FinTechサービス 成功のポイント 変革の本丸は「バックオフィス業務」にあり

金融とテクノロジーの融合により、金融の高度化を目指すFinTechの流れが加速している。既に革新的な金融サービスも数多く登場して、既存の銀行・証券会社の危機感は募る一方だ。しかし、華々しいフロントエンドのサービスばかりに目を奪われてはいけない。それを支える金融インフラがしっかりしていなければ、投資家や消費者が求める価値提供が疎かになるからだ。金融サービスを支えるミドル/バックオフィス業務の変革なくしてFinTechを推進することは難しい。そこで、本稿ではミドル/バックオフィス業務の変革に向けたアプローチについて考えてみたい。

レガシーシステムがFinTechの足かせに

株式会社ブロードリッジ・ジャパン 代表取締役社長 星野 好幸氏

金融サービスを顧客視点で捉え直し、利便性の高いサービスや提供価値の向上を図り、金融の高度化を目指すFinTech。既存金融機関だけでなく、スタートアップや非金融をも巻き込んだ一大ムーブメントになりつつある。

既にAIやビッグデータを活用した資産運用のアドバイザリーサービス、チャットボットによるコールセンターサービスなど新サービスが次々と登場。様々な口座を一括管理できる家計簿アプリ、スマートフォンを使った決済サービス「Apple Pay」や「Google Pay(旧Android Pay)」もFinTechを象徴するサービスである。仮想通貨取引の健全性を担保するため、ブロックチェーンや分散型台帳技術の活用も進んでいる。

このようにFinTechサービスは顧客とのタッチポイントをデジタル化することで革新を生み出したが、一方で金融機関の多くが潜在的な課題を抱えている。フロントエンドの変革は進んだが、金融サービスを支えるミドル/バックオフィス業務は手付かずのままというところが少なくない。

特に日本はメインフレームに代表されるレガシーシステムの利用率が高い。当然、レガシーなアプリケーションも多く使われている。レガシー環境は個別最適化されたシステムが多く、システム間の連携やデータ処理が煩雑になりがちだ。フロントエンドをデジタル化しても、ミドル/バックオフィスの業務システムがレガシーでは真のデジタル化とはいえない。

最近では2017年に成立した銀行法などの一部改正により、銀行にはオープンAPI公開の努力義務が課せられた。スタートアップや非金融系企業との連携は今後ますます加速していくだろう。ミドル/バックオフィスを支える業務システムのレガシー脱却は急務の課題である。


金融取引や資産管理のポストトレード機能を統合プラットフォーム上で提供

株式会社ブロードリッジ・ジャパン マネージング ディレクター アジア戦略・営業開発 金融ソリューションGTO ジェームス・マーズデン氏

課題解決のためには、ミドル/バックオフィスを支える業務システムのプラットフォーム化が有効だ。統合的なプラットフォームを実現することで、将来を見据えた拡張性・柔軟性を高め、スピード感のあるサービスの提供と運用が可能になるからだ。そうしたなか注目されているのが、ブロードリッジのポストトレードソリューションだ。

同社は世界70カ国の金融業界各社に金融業務を支える統合プラットフォームを提供するソリューション・プロバイダー。「50年以上にわたり金融インフラを構築・運用してきた実績を生かし、金融業務に必要なあらゆる機能をクラウドサービスとして提供しています」とブロードリッジ・ジャパンの星野 好幸氏は説明する。

自前のインフラを持たず、金融業務を支えるプラットフォームを共通化する。これは金融業界における世界的な流れだ。「煩雑なミドル/バックオフィス業務を効率化することで、競争力強化につなげたいと考える金融機関が増えているのです」とブロードリッジ社のオリバー・オットー氏は述べる。

ブロードリッジでは実績のある機能やサービスに加え、AIやブロックチェーンなど先進技術の活用も進めている。取引の約定から決済・会計、取引内容の通知に至るポストトレードを自動化する証券取引処理システム、株式や投資信託の約定照合および振替を行う決済照合システム、リスクへの的確な対応と効率化を実現する資産運用管理システム、顧客・規制当局・投資家とのコミュニケーションを電子化するマルチチャネルサービス、市場情報を分析し新たな成長機会を見出すための予測分析を可能にするアナリティクスなど、提供するサービスは実に多彩だ(図)。

「複雑な業務プロセスを自動化することで、ミスをなくし、スキル継承の課題解決に貢献します。アナリティクスの活用により、高度な判断や意思決定をサポートすることもできます」とブロードリッジ・ジャパンのジェームス・マーズデン氏は語る。

図 ブロードリッジのサービスポートフォリオ

図 ブロードリッジのサービスポートフォリオ

金融市場の取引支援や約定の処理・管理、資金管理のほか、株主や投資家向けのアセット管理やコミュニケーション機能、市場情報の分析やコンプライアンス・規制サービスなどをクラウド型で提供する。長年の知見を生かし、業務改革や規制対応の課題解決もサポートする

