“購入の瞬間”に、心躍るオファーで掴む! ナッシュにCVの“純増”をもたらした、新・獲得チャネルとは? nosh(ナッシュ)× ROKT ナッシュ 執行役員 マーケティング・セールス管掌 五月女 勉紹氏/Rokt 国内広告事業統括 大野 皓平氏

メガプラットフォームへの依存傾向が続くインターネット広告では、ここ10年、広告費の受け皿となる媒体の顔ぶれはほとんど変わっていない。CPA(顧客獲得単価)の高騰、CV(コンバージョン)の頭打ちといった課題が顕在化し、広告主企業は打開策を探る。
累計販売食数1.5億食を誇る、冷凍宅食サブスクリプションサービス「nosh(ナッシュ)」は、D2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)モデルで顧客数の増加がそのまま事業成長に直結するため、年間30を超える新広告チャネルを試している。その中で最も高い効果を上げたのが、“購入の瞬間”を顧客接点としてアプローチするRoktだ。配信開始からわずか2週間で効果改善を確認して本格拡大に踏み切り、導入から3カ月で出稿規模は当初の3倍に達した。決め手は、既存チャネルを侵食しない“純増”だった。

既存チャネルのCVは頭打ち年間30を超える新チャネルを開拓

「当社は、常に新チャネルを渇望しています」と、ナッシュの五月女勉紹氏は話す。ナッシュは、自社で企画・製造した冷凍宅食サービス「nosh(ナッシュ)」を展開。すべてのメニューが管理栄養士と専属シェフによって設計されており、栄養価基準はもとより美味しさにこだわる。高齢化、女性の社会進出、共働き夫婦の増加などライフスタイルの変化に応えて販売を拡大。2018年のサービス開始以来、累計販売食数は1.5億食に及ぶ。

ナッシュ 五月女 勉紹氏
ナッシュ
執行役員 マーケティング・セールス管掌五月女 勉紹 氏

「nosh」は、サブスクリプションのみで販売するD2Cモデルだ。その成長は顧客数と相関するため、新チャネルの開拓は重要な経営戦略に位置づけられる。同社が現在、新規顧客の獲得に利用しているのはSNS、検索広告、インフルエンサーとのタイアップなど主要なチャネルだ。しかし、その主戦場はすでに限界を迎えつつあると五月女氏は指摘する。

「メガプラットフォームのCPAが高騰し、CV拡大のハードルが高いのが現状です。ショート動画アプリ登場以来、ここ10年インパクトのあるチャネルは登場していません。インターネット広告から自社サイトやLPへの流入を増加させるために、チャネルの拡大・定着は重要なテーマです」

だからこそ、ナッシュは新たなチャネルを絶えず探し続けている。

「年間30を超える新チャネルにチャレンジしています。まず、やってみるというのが基本のスタンスです。また、1週間試して効果が出ないから終了、という判断もほとんどしません。当社では代理店を通さず広告運用を内製化しているため、PDCAを短期間で回して効果を見極められます。何も対策を打たずにポテンシャルを捨ててしまうことのほうを、リスクととらえています。ポイントは、当社とチャネル側が一緒に改善し、広告効果を高めていけるかどうかです」(五月女氏)

新チャネルの開拓を続ける中で、これまでとは異なるアプローチとして出会ったのがRoktだった。検索広告でもSNS広告でもない。ECサイトにおける“購入の瞬間(トランザクションモーメント)”に、消費者一人ひとりに最適なオファー(提案)を選び、広告として提示する。その新しさと効果の高さに驚いたと五月女氏は率直に語る。

“購入の瞬間”はマーケティングのポテンシャルが高い

実は五月女氏はプライベートでRoktによる広告を体験していた。

「映画のチケットを“購入した瞬間”に、動画配信サービスの広告が出てきて思わず登録しました。そのときに、この広告体験はスムーズだと感じました」

Rokt 大野 皓平氏
Rokt合同会社
国内広告事業統括大野 皓平 氏

なぜ“購入の瞬間”なのか。Roktの大野皓平氏はこう説明する。

「購入手続き中から購入直後にかけては、購買意欲がピークにあり、ほしいものを手に入れた高揚感に包まれています。その瞬間に、データサイエンスとAI・機械学習を活用し、そのお客様が最も関心を寄せるであろうオファーを一人ひとりにあわせて選び出します。関心のない情報を出すことはないので、お客様にとっては購入体験の延長として自然に受け取れる。心躍る提案をクリックすれば、そのまま広告主のLPに遷移します」

