プレゼンテーション
国内市場の動向
プラントベースフードの課題とおいしさソリューション
PBF事業部門副部門長
芦田 茂 氏
不二製油グループ、プラントベースフード(PBF)事業部門の芦田茂氏は、「プラントベースフードの課題とおいしさソリューション」と題して講演した。同グループは、大豆加工素材、植物性油脂、乳化・発酵素材、業務用チョコレートの食品中間素材メーカーで、グローバルにB to B事業を展開している。
大豆の調達については、2021年6月に「責任ある大豆・大豆製品の調達方針」を公表した。「サプライチェーン全体でサステナビリティを考えなければならない。特に、ステークホルダーとのコミュニケーションが非常に重要だと考えます」(芦田氏)。
また、不二製油グループは「植物性だけどおいしい、ではなく、植物性だからおいしい」をコアメッセージに掲げ、植物性食品素材を活用して社会課題を解決することを目標にした取り組みを展開。大豆関連としては、「お肉のような大豆ミート」と「乳製品のようなもの」が紹介された。60年以上研究開発を進めているという「大豆ミート」は現在、形状、食感、色調などが異なる70種類ほどを展開中。「プライムテクスチャー製法」の開発により、「さらなる口どけの良さやジューシー感を付与することができました」と芦田氏。「乳製品のようなもの」においても、「USS(ウルトラソイセパレーション)製法」によって、大豆を豆乳クリームと、低脂肪豆乳に分けることに成功したという。「これらの製品の特長は、コクやうま味はしっかりあるけれどあっさりしていて、植物性だからこそできるおいしさを感じられるところです」(芦田氏)。
もう一つの取り組みとして立ち上げた新ブランドが、「植物性の力で世界のダシを表現して世界のあらゆる料理メニューに満足感を与えよう」をコンセプトに、フォンやブイヨンのようなものを植物性で表現した「MIRA-Dashi(ミラダシ)」シリーズ。「動物性食品が持つ満足感を、植物性の力でいかに表現するかにこだわり、不二製油グループが持つ多様な中間素材と、さまざまなテクノロジーを駆使して、そのおいしさにアプローチした商品です」と芦田氏は語った。
パネルディスカッション
世界にも広がる!
地球にもカラダにも優しいサステナブルな大豆製品
会長
三好 兼治 氏
最後に、「世界にも広がる!地球にもカラダにも優しいサステナブルな大豆製品」と題し、日本豆腐協会会長の三好兼治氏、太子食品工業代表取締役副社長の工藤裕平氏、さらに講演にも登壇した芳賀氏、芦田氏のディスカッションが行われた。モデレーターは、日経BP 総合研究所 主席研究員の藤井省吾が務めた。
まずは三好氏が、日本豆腐協会について、「設立は1976年、現在会員数が52社で、比較的規模の大きい豆腐屋さんが参加しています」と紹介。USSECと共に「TOFU FUTURE PROJECT」を立ち上げ、アメリカ視察やアメリカの大学の品種開発に協力しているなどの活動を説明し、「日本は一番多様化した豆腐文化を持っていて、アメリカのNon-GMO(非遺伝子組み換え)大豆を消費する国ですから、大豆を安定して調達することが非常に重要なのです」と語った。
代表取締役副社長
工藤 裕平 氏
グループ商品戦略本部
セブンプレミアム開発戦略部
デイリー食品MD
芳賀 正延 氏
続いて、創業80年を超える大豆食品メーカー、太子食品工業の工藤氏は、2020年に掲げた新ビジョンに基づいて、プラントベースフードに力を入れていると話し、3種類の「豆腐バー」や、24年9月発売のSSAP認証大豆を使った「油あげ」を紹介。23年からヨーロッパ向けに納豆の輸出を開始し、反響を得ていることも報告した。「今後も日本の大豆製品の素晴らしさを海外に訴求していきたいと考えています」(工藤氏)。
続いて、藤井より、「大豆製品の未来」をテーマに、各パネリストにコメントが求められた。
最初に芳賀氏が、「お客様も、環境や健康への意識が非常に高まってきていて、今や企業の『サステナブルな取り組み』は当たり前、その取り組みをしていないと評価していただけないというステージに来ていると思います。また、今後は日本国内に限らず、海外に向けても新たな商品を出していきたいと考えています」とコメントした。
三好氏は、「『豆腐は健康に良い』というのが日本だけでなく、世界でも当たり前になってきた中、原料の安定調達が非常に重要になっています。いかに早く多様な豆腐製品それぞれに向いた大豆を調達していくか、アメリカと情報共有をしながら、お互いウィンウィンの関係になれるように取り組みをしているところです」と語った。
工藤氏は、「新しいスタイルの商品を作っていくことが、大豆の裾野を広げていくという点で非常に大事だと思います。特に納豆は、発酵食品、大豆食品、健康という非常に良いワードがちりばめられていますので、こうした価値を海外にも広めていきたいと思っています」とコメント。
PBF事業部門副部門長
芦田 茂 氏
主席研究員
藤井 省吾
また、芦田氏は海外への輸出時における植物性ならではのメリットを強調した。「カツオなどの動物性のエキス、出汁を輸出する場合は規制があったりして、なかなか難しいところがあります。その点、植物性の出汁であれば、それらを考えずに流通させることができるというメリットもあると思います」。
これを受けて藤井は、「植物性の食品は輸出障壁がなく、宗教的な問題がある地域や幅広い食文化に、大豆を中心とした植物性たんぱく質を供給していくというのは大きな可能性があることだと思います」と感想を述べ、最後に本シンポジウムを振り返った。「この4、5年、『サステナビリティ』というワードを中心に、アメリカの農家と、日本の生産者や企業の方たちの間をUSSECがつなぎながら、共に話し合う機会を持ってきました。こうした取り組みの積み重ねが、さらなる大豆製品の発展につながるのだと実感しています」。