8月28日に発売されたFCNTの「arrows Alpha」が、市場の注目を集めている。
ハイエンドクラスのスマートフォンが、8万円台。
世界最高クラスの堅牢性を持ち、食器用洗剤で丸洗いもできるという。
なのに、スタイリッシュなデザインで、日本人の手になじむサイズ感を追求した。
海外製品が主流になりつつあるスマートフォン市場で、
日本人が求める「壊れにくさ」と「清潔さ」というニーズに正面から応え、
日本のものづくりのプライドを見せつけている。
「かしこい選択にしようと考えた」と話す商品企画責任者の高橋知彦氏に、
市場のトレンドや製品の特長について日経クロストレンド発行人の勝俣哲生が聞いた。

日経トレンディ発行人
勝俣 哲生
FCNT プロダクトビジネス本部
プロダクトマーケティング統括部
シニアマネージャー
高橋 知彦 氏
スマートフォンの価格が、年々上がっている。ハイエンドと言われる機種なら10万円を超えるのが当たり前だ。スマートフォンは、多くの消費者にとって「高い買い物」になりつつある。
そんな中、「高性能なスマートフォンをリーズナブルな価格で手に入れたい」という消費者の期待に応えているのが「arrows Alpha」だ。CPUに「Dimensity 8350 Extreme」を採用し、12GBのRAM、512GBのROMを搭載。ハイエンドにカテゴライズされる製品だが、8万円台という手の届きやすい価格で発売した。

揺るがぬ強さと、
磨き抜かれた高性能「arrows Alpha」
「消費者が手にしやすい、高性能な製品です」と語るのは、商品企画責任者の高橋知彦氏だ。arrows Alphaの商品企画を任された高橋氏は、この製品を日本のユーザーにとって「かしこい選択」にしようと考えた。海外製品であふれるスマートフォン市場に、日本メーカーならではの視点で臨んでいる。
日本のユーザーには、海外ユーザーには見られない特有のこだわりがある。例えば、「良いものを長く使いたい」という思想や、「機械にも清潔さと美しさを求める」といった感性だ。そうしたニーズに応えることで、海外製品との差別化を図った。
第1のこだわりが、「堅牢性」だ。「圧倒的な堅牢性を実現し、壊れず長く使える製品を目指しました。堅牢性へのこだわりはarrowsのDNAです。2016年の『arrows NX F-01J』のころから追求し続けています」(高橋氏)。
「MIL規格」というアメリカ国防総省の調達規格には、実は多くの試験項目がある。最近は同規格への準拠をうたう製品が増えているが、準拠しているといっても、せいぜい5~6項目をクリアしているだけの場合が多い。
arrows Alphaは、落下、耐衝撃、防水、防塵、塩水耐久、耐日射、耐振動、熱衝撃、高温動作、高温保管、低温動作、低温保管、低圧動作、低圧保管、氷結など、MIL規格の23項目の試験に合格している。
特に防塵・防水性能に関しては、IP規格(Ingress Protection Code)の「IP68」に対応している。「68」の「6」は「完全な防塵(6段階中、最高の6)」、8は「継続的な浸水に対して保護(9段階中の8)」を表す。防塵・防水性能に本気で挑んだ。

過酷な環境でも安心して使える
高い防水・防塵性能を備えている
それだけではない。そうした世界基準に独自の社内基準を加え、さらなる強さにこだわった。例えば、1.5mの高さから26種類の方向でコンクリートに落下させる衝撃試験を考案。試験を繰り返しながらデザインをブラッシュアップし、すべての基準をクリアした。
ガラス面には、高い耐久性とクリアな視認性を両立する特殊な強化ガラスを使っている。これも、円錐形の鉄塊をガラス面に落とす独自の試験を活用し、クリアする性能を引き出した。落としても壊れにくい堅牢性を備えている。
「安心を提供するには、多数の試験や実験に裏打ちされたエビデンスが必要です。実証実験を愚直に繰り返し、開発にこぎつけました」(高橋氏)。

堅牢性へのこだわりはarrowsシリーズの伝統である。これまでも、開発チームは堅牢性にこだわり、素材や設計、機能の面で多くのノウハウを蓄積してきた。その成果が、今回のarrows Alphaに凝縮されている。
第2のこだわりが、「清潔感」だ。機械にも清潔さを求めたい日本のユーザーへの回答として、arrows Alphaを洗剤と水道水で気軽に洗えるようにした。365日で3年間、毎日洗うことを想定し、1100回以上の洗浄試験を実施。全く問題ないことを確認している。「丸洗いできるスマートフォン」として、arrows Alphaは「清潔感」の期待にしっかりと応えた。「スマートフォンを洗いたいというニーズは意外に多いのですが、本当に洗剤で丸洗いできるのか、不安に思うお客様もいらっしゃいます。そこで、安心して日常的に洗っていただくために、ハンドソープをつけて、手洗いで1100回以上洗うという実証実験を行いました」(高橋氏)。