新チャネルの選択にあたって特別な要件は設けていないという五月女氏だが、1つだけ重視している点がある。その媒体の「スケーラビリティ(拡大性)」だ。

「ユーザー接点となる“面”の広さは重要なポイントです。これまで『nosh』が広告接点として想定することもできなかった“面”に広告を出せること、そしてRoktとパートナーシップを組むECサイトが続々と増え、その規模が拡大し続けていること。この2点に大きな可能性を感じました」

実際、Roktと提携するECサイトは大手を中心に国内約60に上る。業種もECマーケットプレイスにとどまらず、リテール、チケット、フードデリバリー、トラベルなど幅広い。2026年6月には、国内最大級のECである楽天市場もRoktとのパートナーシップを開始した。業種やカテゴリを超え、さまざまな嗜好をもつ消費者に“購入の瞬間”でオファーを提示できるのが特徴だ。

nosh(ナッシュ)、Rokt のロゴと、スマートフォンの購入完了画面に表示されたナッシュの広告オファーの画面例
RoktのパートナーECサイトの購入完了画面に表示されるナッシュの広告オファーのイメージ

アドネットワークやDSPを経由した運用型広告では、掲出先のサイトを細かく選ぶことが難しく、意図しない面に自社の広告が並ぶこともある。ブランド価値の観点ではリスクとなりうる部分だ。その点Roktでは、同社が個別にパートナーシップを結ぶ、大手企業を中心としたECサイト上にのみ配信されるため、自社の広告がどのような面に出るのかが明確になっている。安心して出稿できることも、ナッシュにとって大きなメリットとなった。

一方で、“購入の瞬間”という広告体験には1つだけ気がかりな点があったと五月女氏は明かす。「高揚感のあるタイミングでお申し込みいただいたお客様は、数日後に冷静になったときに解約されてしまうのではないか。そこは正直、不安がありました」

結果は杞憂に終わった。「導入後、Rokt経由のお客様と他チャネル経由のお客様のデータを比較したところ、継続率は他チャネルと比べても遜色ありませんでした。今は安心して利用しています」(五月女氏)

既存チャネルを侵食しない“インクリメンタルCV”を生むチャネル

ナッシュ 五月女 勉紹氏

検証段階から本格運用に切り替える判断基準について、五月女氏はこう説明する。「1人のお客様に会員になっていただくための獲得単価(CPA)が目標を下回っていること、他チャネルの平均LTV(顧客生涯価値)を上回っていること。この2つをクリアしていればOKと判断します」

2026年3月にRoktでの広告配信を開始したナッシュは、その手応えをこう振り返る。「開始当初から成果は上がっていましたが、RoktさんとともにPDCAを回すことで、わずか2週間ほどでさらに効果の改善が見えてきました。そのデータから、配信を拡大しても効果が期待できたので、本格拡大の判断をしました」(五月女氏)

拡大の判断を経て、導入から3カ月時点で出稿規模は当初の3倍に達した。

Rokt 大野 皓平氏

広告主と一体でPDCAを回せる背景には、Roktの運用体制がある。専任のアカウントマネージャーが広告主と直接やり取りしながら配信設計に入る。「広告主から配信結果を直接いただける分、それを速やかに配信へ反映できます。オファーのクリエイティブを見直すだけでも効果は大きく変わりますから、改善のサイクルを速く、大胆に回せることがそのまま成果に直結します」(大野氏)

新チャネルを導入した際、五月女氏が必ずデータで確認していることがある。「その新チャネルが、既存チャネルを侵食していないか。ここは必ず見ます」

過去に苦い経験があった。「ある新規チャネルが伸びた際に、もともと利用していた既存チャネルが縮小したことがあります。CV数を合計してみると、総獲得数はそれほど増えていませんでした。いわば、新規チャネルが既存チャネルをカニバリしている状態です。獲得の場所が移っただけで、事業として増えた顧客はいない。単なるチャネルの付け替えに過ぎませんでした」

