日経 xTECH元年 特別トップインタビュー

サイプレス セミコンダクタ

頭脳半導体を中心に据えた事業の拡大に成功

堅調な新体制を基盤に
半導体のビジョンへ
コミットする

サイプレス セミコンダクタ
日本法人 代表取締役社長
米国本社 バイスプレジデント

長谷川 夕也

サイプレス セミコンダクタは、2016年に新たなCEOに39歳のハッサン・エルコーリ氏が就任。以来、会社の雰囲気は大きく変わったという。日本法人の代表取締役社長を務める長谷川夕也氏も同じく現在39歳。若返りが図られた新生サイプレスの基盤は、この数年間で堅調に固まったという。今後の見通しを聞いた。

サイプレスは、高速SRAMから出発し、製品ポートフォリオを低電力マイコン「PSoC」へと転換、さらにSpansion社の事業統合以降はNAND/NOR型フラッシュメモリーも手掛けるようになり、自動車分野も強化されました。現在の注力分野と製品ポートフォリオをご紹介ください。

長谷川 グローバルでは、車載、産業、民生(白物家電など)を3本柱に、IoTを横串する構成でビジネスを展開してきました。日本市場では、ゲーム機や電子楽器など、中でもグローバル市場に対して日本が優勢である分野も注力しています。

 ゲーム機は日本市場のユニークな一面です。一般的に民生用と捉えられがちですが、一度プラットフォームを開発すると変更が少なく製品寿命が長い。中長期的に付き合える分野であるところは自動車や産業機器と似ています。

 また電子楽器には、実は大量に半導体が搭載されています。従来はスタジオごとに電子楽器をチューニングしていたのに対し、スタジオに入るだけで楽器や譜面のセッティングができるようになるなど、IoTシステムのようにネットワークを介した様々な用途が考えられます。半導体やデータの使用量としても今後増えていくことが予想される、非常に面白い分野です。

IoTと車載で大きく躍進

2018年はいかがでしたか。

長谷川 IoT分野の発展は2018年の売り上げに大きく貢献しました。2016年にBroadcom社のIoT無線通信事業や関連資産を買収したことが大きく貢献しています。例えば先のゲーム機では、IoTソフトウエア開発プラットフォームWICED(Wireless Internet Connectivity for Embedded Devices)を継承し、拡大できたことなどから、Wi-Fi、Bluetoothの領域が大きく伸びました。買収当時に見込んでいた売り上げの実に2倍近くの需要をいただいております。

 また、車載分野においては、市場のニーズと当社の製品が最もうまく合致しました。特に第1世代の車載マイコン「Traveo」シリーズは、自動車のクラスター向けに多数採用されました。これは液晶のクラスターパネルにおいて、1チップでグラフィックスとメーターを制御できるというものです。これが量産体制に入り大きく貢献しました。

全体の売り上げはいかがでしたか。

長谷川 おかげさまで、グローバル全体で最初の3四半期はすべて過去最高をレコードし、第4四半期もそれに続き、2018年の総売り上げは25億ドル前後の計上が見込まれます。

 中でも日本市場の売り上げは、グローバル全体の30%前後(デザインベース)と極めて比重が大きいです。日本法人の立ち位置は重要視されています。日本では自動車市場が売り上げの半分以上を占めています。残りが産業機器、民生、ゲーム機、Wi-FiやBluetoothなどのIoT分野です。

10年先のビジョンにコミット

サイプレス全体として若返りが図られている理由を教えてください。

長谷川 私自身まだ39歳。10年先、20年先もコミットし、当社および半導体のビジョンを共に歩むことができる年代です。車載事業、メモリー事業問わず、中長期的なビジョンを描くためには、未来にコミットできる若手と、暗黙知を継承するベテランを、適材適所でバランスよく組み合わせた組織体制が欠かせません。また、新卒採用にも力を入れており、2017年には20数名が入社しました。  2016年にハッサン・エルコーリが若きCEOとして就任して以来、この3年で売り上げは格段に伸びています。もちろんメモリー市況の後押しもありましたが、会社組織の最適化を行うことで10%近くのグロスマージンを改善し、新製品で先行者利益を得られる開発が行えています。こうした新組織体制改善が評価され、株価も上がり株主へしっかり還元できる状況になりました。    例えば組織体制では、現在メモリー事業の一部再編を行っています。NAND製品の製造、販売、次世代投資に向けて、韓国SK Hynix社のファウンドリ事業部門、SK Hynix System ICとNANDフラッシュの合弁企業(JV)を香港に設立します。2019年第1四半期には稼働予定です。以前からサイプレスのNANDフラッシュはSKからベースとなるチップの供給を受け、サイプレスブランドで出荷していましたが、今回のJV設立によって、JV主体の生産・供給を進めてまいります。

今後の見通しを教えてください。

長谷川 2017年にハッサンは「Cypress 3.0」戦略を打ち出しましたが、その中でサイプレスを3つの時期で定義しています。「Cypress 1.0」は創業時の高速メモリーというハードウエアの時代、「Cypress 2.0」はプログラマビリティのあるマイコンのPSoCをリリースしたプラットフォームの時代、そして今、「Cypress 3.0」としてハードウエアとソフトウエアを駆使したソリューションの時代です。

 当社では元々「人間に近いような製品」を取り揃えていくことを経営方針にM&Aを推進してきました。これは頭脳であるPSoCを中心に据えて、手足としてその周囲のハードウエアを固めていくことで、ひいては「どのようなアプリケーションにおいても中長期的に必要になっていくソリューション」を押さえていくという戦略です。ここ数年の事業統合により、PSoCにマイコンを加えることでより頭脳を拡充し、記憶媒体のフラッシュメモリーと不揮発性メモリー、さらに血液を送る部分であるPMIC(パワーマネジメントIC)を手に入れました。また、感覚器官としては、元々持っていた触覚としてのタッチと外部コミュニケーションのインターフェースであるType-Cに加え、Wi-Fi、Bluetoothを拡充しました。

 ソフトウエアにおいても、IoT向けのベンチャー企業の買収などを行っています。これにより、ドライバーを含めたミドルウエアからOSまでを当社が取りまとめ、リファレンスデザインのように最適化した状態で提供することで、お客様は、よりアプリケーションの開発に注力いただけます。

最後に一言メッセージをください。

長谷川 2019年以降も注力分野は車載とIoTです。ゲーム機と電子楽器も変わらず近い未来のための種を蒔いていきます。経営陣が若返りを遂げたサイプレスだからこそ、10年先もお客様に寄り添い、マーケットにコミットした成長戦略を描いていきたいと思います。

Cypress Plays to Win

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