日経 xTECH元年 特別トップインタビュー

日本シーバ

汎用プロセッサーの需要向上を実感

AIを活用した
次世代ソリューションが
先進のニーズに応える

日本シーバ 代表取締役社長

日比野 一敬

世界有数のIPサプライヤーとして、高処理・低消費電力な信号処理プラットフォームやAIプロセッサーを提供してきたシーバ。携帯電話のベースバンド処理では変わらず高いグローバルシェアを誇る一方で、日本市場においては、自動運転や画像処理、音声認識などのスマートセンシングの領域が特に好調だという。日本シーバ代表取締役社長の日比野一敬氏に展望を聞いた。

まずは2018年の事業状況をお聞かせください。

日比野 ワールドワイドではこの10年変わらず、通信の分野が大きな比重を占めています。当社は世界で30%以上のシェアを誇り、最新のiPhoneを含む多くの携帯電話に採用されるベースバンド、そして近年注目されている5Gの基地局やNB(ナローバンド)IoTに向けたIP製品の業績は伸び続けています。他方で、ワイヤレスヘッドセットやガジェット類に使われるBluetooth、Wi-Fiといったコネクティビティの分野においても前年比で年間50%増の伸び率でロイヤルティー収益が増えました。

日本市場はいかがでしたか。

日比野 日本市場においては、売上高は前年比でおよそ50%増の見込みで、過去最大に好調です。特にAIを搭載したカメラやマイクなど、ディープラーニングを活用したスマートセンシングの領域で非常に多くのお引き合いをいただきました。案件数、売上額共に拡大しており、シーバ全体における日本の売り上げの比率も大きく増えるという、大変ありがたい状況です。

エッジでのAIソリューション

スマートセンシング領域の製品についてお聞かせください。

日比野 シーバのターゲットは、クラウドのような大きなシステムではなく、エッジにおけるAIプロセッサーです。2018年には、エッジ側のバッテリーで超低消費電力な動作を実現する、ディープラーニング推論用に特化したAIプロセッサーファミリーのNeuProソリューションを発表いたしました。

 NeuProソリューションは4つの重要な要素で構成されています。1つは、ベクター・プロセッシングユニット。いわゆるベクター・プロセッサーで、従来の画像DSPコアと呼ばれるものがVPU(ビジュアルプロセッシングユニット)になっています。画像情報のリアルタイム処理で様々な付加価値を与えるCV(コンピュータービジョン)を行ったり、フィルターをかけてボイスを取ったり、色を補完したりすることができます。2つめは、AI特化アクセラレーターのNeuProエンジン。NeuProエンジンには、NN(ニューラルネットワーク)のレイヤーとして畳み込み層、全結合層、プーリング層、アクティベーション層がハードウエアで組んであります。もちろんプログラマブルですので、処理が膨大なものはエンジン側で、複雑なものをVPU側で行います。

 そして当然ここでは膨大なデータをやり取りされるため、安価で効率的な動作が求められます。そのために3つめのDMA(ダイナミックメモリーアクセス)のコントローラーが非常に大切です。例えば、カメラから効率的に画像データを取り込み多次元転送によって、バス上のデータトラフィックを少なくして短い時間で推論を行い、メモリー使用量を減らしてトータルの消費電力を減らすといった技術が詰まっています。

 ここまではすべてハードウエアの話です。4つめとして、最終的にハードウエアに画像を入れて認識をする点で、ディープラーニングネットワークにおけるソフトウエアが重要です。その点シーバは、高度な最適化機能を持ったニューラルネットワークコンパイラと、ランタイム・ソフトウエアといったソフトウエア群で構成される、畳み込みネットワークライブラリであるCDNN(CEVAディープニューラルネットワーク)という独自技術を用意しており、高い汎用性を実現しています。

例えばどのような製品に使用されているでしょうか。

日比野 シーバでは現在、MACユニット数によりNP500からNP4000という製品まで展開しています。NP500は、次世代カメラの手振れ補正やIoTといったエッジ側でのAIの処理。NP1000やNP2000は、ハイエンドのスマートフォンやミラーレスカメラ、ADAS、工業用ロボットやドローン、監視カメラといった日本のお客様で特にニーズのある幅広い領域でパフォーマンスを発揮します。NP4000になると、よりハイエンドなADASや自動運転システムにいたるまで活用可能です。

ASIC回帰の潮流に対応

今後の展望をお聞かせください。

日比野 来年は攻めの姿勢を強くしようと思います。NeuProを含めてありがたい成果は出ているのですが、今後はさらに、次世代の自動運転まで視野に入れた製品や技術の準備を進めています。従来のサイクルでは再来年以降に出してきたような製品を来年中に出してしまうといったようなロードマップで動いています。

 また、シーバの焦点である電力効率について。これまで当社ではDSPなどにおいてもアプリケーションに特化した汎用プロセッサーの提供を過去10年変わらず続けてきました。近年、また汎用プロセッサーのニーズが高まってきています。これには様々な要因が考えられますが、やはり生産技術の高度な発展や、アプリケーションの中で必要とされる処理がより複雑になってきたことが大きいです。

 例えばこれまでは DSP向け、GPU向け、CPU向けというような処理を、それぞれにプロセッサーを用意して対応できればよかったものが、現在では1つのソフトウエアだけで様々な処理が求められるようになっています。そうすると、DSP命令でありながら CPUの命令系統でも扱えるような必要が出てきており、シーバではこうしたニーズすべてに対応できる汎用アーキテクチャーを新たに開発していきます。

汎用プロセッサーのニーズの高まりによって、具体的にどのような変化が起きるのでしょうか。

日比野 結果的に、数年前から標準品であるASSPの需要が高まってたのに対して、カスタマイズされたICであるASICへ回帰する潮流が進んでいます。これが2018年の大きな流れの変化と捉えています。

 最近では7nmや5nmにいたる高度なプロセス技術が登場していますが、技術革新が進めば進むほどに当然、現行の28nmや16nm世代プロセスが安価になります。こうしてマスク代や設計コストが下がれば、ASSPを購入するよりも、ASICを作った方がコストを抑えられるといったことが起こります。

 ASICを作るハードルが下がってきているならば、よりハードウエアで差別化をするチャレンジができるはずです。そこに対する技術も、しっかりとシーバが用意してまいります。

NeuProソリューションの全体像

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