365日で3年間、毎日洗うことを想定し
1100回以上の洗浄試験を実施している
デザイン性と頑丈さは、トレードオフの関係になる。本体を分厚くし、角や表面を補強すれば、堅牢性を容易に高められる。しかし、arrows Alphaはそれをしていない。「薄型でスタイリッシュなデザインを維持したまま、世界最高水準の堅牢性や防水性を確保しました」(高橋氏)。堅牢性の確保に必要な形状をデザインでうまく処理し、スタイリッシュな外観を維持している。
例えば、ディスプレーの縁であるベゼルの四隅が微妙に隆起しているのは、落とした時にディスプレーの直撃を防ぐためだ。水の浸入を防ぎ、電気機械のショートを回避する高度なシーリング構造や、端末にかかった衝撃を効率的に分散してダメージを軽減するベゼル設計、内部の部品へのダメージを軽減するフレーム構造など、デザイン上の工夫を随所に散りばめた。ベゼルレスのスマートフォンが当たり前の時代において、あえてベゼルをつけることによって高い堅牢性を生み出している。ベゼルがありつつもスタイリッシュなデザインに仕上げた。

落とした時にディスプレーの直撃を
最小限に抑える設計がなされている
再生アルミニウムを素材とする頑丈なメタルフレームを採用しているが、表面にヘアラインを施すことで、シャープな見た目を演出している。手の小さな女性や子供でも落としにくくするため、全体のサイズ感、薄さ、持ちやすさなどにもこだわった。
「arrows Alphaは、ケースを付けずに使っていただくことをおすすめしています。実際、当社の社員たちはケースなしで使っています。手に当たる部分に膨らみを持たせることによって、ケースなしで使用した際の手触りの良さにこだわっています」(高橋氏)。ケースを付けると、スマートフォンは厚く重くなる。ケース無しでも安心して使えるようにすることで、スマートフォンを軽快に持ち歩けるようにしている。
高い耐久性を備えるarrows Alphaは、日常生活での落下や浸水に強いだけでなく、山登りや川遊び、キャンプ、海水浴など、アウトドアでの使用にも向いている。建設現場や工場など、過酷な環境で働く人にもふさわしい。
SNSや動画サイトで活動しているインフルエンサーに、山登りやキャンプで実際に使ってもらい、使用感や有用性をアピールしていく考えだ。また、落としたり、乱暴に扱っても壊れにくいことから、子供や老人にも安心して持たせられるスマートフォンとしてのプレゼンスを高めていく。
「あらゆるユーザーに長く使っていただけるように、ハードウエアだけでなくソフトウエアにもこだわっています」(高橋氏)。発売時から起算して最新OSへのバージョンアップを3回、ソフトウエアのセキュリティ更新を5年間保証している。
多くのハイエンドモデルが年々高価になっているなか、同社は「手が届くハイエンド」にこだわった。「これまで高価なハイエンド製品やフラッグシップでのみ享受できた価値や体験を、手に届く価格で提供したい。その価値の一つが、512GBという大容量のROMです。通常、15万円から20万円という高価格帯の機種に搭載される容量を、8万円台で実現しました。ユーザー調査でもROM容量へのニーズが非常に高いことがわかっています。映像やゲーム、写真を多く利用するお客様にとって、存分に使えるROM容量という価値をお届けします」
今回のarrows Alphaは、同社が目指している「手に届くハイエンド」の集大成となった。数々の実証試験に裏打ちされた世界最高レベルの堅牢性と大容量を兼ね備えるハイエンド製品でありながら、低価格で手に入りやすい。ユーザーのニーズを深く理解して寄り添う姿勢で開発されたarrows Alphaは、日本のスマートフォン市場に新風をもたらすだろう。
スマートフォンにまで清潔感を求めるのは、世界ではあまり見られない消費者ニーズでしょう。日本のユーザー特有の価値観と言えます。arrows Alphaは、アルミニウム製の頑丈なメタルフレームで堅牢性を担保し、1100回以上も丸洗いできるというコンセプトを実現しており、快適で安心な使用体験を約束しています。このような特徴を備えたスマートフォンを選ぶことは、長期的な信頼性や毎日の安心安全を重視する人々にとって、まさに賢い選択と言えるでしょう。今回の取材では、arrows Alphaの開発に使用した試験環境を実際に見させてもらうことができました。高橋氏は「愚直」と表現していましたが、まさに開発陣の愚直なまでの真面目さと、ものづくりに向き合う真摯な姿勢を感じました。安心と堅牢性を徹底的に追求する姿勢は、ユーザーにとって賢明な選択肢を提供し続けるための努力であることがよく分かりました。
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