Roktでは、それが起きなかった。「他チャネルのCV数に影響がないまま、Rokt経由の獲得が積み上がりました。総獲得数もしっかりと伸びています。“インクリメンタル(純増)CV”が生まれたということです」

新しいチャネルを評価する際に重要なのは純増CV。カニバリが起きている状態:新チャネルの獲得があってもその分既存チャネルでの獲得が減少し、結果として全体CV数が増えていない。純増CVが生まれている状態:既存チャネルの成果は維持された上で、新チャネルがもたらす純増CVにより全体CV数が拡大する
既存チャネルの獲得数を減らすことなく、純粋に新しい顧客獲得を積み上げることが求められる

では、Roktはなぜ“純増”を実現できるのか。大野氏は、届けている顧客層がそもそも違うと説明する。

「検索広告が届くのは『探している人』、SNS広告が届くのは『見ている人』です。裏を返せば、どのチャネルも能動的に動いている同じ層を奪い合っている。一方でRoktがつなぐのは、別のECサイトで『今まさに購入を完了しようとしているお客様』です。その時点では必ずしも『nosh』を探してもいませんし、関連する情報に触れているわけでもない。既存のチャネルでは接点の持ちようがなかった層です」

広告枠としての構造も異なる。「購入完了の瞬間は、これまで広告の場として使われてきませんでした。既存の広告枠の奪い合いではなく、新しい接点が増えているということです」

出店せずに、ECユーザーとつながる

ナッシュは、これまでも今もECマーケットプレイスに出店しておらず、自社ECのみで「nosh」を届けている。「毎日の生活を“習慣設計”し、無理なく続く健康を社会に届ける」という同社のミッションに照らした判断だ。

一方で、五月女氏には気になっているデータもあった。「楽天市場を含むECモールで『nosh』を指名検索されている方が、相当なボリュームでいらっしゃることは把握していました。ECマーケットプレイスのユーザーの中にニーズがあることは分かっている。ただ、出店していない以上、そこにお応えする手立てがありませんでした」

Roktは、その空白を埋めた。出店することなく、ECマーケットプレイスで買い物をする消費者の“購入の瞬間”にオファーを届けられるようになったのだ。「これまで接点を持てなかったお客様に、自社ECへお越しいただく道ができました。ビジネスチャンスが大きく広がったと感じています」(五月女氏)

モール内に需要はあっても、広告出稿には“壁”があった。需要はあった:モール内でnoshの検索数は多く、モール利用者との親和性や一定の需要を実感。出稿には至らず:noshのサブスクモデルとモールの「定期便」フォーマットが不一致で出店できない。モールへの商品出店が前提であり、出稿枠や販売形式などの制約に懸念。その“壁”を崩したのがROKT
自社EC専売のナッシュは、モール内に需要があっても出店なしで顧客へ届ける手立てがなかった。
Roktによって、出店することなくECマーケットプレイスで買い物をする消費者にアプローチできるようになった

今後の展開について五月女氏はこう述べる。「『nosh』は国民食を目指しています。健康管理や料理にかかる手間や時間を気にすることなく食べたいものを食べるという新食習慣が根づくために、Roktには“面”のさらなる拡大に期待しています」

広告主と媒体(チャネル)は、それぞれが互いの成長に大きく関わる。「媒体はチャレンジ精神があり成長を続ける広告主を求めており、広告主は信頼できる媒体が増えることを望んでいます。Roktの役割は、両者間でそれぞれの利益や目標達成に向けて良い循環をつくり、その輪を広げることです。またパーソナライズの精度を高めるために、AIに対してグローバルで巨額の投資を行っており、“購入の瞬間”の価値向上に注力しています」(大野氏)

既存チャネルの奪い合いから抜け出し、まだ出会えていない顧客に会う。“購入の瞬間”という新しい接点は、すでに国内約60のECサイトで動き始めている。

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