「満足度調査は、お客様からの成績表そのもの。このうえない光栄であるとともに、これまで我々が地道に続けてきた活動がようやく、自治体様をはじめとしたお客様に浸透しつつあることを実感しています」と語るのはDell EMCの上原 宏氏だ。
今回の調査で、同社は「性能・機能」「運用性」「コスト」など多くの項目で高得点を獲得。価格性能比の高さでは以前から定評があった同社製品だが、ほかの項目の評価が上昇したのは、2017年7月に市場投入された、インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載可能な第14世代の「Dell EMC PowerEdge」の存在が大きな貢献を果たしているといえるだろう。
新しいPowerEdgeは、大きく3つの設計思想に基づいてつくられている。1つ目は「拡張性」だ。「最近ではIoTやAIなどを活用した『スマート自治体』に向けた取り組みが進みつつあります。このような中で安心して使い続けていただくには、業界標準の高速NVMeフラッシュの大容量搭載に対応するなど、高い拡張性が不可欠です」と上原氏は説明する。
2つ目は「運用管理負担の軽減」だ。次世代コンソールでハードウエア管理の簡素化・自動化を実現した「OpenManage Enterprise」や、オープンで自動化されたシステム運用が可能な次世代の管理APIであるRedfishに対応したリモート管理を実現する「iDRAC」、また、サーバー設定時間を最大99%削減できる「Zero Touch自動コンフィグレーション」などを実装している。さらに、ハードウエアに問題が発生した場合には、自動的にサポートチケットが発行される「SupportAssist」という機能を基盤にした仕組みも提供。これらによってインテリジェントな自動化を実現しているわけだ。
そして3つ目がセキュリティの強化だ。「従来のセキュリティ機能はファイアウオールの外側を意識したものが中心でしたが、PowerEdgeではサーバーそのものにセキュリティ機能が組み込まれています。その背景には、社内で悪意を持った人がBIOSを書き換えてしまった、オペレーションミスでサーバー設定が変わってしまった、といったお客様からの声がありました」と上原氏は語る。そのため、例えばBIOSであれば指定された人しか書き換えられない、署名されたものしかアップロードできない、といった対応を行っているという。
このような設計思想は自治体の課題にも有効だ。「拡張性はもちろんですが、ほかの2つの設計思想は自治体様にとって特に重要です。多くの自治体様がIT人材の確保にお悩みの中、ネットワーク分離に代表されるようなセキュアなシステムの確立を求めているからです」と同社の菅原伸一氏は語る。
製品の強化に加え、地域ごとのパートナーとの連携を強化していることも、自治体からの高い評価に結びついているようだ。
「当社はもともと直販モデルを中心にビジネスを展開してきましたが、近年はパートナー販売を推進するため、様々な施策を展開しています」と上原氏。パートナーのエンジニアに対するスキルトランスファーや、全国を回ってDell EMCの幅広い製品ポートフォリオを紹介する「パートナーフォーラム」の開催、各種キャンペーンなどを推進しているのだという。「パートナーフォーラムは、全国の主要都市を回り、パートナーの皆様と対話させていただく機会を設けました。また、キャンペーンに関しても、『ぴったり選ぶ世代交代サーバーキャンペーン』や『攻めの IT応援キャンペーン』、Windows Server 2008/R2サポート終了に伴う『OSの移行は計画的に!キャンペーン』などを展開しています」(上原氏)
このような取り組みは、外資系ベンダーにとって敷居の高かった公共分野への参入において、重要な役割を果たしているという。「パートナー様のご協力を得るためには、きめ細かい情報発信や情報共有、課題の吸い上げに全力で取り組んでいくことが大切です。たとえサーバー1台の導入でも、どんな課題や困り事があるのか、ヒアリングしながら積極的にサポートしています」(菅原氏)。
デルとEMCで分かれていたサポートメニューを一元化し「Dell EMC ProSupport スイート」として体系化したことも、パートナーにとってDell EMCを提案しやすくなった要因の1つ。また、ハードウエア保守のために国内280拠点を展開しており、全国どこへでも駆けつけられる体制も整備。サポートのコールセンターは、昨今オフショアするベンダーが多い中、同社は徹底して国内対応・社員対応にこだわりを持っている。サポートにおける品質改善の取り組みを理解してもらうため、宮崎にあるカスタマーセンターの見学ツアーも実施しているという。「自治体様へのサーバー販売は、この1年間で18%以上成長しています。製品はもちろんのこと、サポートサービスの取り組みもこの成長を支える要因だと考えています」と上原氏は語る。
その一方で、製品やサポートの内容について、まだ十分に訴求しきれていないという課題もある。これを解決するため、最近では「Did You Know ?~ご存知でしたか?~」というキャンペーンを行い、スペックシートだけでは表現しきれない製品やサポートの特長をビデオで訴求するという取り組みも始めている。
「例えば、最近はAI活用を検討する自治体様が増えていますが、AIのミドルウエアはUbuntuというOSで動くものが多いため、UbuntuのOSサポートが必須条件になります。サーバーで明確なUbuntuサポートを打ち出しているベンダーは少ないのですが、当社はWindows ServerやRed Hatと同レベルでUbuntuをサポートしています。また、近年はITインフラをシンプル化するためにHCIを導入するケースが多くなっていますが、PowerEdgeはHCI向けサーバーでトップクラスのシェアを持っており、VMwareとの親和性もDell Technologiesとして保証しています。このようなことをビデオで紹介することで『Dell EMC製品の優位性を改めて理解しました』と言われることも増えています」(上原氏)
同社では今後も継続的に評価を高め続けていくために、様々な施策を実施していく予定だ。その一環としてエコシステムの確立にも注力。顧客の課題解決に向けたソリューションを拡充するとともに、パートナーとの連携をさらに強化していく方針だ。