PC周辺機器の国内メーカーとして知られる、アイ・オー・データ機器。液晶モニターの分野には1997年に参入し、累計出荷台数は1800万台以上、量販店やECでのコンシューマー向けモニターの売り上げで11年国内連続トップ*1を誇る同社が、2014年にある国内メーカーが長年培ってきた超解像技術「ギガクリア・エンジンII」を受け継ぐ形で誕生したのが、ゲーミングモニターブランド「GigaCrysta」だ。
*1 第三者機関の全国有力家電量販店の実績データよりアイ・オー・データ機器調べ。メーカー別数量/金額シェア(2014~24年)
同社 第1事業部 企画1課 GigaCrystaブランドマネージャーの山形誓氏は、当時をこう振り返る。「eスポーツが盛んな現在と違い、当時のゲーミングモニターはまだまだニッチな商品で、当社としても最初からゲームだけに照準を絞っていたわけではなく、『ギガクリア・エンジンII』の高画質を生かしたエンターテインメント寄りのモニターからのスタートでした」。
また、同社 第1事業部 開発1課 主任技師で、GigaCrysta以前からエンジニアとして液晶モニターの開発に携わってきた山下俊郎氏は、ギガクリア・エンジンIIを受け継いだ経緯をこう説明する。
「早くから液晶モニター領域には参入していましたが、当初は業務用途のものが多く、マルチメディア系は知見が不足している状況でした。そうした中、ある国内メーカーが液晶モニター事業から撤退されるタイミングでご縁があり、ギガクリア・エンジンIIの技術を引き継ぐ形でのブランド立ち上げが実現しました」(山下氏)
もともと高解像度を生かしたエンターテインメントモニターとしてのスタートではあるが、画質の優れたモニターならゲームとの相性も良いはずだという仮説は当初からあったという。ブランド発足の年に東京ゲームショウへの出展を決めたのも、ゲーミングモニターとしての可能性を探る意図があったからだ。
「新たなブランドを立ち上げたアピールとともに、ゲーミング業界の情報を収集するため、最初の2年間はビジネスデイのみの出展でした」と語るのは、同社 販売推進部 部長の西田谷直弘氏だ。
西田谷氏によると、ゲーミングモニターはニッチではあったものの、市場自体はすでに存在し、後発のGigaCrystaがブランドとして成長を遂げるには、東京ゲームショウをはじめとする各種イベントでの情報収集やゲーム業界内の関係構築が必須だったという。西田谷氏の言葉を受け、山形氏もこう証言する。
「当社がこうした関係構築に注力したのは、例えばゲームデバイスメーカーとの連携で確実に動作確認をするような誠実な取り組みが、最終的にエンドユーザー様の安心や信頼に結びつくと考えたからです。また、プランナーである私やエンジニアの山下といった多くの社員がイベントや展示会に参加し、直接エンドユーザー様とコミュニケーションを取ることで、ゲームを楽しむ皆様の要望が直接届くことを実感していただきたいという思いもありました」(山形氏)
また、GigaCrystaが多くのユーザーに受け入れられるようになった大きなポイントとして、性能や価格のバランスが取れた製品ラインアップを投入していることも大きい。
「ハイスペックなモノづくりも重要ですが、すべてのエンドユーザー様がフラッグシップモデルを求めているわけではありません。トレンドもしっかりと押さえつつ、『この価格でこのスペックのモニターが欲しい』というニーズにお応えできるようなラインアップにこだわっています」(山形氏)
マルチメディアモニターからスタートしたGigaCrystaの10年間の歩みを振り返る各氏のコメントからは、デバイスメーカーやユーザーとの丁寧な関係づくりを通して、ブランドを育ててきたという自負が伝わってくる。