2024年4月にリニューアルした「キリン 生茶」が好調だ。
発売からわずか3日で2500万本を突破し、歴代の「生茶」の中でもトップクラスの初動を記録※1。
4月単月の「キリン生茶」ブランドは前年比177%と、緑茶市場の前年比104%を大きく超え※2、異例の成長を見せている。
さらに発売から約7週間で「キリン 生茶」「キリン 生茶 ほうじ煎茶」の販売数量は、
累計1億本※3を突破し、好調な勢いが続いている。
ペットボトル緑茶の固定観念を覆す「現代的で上品な佇まい」と「爽やかなおいしさ」が、新しいファンを増やした。
「生茶」はなぜ、広く受け入れられたのか。ブランド担当の飯髙宏美氏に訊いた。
※1 2024年4月11日(木)時点 「キリン 生茶」ペットボトルのみ キリンビバレッジ出荷数量に基づく
※2 2024年4月 株式会社食品マーケティング研究所調べ
※3 2024年5月23日(木)時点 キリンビバレッジ出荷数量に基づく
2024年のペットボトル緑茶市場が活性化している。各社が相次いで主要ブランドをリニューアルしたためだ。なかでも大きく伸びているのが、「生茶」だ。日経トレンディ「2024年下半期ブレイク予測・飲料部門」にも入賞した。今回のリニューアル時のインパクトが高く評価されている。
「ペットボトル緑茶の固定観念をいったん外し、お客さまに選ばれる飲み物はどんな姿をしているのかを、イチから考え直しました」と語るのは、ブランド担当の飯髙氏だ。緑茶は日本人の生活に欠かせない飲み物であり、「緑」「和」「日本的」といったイメージがある。それらを否定するわけではないが、いったん忘れて、ユーザーの生活になじむおいしいお茶の姿を改めて捉え直した。
市場を見ても、従来の緑茶イメージを打ち出している商品が多い。「少し格式張っているところがありました。和室で正座して飲むようなイメージです。しかし、今回のコンセプトはライフティー。『生活に寄り添うデザインと味』をテーマにしました」(飯髙氏)。

キリンビバレッジ マーケティング部
ブランド担当 主任
飯髙 宏美 氏
その1つが、「白を基調としたパッケージ」だ。お茶のパッケージは緑色というセオリーをあえて外し、白を基調としたパッケージを出す判断には勇気が必要だったと、飯髙氏は振り返る。お客様の生活を彩る存在になりたいという意味を込めて「ライフティーボトル」と命名。カバンの中に入れても、デスクに置いても、見た目が爽やかで気分が良い。ボトルの形も、丸みを帯びた独特な姿で「ワインの瓶みたいだ」と表現する人もいたそう。
「お客様からも『休日に持ち歩きたい』『散歩のお供に外で飲みたい』など今までのお茶のイメージとは少し違う雰囲気があるといった声を多数いただいており、新しいお茶のシーンが創造できたのではと考えています」(飯髙氏)
今回のリニューアルでは、味も大きく変革している。「『生茶』というブランドは『お茶感がありつつ飲みやすい味』を追求してきました。今回もその伝統は継承しつつ、1つ上の上品な飲み心地の中にも苦渋さを抑えた飲みやすさを目指しました」と、飯髙氏は述べる。最近の傾向として、緑茶に爽やかさと飲みやすさを求めるユーザーが増えているという背景もある。
「お茶そのものが持つおいしさと飲みやすさを、どうすれば両立できるか。多くの試行錯誤がありました」(飯髙氏)。今回、新たに導入したのが「凍結あまみ製法」だ。茶葉の抽出液を16時間以上凍結させることで、新茶のようなあまみを生み出す。お茶そのもののおいしさを引きだす、キリンならではの製法だ。
一般的に、あまみは熱に弱い。ペットボトルには「加熱殺菌」の工程があり、せっかくのあまみが失われてしまう課題があった。「茶葉の抽出液を凍結させる」というイノベーションによって、あまみだけを増幅させ、熱処理を終えた後も新茶のようなあまみを維持することに成功した。

