デジタルで切り開くビジネスの未来

ここまで来た! 農業×IT(後編) 農作業の効率化だけでは語れない――
ドローンが農業にもたらす本当の価値とは?

TOP

ここまで来た! 農業×IT(後編) 農作業の効率化だけでは語れない――ドローンが農業にもたらす本当の価値とは?

Date : 2018.11.02

Writer : MOTOKI HONMA

前編ではドローンを活用して、農薬・肥料の散布を行い、稲の育成診断などを行うナイルワークスの農業用ドローンを活用したソリューションを紹介した。露地栽培では実現が困難なスマート農業を実現するこの技術、いよいよ今年6月から試験販売が開始されるが、これまで実際の農場で実証実験が行われてきたようだ。そこで今回は実験に参加した農家にドローンの印象について話を聞いた。

自動飛行のドローンは人間が操作するものとはまったく別物

大越農場 代表
大越一雄さん

上野駅から普通列車で約1時間半。自治医大駅は栃木県下野市に位置するJR東北本線(宇都宮線)の駅である。駅前は、ロータリーが整備され、周辺には新しい住宅も見られるなど、新興住宅地の雰囲気が漂うが、駅を降り、西へ10分ほど歩けば、のどかな田園風景が眼前に現れる。

今回、取材に伺った大越農場の大越一雄さんは、この土地で比較的大きな規模の農業を行う農家だ。作付面積は米と麦合わせて約80ha(東京ドーム約17個分)で、奥さんと息子さん夫婦の4人を中心に、安心で美味しい米作りに勤しんでいる。

そんな大越農場では、一昨年の夏から本稿の前編で紹介したナイルワークスのドローンの実証実験に協力。農場の一部でドローンによる農薬散布や稲の育成状況のモニタリングが実際に行われたという。

はじめて同社のドローンを目にした時のことを、大越さんは次のように振り返る。

「ナイルワークスさんのドローンを初めて見たのは、『全国稲作経営者会議』(大越さんが前会長を務めた組織で、現在は理事を務めている)で知り合った宇都宮大学の教授の紹介で、大学の付属農場で行われた実演会の場でした。それ以前に人が操作する農薬散布用のドローンを見る機会があったのですが、そこではドローンのエキスパートの方が操作していました。それは見事な腕前でしたけど、『こんな芸当は自分にはできないし、長時間操作するのが難しいだろう』という印象でした。でも、こちらのドローンは自動で、まるで田んぼの上に見えないレールが張り巡らされていて、その上を走っているかのように正確かつ計画的に飛んでいる――。人間が操作することのいい加減さというか、限界を思い知らされましたね」

田んぼの上をドローンが飛んでいる様子

そして「このドローンは今後農業を変えるだろう」と直観し、実証実験に参加。昨年は約16haの田んぼで実験が行われた。

「例えば、従来のようなラジコンヘリなどによる農薬散布では、場所によって散布量の多寡が出たり、折り返しの際などに重複して散布してしまったり、どうしても無駄が出てしまいます。でもドローンなら正確無比に必要なだけ均一に散布することができる。このことは農薬に関するコストを削減できるだけでなく、農薬の重複散布がなくなることを考えると、食の安全性においても大きな意味を持つと考えられます」

実験を目の当たりにして、まずドローンの無駄がなく、効率的な作業に驚かされたという。

また、大越農場では現在、噴霧器を背負って農薬を散布する作業を行うというが、この作業は夏の炎天下ではものすごい重労働になる。これをドローンが代わりに行ってくれるのなら「本当に助かりますね」と大越さん。

さらに穂先から30cmのところを飛行して、農薬を散布するため、飛散がほとんどないことも実感。「ラジコンヘリなどで農薬散布をすると散布場所から結構離れていても匂いがするものですが、ドローンだと近くにいてもほとんど匂いはしませんでした」ということだ。

NEXT PAGE

“かっこよく稼げて感動できる”農業を実現するために必要なこと

1 2

あわせて読みたい

Interview

2018.10.26

ここまで来た! 農業×IT(前編)
農作業の効率化だけでは語れない――
ドローンが農業にもたらす本当の価値とは?

Writer : MOTOKI HONMA

最新記事

九州ベンチャー企業のPC活用術(後編)農業ベンチャーが取り組んだ働き方改革の極意とは?

