独自の分散技術を、ユニークな特性を持つ新製品に昇華させ展示会で一斉に披露

自動車など産業用のベルト製品やゴム製品で実績を持つバンドー化学。長年の経験で培ったコア技術を武器に、多方面への展開を戦略的に進めている。各種の新たな製品に共通するのが、独自の「分散技術」の存在だ。ゴムにさまざまな特性を持たせる加工技術が、各製品の機能の実現を支えている。同社は2018年9月に大阪・東京で開催する「BANDO TECHNO FAIR 2018」でそれらの技術を披露する。イベントに先立ち、バンドー化学の畑克彦氏に製品について話を聞いた。

バンドー化学
取締役常務執行役員
新事業推進センター長
畑 克彦

バンドー化学は自動車やコンベヤ、産業機械に使われるベルト製品などで知られる。そこで使われるゴムは、ベース素材のポリマーに混ぜるカーボンブラックやシリカなどの添加物の配合量や、混ぜ方によって、製品に使用した時の特性が大きく変わる。同社は材料を意図通りに混ぜる分散技術で独自のノウハウを確立しており、そのノウハウが多様な製品を生み出してきた。

同社はこの分散技術をベルト製品以外の分野に応用するために、2013年から新たな製品開発に注力してきた。5年の歳月をかけて実現した製品はいずれも、同社の分散技術がなければなしえない機能を持っている。

素材を適切に並べて高い放熱性を実現

例えば高熱伝導放熱シート「HEATEX」は、熱を伝える素材の向きを揃えるところに分散技術が生かされている。半導体など熱を持つデバイスにヒートシンクを貼り付けて放熱する場合、貼り付け面の表面粗度によって発熱源とヒートシンクの間に空気の層が入り、放熱性が低下してしまう。そこで、間に「HEATEX」を挟むことで両者を密着させ、ヒートシンクに熱を伝えやすくする。

「HEATEX」が熱伝導性に優れているのは、ゴムの中にボロンナイトライドを混ぜているためだ。しかし、ボロンナイトライドは方向によって熱伝導性に大きな違いがあり、単に混ぜただけでは十分な効果を発揮できない。導電性の素材であれば磁力で向きを揃えることもできるが、非導電性のボロンナイトライドはそれも不可能だ。しかし同社は独自の分散技術により、シートの厚み方向に揃えることを可能にし、高い熱伝導性を実現した。

高熱伝導放熱シート「HEATEX」(左)シート断面(右)
高熱伝導放熱シート「HEATEX」(左)は、一定方向の熱伝導性に優れたボロンナイトライドを内部で適切に分散させており、シート断面(右)の方向が揃っている。

同社が想定する用途の一つが、車載半導体の放熱機構だ。「ボロンナイトライドをシリコングリースに混ぜるという手もありますが、発熱源が膨張・収縮することでグリースは押し出されてしまいます。ゴムシートであればその心配はなく、クルマの電動化が進む中で有効なソリューションになるのではないかと思っています」と同社取締役常務執行役員で新事業推進センター長の畑克彦氏は言う。

もう一つの注目の新製品は、伸縮性ひずみセンサの「C-STRETCH」だ。伸び縮みを測定するセンサで、柔軟な誘電体層を柔軟な電極層で挟んだ構造をしており、静電容量の変化を出力する。柔らかい素材のため、小さな力にも確実に追従するのが特徴だ。人間の体の表面に貼り、筋肉の動きをもとに心拍数や呼吸数を測定するといった医療用途のほか、測定した情報をデジタルで再現し、モーションキャプチャに活用するなどの用途を想定しているという。素材が軽く、貼り付けるエンドユーザに負担をかけないのもメリットだ。

伸縮性ひずみセンサ「C-STRETCH」
伸縮性ひずみセンサ「C-STRETCH」を体に貼って、体の動きをデジタルで再現するようなことが可能になる。

「C-STRETCH」のように形状が変わるデバイスでは、伸縮すると電極の電気抵抗に変化が生じ、それが測定を阻害する要因になりかねない。そこで同社は、電極を構成するカーボンナノチューブの分散状態を制御して電気抵抗を安定化させた。

「いいとこ取り」した接合材

開発した製品はデバイスに限らない。銀ナノ粒子接合材の「FlowMetal」もその一つ。水やアルコール、有機溶剤などの素材に銀のナノ粒子を混ぜて作った接合材で、ナノ粒子を均一に混ぜる部分で同社の分散技術が応用されている。その大きな特長の一つは、従来のはんだにない特性を持つ点だ。

