒税改正も控えていますが、その荒波をも乗り越えて、次の10年、50年、そして100年へと続くブランドに育ってほしいと願っています。
