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SUSTAINABLE SOCIETY & SOLUTION SUMMIT Review

「デザインの経験を資産のように積み上げる」
タイ企業の取り組みを積極的に支援

デジタル領域のサービスデザインを手掛けるフォーデジットは東南アジアに拠点を複数構えており、その1つがタイの首都バンコクにある。同社はタイをはじめとした東南アジア各国でサービスデザインの重要性が高まっていくと予測。日本で培った経験やノウハウを武器にビジネスを展開していくとして、田口亮代表取締役CEOと、末成武大取締役COOが講演した。

フォーデジットはデジタル領域のサービスデザインを得意としており、それに付随したデジタルサービスの構築支援やDX(デジタルトランスフォーメーション)支援、新規事業立ち上げの支援なども手掛けている。東南アジアでは、タイ以外にも、ベトナム南部の商都ホーチミンとマレーシアの首都クアラルンプールに拠点がある。

田口氏はまず、サービスデザインが重要であると認識されるようになった流れを説明した。最も分かりやすい例が米アップルの取り組みであるとし、「プロダクトを単体で売るだけでなく、サービスと一体となった包括的な体験を提供したことが大きかった」(田口氏)。

「2010年代から世界中の多くの企業は、包括的な体験価値を高めるためにアップルを追いかけるようになった」(田口氏)。一方で、課題も生じたという。「デザインを包括的な体験価値をつくるものというよりも、外見を整えるための1つの機能のように捉えてしまうケースが多かった」(同)。

その結果として、「デザインを担当する部門が組織の端っこに置かれたり、何か提案をしても企業の上位層が興味を持ってくれない、といったケースが多くあった」(田口氏)。ビジネスサイドの部門からも、「デザイン部門は理想論ばかり言って、現実を分かっていない」といった声が多く聞かれたという。

しかし、この部門間の溝を放置するわけにはいかない。経済の成長をけん引するのはデジタル技術の発展だと予測されており、デジタルでサービスを提供する上で、デザインは欠かせないためだ。田口氏は「所有よりも利用を通じて、非常にスムーズな体験が得られるケースが増えており、これが競争優位性につながっている。今後もこういった事例はさらに増えていくはずだ」と指摘した。

株式会社フォーデジット 代表取締役CEO 田口亮氏
株式会社フォーデジット
代表取締役CEO
田口亮 氏

では企業は部門間の溝をどう埋めていくべきなのか。その解決策として考えられるのが、ユーザーをより深く理解し、ユーザーが欲しいものを作るという「ユーザー中心デザイン」に取り組むことだ。「全ての取り組みの中心にユーザーを置くことで、目指す方向が定まる。これが組織全体の体制や考え方を少しずつ変え、組織間の溝を埋めていくことにつながる」(田口氏)とした。

ただし、ユーザー中心デザインは「実際に実現するのは簡単ではない」(田口氏)。それでもユーザー中心デザインに取り組むことで「デザインを従来のイメージのように短期で消費するものでなく、事業やサービスとともに積み上げていく資産のように捉えていけるようになるため、大きな価値がある」(同)とした。

タイ企業のサービスデザインの今後

続いて登壇した末成氏は、同社がゆうちょ銀行のサービスデザイン事例を紹介した。

ゆうちょ銀行の「ゆうちょ通帳アプリ」は、従来の紙の通帳をアプリケーションに移行したものだ。ゆうちょ銀行の口座は若年層や30~40代の主婦、高齢者の利用が多いという特徴がある。そのため、「メガバンクが提供しているような多機能なアプリケーションではなく、金融の知識がない方でも簡単に使え、デジタルを介した金融の最初の入口になるよう、とてもシンプルなものにした」(末成氏)。

この事例でも、当初は多機能なアプリケーションの開発を考えていたという。しかし、「アンケートを実施した結果、ユーザーの声を反映する形でシンプルな設計になった」(末成氏)。どういった体験をユーザーに提供すべきかということからスタートし、提供する機能を絞っていったという。その過程で「判断材料にサービスデザインの過程で蓄積したユーザーからの視点が積極的に活用された」(同)。

株式会社フォーデジット 取締役COO 末成武大氏
株式会社フォーデジット
取締役COO
末成武大 氏

末成氏はタイ法人の代表も務めており、事例として、バンコクにある大型複合施設サムヤーン・ミッドタウンのロイヤリティプログラムの設計や、大手生命保険会社タイライフのeコマースのプラットフォームのリニューアル、大手小売り企業のアプリケーション体験のデザインなどがあるという。

タイ企業のデザインの進め方について、末成氏は「我々が知る限りでは、経営層がどのようなデザインにするかを判断しているケースが多く、現場から声が上がることは少ないと感じる」と語った。その上で「今後デザインの重要性がさらに高まることを考えると、タイにおいても組織横断的にサービスをデザインする必要があるはずだ。我々はそういった取り組みもご支援したいと考えている」と展望した。

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