2019.01.21

九州ベンチャー企業のPC活用術(前編) モバイルPC×クラウドサービスで“無駄な移動時間”を減らす

2019.01.21

“よくない”を削るのではなく“いい”を増やしていく 「いいじかん設計」でより良い働き方の実現を目指す(後編)

2018.12.21

テクノロジー×イノベーション 不動産業界の常識を覆す新しい働き方(後編)

2018.12.21

少数精鋭・生産性の高さが鍵 業績を上げ続ける上場企業のヒミツ(後編)

2018.12.14

オススメ記事

手間いらずで低コスト、“中小企業に
とって最適なリモートアクセス”とは

日経 xTECH Active 
Date : 2018.09.28

生産性向上と人材確保へ、
PCレンタル活用で始める働き方改革

日経 xTECH Active 
Date : 2018.09.28

半年に一度大型更新のWindows 10、
プロの知恵を借りて課題を解決せよ

日経 xTECH Active 
Date : 2018.09.28

進まぬWindows 10移行の処方箋
Windows 10時代にはOS、
PCデバイス、人が三位一体で進化する

日経 xTECH Active 
Date : 2018.10.12

アーカイブ

無駄の多い会議をスマートにする
「Intel Unite® ソリューション」

会議室のディスプレイにPC画面を投影するために設定を変更したり接続ケーブルを差し替えたりする作業に時間を無駄にしていませんか?

この問題を解決する手段として「Intel Unite®ソリューション」が注目されています。会議室のディスプレイに表示される6桁のPIN番号を、専用アプリをダウンロードしたデバイスに入力するだけで、最大で4台のデバイスを表示できるようにします。

ワイヤレスだから、表示デバイスの切り替えもワンタッチ。同時に複数画面を表示させたり、画面にマークやコメントを記入したりも可能になり、資料共有や比較を驚くほど簡単にします。あなたの会議をIntel Unite®ソリューションでより生産的なものにしませんか?

スマートな会議室よりスマートなコラボレーション

Intel Unite® ソリューション

スマートな会議室よりスマートなコラボレーション

SSD並みのHHDで生産性と効率アップを実現する
インテル® Optane メモリー

インテル® Optane メモリーは、インテル® 3D XPoint メモリーメディアと先進的なシステム・メモリー・コントローラー、インターフェース・ハードウェア、ソフトウェアIPを独自に組み合わせた「インテル® Optane テクノロジー」を搭載する、革新的な高速キャッシュメモリーです。PCデバイス固有の処理パターンを学習し記憶することで、生産性と効率を飛躍的に向上させます。

インテル® Optane メモリーは、高スループット、低レイテンシー、優れたQoS機能、高耐久性を実現し、さまざまな製品でシステムパフォーマンスの可能性を引き出します。特に新たなデータ・ドライブ・アクセラレーション機能を利用することで、高い応答性能を実現できます。

また、データセンターの要件に合わせて設計された「インテル® Optane DC パーシステント・メモリー」も市場に展開されています。

高速化したコンピューティングを体験

インテル® Optane DC SSD

高速化したコンピューティングを体験

ビジネスの高いパフォーマンスを実現する
インテル® vPro テクノロジー

インテル® vPro テクノロジーは、高い生産性を実現するCPUに、セキュリティー機能を内蔵し、リモートでの管理機能を搭載したプラットフォームです。インテル® vPro テクノロジーの一つであるインテル® AMT機能では、電源制御からリモートKVM、IDEリダイレクションなど多様な機能を提供し、社内だけでなくリモートにあるPCデバイスの運用管理の効率化、容易化が可能です。例えば、ネットワークに接続されているPCデバイスの電源が入っていなくても、PCデバイスの状態を外部から把握、修復、保護支援ができます。

さらにインテル® Authenticate ソリューションでは、顔認証対応の強力な多要素ID保護を提供し、煩雑なパスワード再設定が不要で素早いログインを可能にします。認証情報とITポリシーを強化し、OSよりも深い階層でIDを保護します。これら次世代の企業向けPCデバイスに最適化された多様な機能によりビジネス変革を実現します。

インテル® vPro プラットフォーム 次世代に備える
インテル® vPro プラットフォーム 次世代に備える