[画像のクリックで拡大表示]

各種の規制・制度に幅広く対応している点も強みである。MiFID2(第2次金融商品市場指令)やSFTR(証券金融取引規制)、GDPR(EU一般データ保護規則)などのグローバルな規制のほか、主要国が定める規制・制度プロセスにも対応。もちろん、日本の金融業界のルールに対応した業務プロセスもサポートしている。「ISO20022電文に対応するほか、ほふり(証券保管振替機構)の規定に沿った処理ソリューションも提供しています」(星野氏)。規制・制度の変更も即座にシステムに反映されるため、その対応工数も大幅に削減できるという。

またグローバルにサポート拠点を持っており、24時間・365日のサポート対応が可能だ。日本にもサポート拠点があり、日本語でのサポートにも対応する。クラウドサービスの提供基盤も日本国内のデータセンターを選択できる。

運用サポートだけでなく、専任のサポートチームによる業務支援も可能だ。各国の規制・制度に精通しており、その変更が業務にどう影響し、どう対応すべきかなどをきめ細かくサポートできるという。

ブロードリッジは世界中の50%以上の上場企業および投資信託に対する議決権行使を支え、1日に5兆ドル以上の債券および株式取引を処理している。株主報告処理の件数も年間20億以上にのぼる。「米国債券市場のおよそ90%の決済はブロードリッジのプラットフォームで処理されています」とマーズデン氏は語る。

こうした実績が評価され、ブロードリッジ社は2018年6月に「S&P500」の構成銘柄の1つに選ばれた。S&P500は米国大型株の動向を表す最良の単一尺度として広く認められている株価指数である。


国内証券大手のポストトレード変革に貢献

ブロードリッジ社 アジアパシフィック マーケティング統括 オリバー・オットー氏

実際、多くの金融機関がブロードリッジのポストトレードサービスを活用して企業競争力を高めている。

金融大手のJ.P.モルガンはその1社だ。経営戦略を左右する株主会議において、以前は紙の決裁書を集計して議決を採っていたが、ブロードリッジのオンライン議決権行使サービスを活用することで、このプロセスを電子化。「株主の総意による採択が即座に可能になり、組織としての意思決定が飛躍的にスピードアップしました」と話すマーズデン氏。議決権行使のプロセスが透明化され、ミスや不正の抑制にもつながっているという。

日本ではみずほ証券がグローバルなポストトレード基盤としてブロードリッジのクラウドサービスを活用。「関連団体も含めた証券・資金の移動、決済をグローバルで標準化し、高い生産性向上を実現しています」(星野氏)。そのほか、ネット証券大手のマネックス証券など多くの金融機関で採用が進んでいるという。

さらにブロードリッジでは、サービスの機能強化にも積極的に取り組んでおり、既に実装を始めているAIやブロックチェーン技術のさらなる進化を支援するため、スタートアップに投資し、プロトタイプの開発・検証を進めている。

これに加え、同社がミドル/バックオフィス業務そのものを請け負うBPOサービスの提供も開始した。業務のスリム化を図ることで、サービスやビジネスモデルの企画・開発、顧客との接点強化など企業競争力に直結する分野に、より多くの人とリソースを投入できるようになる。

FinTechは異業種の技術やアイデアを取り込み、金融/非金融の垣根を越えて加速していく。その中で競争力を高めるためには基幹業務を支える金融インフラの高度化が欠かせない。ブロードリッジはクラウド型統合プラットフォームの提供を通じ、煩雑なミドル/バックオフィス業務の共通化を促し、金融機関のFinTech戦略を強力にサポートしていく考えだ。

PDFダウンロード

『日本の証券市場における次世代テクノロジーの動向』
新たなテクノロジーとソーシングモデルの胎動

日本の証券市場における次世代テクノロジーの動向を基軸に、市場参加者の取り組みと、レガシー&エコシステムマイグレーション、イノベーションとエマージングテクノロジーの可能性を提言するホワイトペーパー。
日本の資本市場も情報インフラのモダナイゼーションへの歩みを加速している。これまでの「証券決済革命」は15年以上の時間を要した穏やかな進展であった。今日の「金融インフラ革命」は、日本の市場参加者にどのような影響を与えているのか?今回発表する「日本の証券市場における次世代テクノロジーサーベイ2018」の結果から、日本の市場における市場参加者の動向は、グローバル同様にダイナミックな展望が窺える。


ダウンロードはこちら

お問い合わせ

株式会社ブロードリッジ・ジャパン
〒107-0052 東京都港区赤坂2-5-1 S-GATE赤坂山王7階
TEL:03-5797-8300