「ブレンディ(R)」ポーションはおいしさをぎゅっと閉じ込めた個包装タイプの希釈飲料。コーヒーのポーションの場合、ミルクで割ってカフェオレに、水で割ってブラックのアイスコーヒーが楽しめる。コンシューマービジネス部で「ブレンディ(R)」ポーションを担当する德永理紗氏は、その快進撃の理由をこう語る。
「ポーション市場が好調な背景として、近年の日本の夏の猛暑があげられます。それに加えて、春と秋が短く、暑さを感じる時期が長くなっていることによる、アイス飲料需要の高まりが大きいのではないかと思っています。
もうひとつは、嗜好の多様化です。コロナ禍の時期に“おうちでカフェ”を楽しむ方が一気に増えたことで、さまざまなカテゴリーのコーヒーや飲料を求める方も増加しました。そういった背景から、いろいろな味わいのものを楽しみたいという嗜好が需要としても高まっていると感じています」
「ブレンディ(R)」ポーションの快進撃を支えているのが、Z世代を中心とした若い女性層だ。
「他のカテゴリーの商品と比べて、ポーションは若い世代から支持されていることも特徴で、特に30代以下の女性に多く購入されています。それまでも需要としてはありましたが、若年の女性たちが反応し始めたのは、明らかにコロナ禍からです。外出自粛期間の終息で一時的に売上が落ち着いた時期はあったものの、それ以降もじわじわと需要は伸び続けています。
私はポーションを担当する前はインスタントコーヒーやスティックブラックなどを担当していましたが、これだけ新しいお客様が入ってきているというのは、ある程度成熟したコーヒー市場の他のカテゴリーの商品と比べても非常に珍しい現象です。また、嗜好品全体の中で見ても、このポーション市場ほど需要が伸びている市場はないと感じています。生活者の方もかなりトレンド感を感じて受け入れられているのではないでしょうか。実際、23年〜25年の『ブレンディ(R)』ポーションの売上高は、22年を基準に年々拡大しています(下記グラフ)」
そういった好調の理由の一つが、昨年5月に「ブレンディ(R)」ポーションとしてブランド初となるTVCMの放映を開始したことだ。「ミルクや水で割るだけでコク深い味わい」「1杯ずつ作る特別感」など、商品の魅力を積極的にアピール。認知度をさらに高めるプロモーションも功を奏し、「ブレンディ(R)」ポーションは、25年4月から26年3月金額ベースで約160%(前年同期比/宅配・通信販売除く)※と市場を牽引している。
※ インテージSRI+/2024年4~2026年3月の期間中、4月~3月までを1年間としたときの推計販売金額
ポーションの特徴は個包装で1杯ずつ、いつでも自分の好きなタイミングで手軽においしい飲料が楽しめるという点。それはボトルコーヒーなど、従来の液体コーヒーカテゴリーの商品にはない魅力として、生活者にも受けているポイントだと德永氏はいう。
「『ブレンディ(R)』のコーヒーはミルクマッチがよいのが特徴で、高温高圧抽出でミルクに合うような設計がされています。ポーションもミルクと合わせたときのカフェオレでのおいしさにこだわった商品です。1杯ずつ使い切れるため、開けたてのおいしさが保たれる点も人気につながっています。そして、味がおいしいというだけではなく、パキっと開けるアクションから始まるワクワク感も受け入れられていると感じます」
コーヒー市場全体が成熟する中でポーションが支持されるのは、便利さだけではない魅力を感じる人が多いということだ。
「インスタントコーヒーなどのドライコーヒーとは違い、液体であることもポイントです。カフェオレにしたときに液体とミルクがグラデーションになる様子を目で見て楽しむことが特別な体験価値を生み出し、ちょっと気分が上がる。そんなところが、カフェや外食でコーヒーをよく飲む女性たちに刺さっているのかなと分析しています」
フレーバーバラエティの豊富さも魅力だ。現在は春夏のラインアップとして、濃縮コーヒー(無糖・甘さひかえめ)、キャラメルカフェオレベース、紅茶、フルーツティー3種の果物ミックス、甘熟苺オレベース、抹茶オレベースの7種のフレーバーが揃っている。すべてに共通するのが、自然で控えめな甘さ。大人向けの味わいとなっている。
「ミルクマッチという点では、濃縮コーヒーはもちろん、『キャラメルカフェオレベース』や『甘熟苺オレベース』、『紅茶』も人気が高く、特に『甘熟苺オレベース』は指名買いも多い商品です。これらのポーションを買ってくれたのはどんな層だろうと深掘りしていくと、カフェなどの外食メニューでコーヒー以外の季節限定メニューを好まれる方が多い傾向にあります。なかには、コーヒーが苦くて飲めないという方もいます。そういう方が他のカテゴリーのコーヒーも楽しんでもらえるような、コーヒー市場全体を牽引するきっかけにポーションがなればよいと期待しています」
また、インバウンド需要があるのも、ポーションならではの特徴だという。
「韓国では季節を問わず冷たい飲み物を好む傾向があり、アイスコーヒー文化は国民的なライフスタイルとして定着しています。ですから、アイスコーヒーを簡単に作ることができるポーションとの親和性が高く人気があります。また、抹茶の風味豊かな旨みが特徴の『抹茶オレベース』は、日本に訪れる外国人観光客がお土産としてよく買っていかれます」
「ブレンディ(R)」ポーションはアレンジメニューを楽しめることも特徴だ。それぞれの楽しみ方がSNSで広がったことも好調の追い風となった。
「ポーションを凍らせてミルクの中に入れると、冷たさが維持されるうえに時間が経っても味が薄まらず、最後までしっかりとした味わいのカフェオレが楽しめます。私のおすすめは『フルーツティー3種の果物ミックス』や『紅茶』を炭酸で割ったティーソーダです。グラスにフルーツを入れれば見た目にも美しく、デザート感覚で楽しんでいただけます。フルーツティーの香り立ちとほどよい甘みに炭酸の爽快感が加わり、リフレッシュタイムにぴったりです」
今後期待されるのは、さらなる購買層の広がりだ。それにより、ポーションの認知も高まり、定着していくことだろう。
「当初、30代以下が目立っていた購買層が40代、50代にも広がってきています。若い世代の方々はもちろん、幅広い世代の皆様に楽しんでいただけるようなフレーバーの開発も必要になるでしょう。今後も、それぞれの生活に合ったおいしい味わいをお届けしていきたいと考えています」
朝の出勤前の忙しい時間や在宅ワークの合間に冷たい水や牛乳に入れるだけで、一瞬でカフェのような飲料が楽しめる。それが、忙しい現代人のニーズにマッチしただけでなく、手軽に自分好みのぜいたくが味わえるという、消費トレンドをうまく捉えた結果といえそうだ。