はんだの融点は、一般的な鉛はんだの場合で約180℃、鉛フリーはんだの場合で約220℃。いずれも溶かして接合するには使いやすい温度だが、パワー半導体のように製品化した後も素子が高温になる場合、この温度では心許ない。しかし融点を上げれば今度は接合時に溶かしにくくなり、作業性が悪くなってしまう。

これに対し「FlowMetal」に使う銀の融点は961℃と高いが、ナノ粒子化することで比表面積を増やし、はんだと同レベルの200℃台にまで下げている。一方、接合後に固まると銀のナノ粒子は塊になり比表面積が小さくなるため、融点は元の素材と同じ961℃まで上昇し、はがれにくくなる。「接合時は溶けやすいが接合後は溶けにくい」(畑氏)。接合材で、“いいとこ取り”を実現しているのである。

銀ナノ粒子接合材「FlowMetal」
「FlowMetal」はナノ粒子化した銀を混ぜた接合材で、接合時に溶けやすく、接合後は溶けにくい特性を持つ。

「FlowMetal」のもう一つの特長は、接合時に加圧する必要がないこと。「FlowMetal」は加圧の工程が不要のため、大掛かりな加工設備を必要とせず、従来通りの工程を使うことができる。

「FlowMetal」は接合材としてだけでなく、金属インクとしても提供される。想定しているのは、電子回路を印刷技術で作成するプリンテッド・エレクトロニクスのインク用途だ。100~150℃の低温で焼結するため、耐熱性の低いプラスチック基板に回路を描くのに適しているという。また、「版を使わないインクジェットなら回路をオンデマンドで作成できるため、設計変更にも柔軟に対応できるようになります」と畑氏はそのメリットを強調する。インクジェットだけでなく転写印刷にも適用でき、しかもその際の線幅は「数ミクロンが可能」(畑氏)という。

ガラス基板の粗加工を研磨で行える

この他にも同社の分散技術から生まれた技術は多種多様だ。OCAシート(光学用透明粘着剤シート)「Free Crystal」は液晶ディスプレイの視認性を向上させるシートで、主に車載ディスプレイを想定している。カバーガラスやタッチセンサの間を埋めることで視認性を高めるシートには、厚さ75μmほどの薄いものがあり、スマホなどに使われているが、大型化に加えて曲面化も始まっている車載向けには適切なシートが存在しなかった。同社では複写機向けのウレタンエラストマー製品で培った技術をもとに、厚さ1.5mmでも高い透明度を確保したシートを開発し、製品化した。

同社が複写機向けの製品開発で培った技術からは、基板のクリーニングなどに利用可能な除塵システム「BANDO MDEC」も生まれている。静電気で塵を吸着させるシステムで、帯電極性を制御することにより吸着性を維持できるのが特長だ。

またガラス基板やサファイア基板の研磨加工用に、ダイヤモンドの砥粒を一つひとつ均一に分散させた精密研磨材「TOPX」も開発している。基板表面の研磨加工では、流体を使った加工が行われることが多いが、高い習熟度を要するうえに効率も悪い。「TOPX」ならば「簡単で効率的に加工できるようになる」(畑氏)という。

同社ではこれらの製品群を、2018年9月に開催する展示会で披露する。開発着手から5年を経て、一部製品は量産化も始まったことを機に広く公開することにした。分散技術という同社独自の技術から生まれた製品だけに、いずれの製品もほかでは見られないユニークな特性を持つ。そのポテンシャルを直接感じ取れる展示会になるだろう。

大阪と東京で開催!
イノベーションで先へ行く! 走れ! 未来へ
「BANDO TECHNO FAIR 2018」

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バンドー化学は、同社の機能部品や新技術を一堂に集めた「BANDO TECHNO FAIR 2018」を、2018年9月に大阪と東京でそれぞれ開催する。ベルトなどのコア事業に加え、分散技術をベースにしたさまざまな新しいデバイスも展示。両会場とも特別講演のプログラムも用意している。研究開発、設計、生産技術に携わる技術者としては、ぜひ足を運んでおきたいイベントだ。

<大阪会場>
2018年9月6日(木)~7日(金)10:00~17:00
グランフロント大阪 北館B2F
ナレッジキャピタル コングレコンベンションセンター
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<東京会場>
2018年9月13日(木)~14日(金)10:00~17:00
秋葉原UDX 2F
AKIBA_SQUARE
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9:30~17:30(土・日・祝日を除く)
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