加えて、「生茶」ブランドが2016年から導入してきたキリン独自の「かぶせ茶マイクロ粉砕」と「生茶葉鮮度搾り製法」も生かしている。
「かぶせ茶マイクロ粉砕」は、かぶせ茶を細かく丁寧に均一な大きさまで挽くことで、口の中で粉感を感じさせずに茶葉のあまみ、コク、香りの余韻を広げる。ボトルを上下逆さにすると茶葉が舞い、ほどよい濁りを生み出す。おいしさを視覚的にも感じさせる工夫だ。
一方、「生茶葉鮮度搾り製法」は摘みたての生茶葉の「爽やかな香り」を引きだす技術だ。茶葉を摘んでから8時間以内に芯まで凍結し、鮮度を保った生茶葉を丸ごと搾って使用する。清々しい、すっきり爽やかな香りを楽しむことができる。
新しい技術が生み出す味わいを生かしつつ、「生茶」ブランドの既存ファンの期待も裏切らない。今回のリニューアルでは、微粉砕茶葉を約3倍に増やした。「『生茶』史上で最高級のおいしさを実現するため、3倍という思い切った決断をしました。試作と試飲、市場調査を何度も重ね、微粉砕茶葉と凍結あまみ製法とのベストなバランスを追求しました。今回のリニューアルで最高級のおいしさを実現するために、手間暇をかけてでも、できる限りのことをやるという思いでした」(飯髙氏)。
今回リニューアルした「生茶」と、そこから「まる搾り生茶葉抽出物、凍結あまみエキス、微粉砕茶葉」の3つを除いたものを試飲してみた。「生茶」のエッセンスというべき3つの要素がどのような効果をもたらしているのかを実感するためだ。

3つの要素を除いたものは、スッキリとした味わいで、飲み進んでもずっと同じような感覚が続く。一方、「生茶」は口に入れた瞬間に香りとあまみが立ち上がる。「『生茶』で大切にしているのは、トップのあまみが感じられること。そして、お茶としてのおいしさがありながら、苦みや渋みが残らないことです。そういった変化を感じていただきたいと思います」(飯髙氏)。「生茶」ならではのこだわりの技術によって、爽やかでありながら奥深い味わいを実現している。
「ペットボトル緑茶はどんな飲み方をしても一緒と思われがちですが、温度や飲む容器によって、かなり違ってきます。『生茶』は冷やして飲むと、飲み口としては、すっきりとした切れ味を感じられます。一方で、常温に近づいてくると、まるいあまみが出てくるのが特徴です。日常の中でも、色々な楽しみ方をしていただけると思います」(飯髙氏)
この数年、ペットボトル緑茶の市場は低迷してきた。「大きな原因は、ペットボトル緑茶への期待感が薄れてしまったことにあります。大量の商品が市場にあふれ、違いがわかりづらくなってしまいました。水の代わりに喉を潤す目的で、価格で選ぶユーザーが増え、お茶そのものの魅力が薄れてしまっています」(飯髙氏)。今回のリニューアルを機に、ユーザーの関心をいま一度喚起し、ペットボトル緑茶市場の活性化と魅力化を図ろうとしている。
難しいのは、ユーザーがお茶を選ぶ目的が一律ではないことだ。「お茶に期待することが人によって違うため、注目してもらうことはなかなか難しいです」(飯髙氏)。「味とパッケージを新しくすれば良い」という単純な話にはならない。お茶の香り、おいしさ、色、パッケージ、マーケティング、広報など、あらゆる要因が相乗効果を生み出すことで、1つの製品が完成する。
リニューアル後の「生茶」は、普段ミネラルウォーターや炭酸水を飲むという、新しいユーザー層が買ってくれている。「普段あまりお茶を選ばない人の興味を引けたという感覚があります。テレビCMを見て手に取った、パッケージが気になって買ってみたなど、色んな声を聞きます。何かのきっかけで飲んでみたら、おいしかったという方が多いです」(飯髙氏)。
同じコンセプトでリニューアルした「生茶 ほうじ煎茶」も、想定以上に好調だ。「ほうじ茶の歴史は古く、渋くて重い飲み物というイメージがあります。それを軽やかにして、素敵な飲み物にできたのかなと感じています」(飯髙氏)。デイリーに飲みやすい、新たなイメージにリニューアルできた。

同日にリニューアル発売した「生茶 ほうじ煎茶」も発売3日間の販売実績は前年比約160%と、大変好調※5に伸長している。
「かろやかな味わいでおいしい」「後味はすっきりなのに、ほうじ茶の余韻がある」と好評だ
※5 2024年4月11日(木)時点 キリンビバレッジ出荷数量に基づく(前年同期比)
今回のリニューアルを通じて、目指したものは何か。「『生茶』の販売量を伸ばすということだけでなく、ペットボトル緑茶市場の魅力を高めていきたいという思いが大きいです。新しいドリンク商品が日々生まれてくる中で、緑茶の魅力を高め、広げていくという視点を持ち続けることが大切だと考えています」(飯髙氏)。
今回のリニューアルで、緑茶のユーザー層を広げることができた。しかし、緑茶に興味がないという人はまだまだいる。「そうした方々にも、ぜひ緑茶の魅力を感じていただきたいです。新しい『生茶』には、それができるという可能性を感じています」と、飯髙氏は述べた。