汗対策アンダーウエア「アセドロン」が「日経トレンディ」2024年12月号の「2024年ヒット商品ベスト30」の14位にランクインしたグンゼ。
「アセドロン」に続く猛暑対策インナーとして新たにリリースしたのが「in.T Airy half」だ。
企画担当者である同社の寺島功基氏に「日経トレンディ」発行人の佐藤央明が聞いた。
猛暑対策として開発された
Tシャツ専用インナー

グンゼ
アパレルカンパニー
営業MD本部
商品企画部
寺島功基氏
佐藤 「日経トレンディ」2024年12月号で発表した「2024年ヒット商品ベスト30」で、汗対策にフォーカスした御社のアンダーウエア新ブランド「アセドロン」が14位となりました。特に評価させていただいたのが、珪藻土にヒントを得た独自素材による汗解消テクノロジーの新規性です。今回新たにリリースされた「in.T Airy half」も、猛暑対策のインナーということで注目させていただいています。
寺島 当社では、Tシャツ専用インナーの「in.T」を19年に販売開始し、累計出荷約130万枚のヒット商品となっています。近年の日本の猛暑対策として、従来の「in.T」の着丈を短くカットしたのが、今回25年の春夏ラインアップに投入する「in.T Airy half」です。
佐藤 そもそも「in.T」はどういうコンセプトで開発されたのでしょう。
寺島 Tシャツをもっとおしゃれに、そして快適に着用してほしいというのが「in.T」のコンセプトです。開発のきっかけは、昨今のTシャツブームの中で、「Tシャツの下にインナーを着たいけど、ちょうどいいインナーがない」という男性の不満を、当社が実施した消費者調査で感じ取り、さらに深掘りしたところ、若年層の半数以上、全世代でも約35%の方がTシャツを着る際にインナーを着用しているという結果が出たことでした。
佐藤 通常の肌着ではなく、Tシャツ専用として開発されたのはなぜですか。
寺島 メンズアンダーウエア市場は成熟した市場であるため、何かに特化することで“新たな市場”を生み出す必要があると日々考えていました。当時はTシャツ専用のインナーはなく、通常の肌着ではTシャツの首元からインナーがチラ見えしてしまったり、脇汗などの汗対策に不満を感じている消費者が多かったため、「Tシャツの下に着るための専用インナー」を開発してみようとなりました。
佐藤 具体的にはどのような特徴にこだわられたのでしょう。

日経トレンディ
発行人
佐藤央明
寺島 チラ見えしない形状や脇汗パッド、透けないカラーなど、Tシャツ専用インナーと呼ぶにふさわしい製品作りを心がけました。例えば、首回りの形状は通常のクルーネックやVネックではなく、どのようなTシャツでもチラ見えしにくい独自のラウンドネックを開発しました。また、当社は生地端を切りっ放しにするカットオフという独自技術があるため、襟、袖、裾の縫い目をなくすことで、肌との段差を目立ちにくくすることが可能です。見た目にこだわる方にはこういった点が支持されていると思います。
佐藤 汗対策の面ではいかがですか。
寺島 まずは汗取りパッドです。特に汗をかきやすい脇部分に汗取りパッドを配置することで、脇汗をしっかりとキャッチしてくれます。また、汗取りパッドも含め、汗に配慮した素材を使用しているため、張り付きにくく、汗のニオイのもととなる細菌の増殖も抑えてくれます。発売以降、消費者からの要望をいただくことも多く、脇汗パッドの面積を広げたり、ゆったり着用いただけるモデルを追加するなど、改良を重ねています。
佐藤 インナーといえば白のイメージですが「in.T」はベージュを中心としたカラーバリエーションになっていますね。
寺島 カラー選定については、肌の色に一番なじむものを見つけるために30色以上検証した結果、現状のクリアベージュが最も透けにくいということが判明しました。若者には抵抗がある色なのではないかという懸念もありましたが、結果的にクリアベージュが一番の売れ筋となっています。
「in.T」は透けない、目立たない、
インナーを着ているのがばれない!
Tシャツ専用インナーとして誕生した「in.T」の特徴は大きく4つ。脇の汗じみを防ぐ汗取りパッド、検証を繰り返して透けにくいことが証明されたベージュをベースとしたカラバリ、Tシャツからはみ出さないように計算された首元が広めのラウンドネック仕様、そしてTシャツの下に重ね着しても外見では分からない独自のカットオフ処理。汗対策エチケットとファッション性を両立させた「in.T」の特徴はそのままに、生地をカットして涼しさを追求したのが「in.T Airy half」だ。カラーはクリアベージュと黒の2色展開。定番の「ノーマル袖なしタイプ」はカラバリも豊富だ。

着丈を半分にカット
大胆な発想で涼しさを追求
社内でも物議を醸した
生地半分カット

これまでのインナーにはなかった斬新な発想だったため、開発中も社内では懐疑的な声が大多数だったが、消費者調査の結果や若手社員の意見を集め、社内承認へとつなげていった。
佐藤 今回リリースされた「in.T Airy half」は生地をカットして着丈を短くされたとのことですが、この大胆な発想はどうやって思いつかれたのでしょう。
寺島 年々猛暑が厳しくなる中、Tシャツ専用インナーとして解決策を世に出したいという思いは常々ありました。そこで、消費者調査でインナーを着用しない方の意見を聞いてみると、インナーとTシャツを2枚着用することで、より暑くなるという声が最も多いことが分かりました。ただ、そういう方でも汗じみや乳首透けは防ぎたいというニーズがあることも同時に判明しました。
佐藤 汗じみや乳首透けは「in.T」で解決済みなので、重ね着しても涼しくすることが今回の課題になったわけですね。
寺島 素材や機能も検討はしましたが、涼しさを追求するなら生地をなくしてしまえばいいという結論に達しました。その際に参考にしたのが女性用インナーです。
佐藤 確かに女性用インナーはハーフトップなどがありますね。社内で提案された際の反応はいかがでしたか。
寺島 最初の提案の際、懐疑的な意見も多く、反対意見もありましたが、消費者調査でニーズがあることは分かっていましたし、試作品を若い世代の方に試着してもらい好感触も得ていたので、猛暑対策のインナーとしてプレゼンした結果、社内承認を得ることができました。
佐藤 技術的な苦労点はありましたか。
寺島 着丈を短くするとずれ上がってしまう点が一番でした。これについては、従来の「in.T」よりも伸縮性のある素材を採用し、数十パターンの検証を実施し、動いてもずれにくい設計にしてあります。
佐藤 実際に着用させていただきましたが、確かにずれはありませんね。ただ、経験したことのない着心地なので、多くの方が最初は違和感から始まると思います。手応えはいかがですか。
寺島 若い世代のニーズを踏まえ、それに応える形で開発したので、受け入れていただけると期待していますし、「アセドロン」と並ぶ猛暑対策の決定版として満足いただけると自信を持っています。
佐藤 私も真夏に着るのが楽しみですし、どのくらいの方がこの「一線」を越えるのか楽しみです。


