日経 xTECH Special

地域の公共交通機関として創立87年の伝統を守りながら、新しい時代に合わせて脱皮を目指している芸陽バス。同社がIT化や働き方改革の推進にどのように取り組もうとしているのか、安井千明社長に伺った。

トップダウンではなく
社員の要望に柔軟に対応

芸陽バスは、1931年に広島県で設立された老舗のバス会社だ。県内の路線バスをはじめ、貸切バス、旅行、不動産、保険代理業など、展開する事業は幅広い。

芸陽バス
代表取締役 社長
安井 千明

多様な事業展開があるとはいっても、その中心はやはりバス事業。2017年6月に同社の代表取締役に就任した安井千明社長は、創業以来、地元の交通を支えてきた長年の実績が芸陽バスの最大の強みだと語る。

「地元の皆さまに長く信頼をいただいているのは、地に足をつけた堅実な経営で、お客様の安心安全や利便性を図ってきたからこそ。私もこうした伝統はしっかりと受け継いでいこうと思っています」(安井社長)

守っていくべき伝統がある一方、変えていかなければならないと感じている点もある。それは、公共交通を担うバス会社ならではの悩みだ。

「バス会社ではダイヤが優先なので、社員の勤務時間を融通しきれない面がありますが、国が推進する働き方改革に照らせば、やはり改善していく必要があります。また、バス業界は慢性的な人手不足ですが、今後は社員の多様化も含め、多様な働き方を受け入れることが人材確保にも効果的だと思います」(安井社長)

さらに、もともとアナログの世界だったバス業界では、デジタルシフトがなかなか進まないという課題もある。ただ、この点については、糸口はあると安井社長は考えている。

「ダイヤ編成や運行管理では今やITが欠かせなくなっていますし、運転手のアルコール検査と勤怠管理を連携させたり、運転手の遠隔点呼でスカイプを活用したり、ICカードシステムを始め、バス車内もハイテク機器であふれています。日々の業務ではパソコンを活用する場も増え、デジタルシフトの社内的な機運は高まっています。働き方改革にせよデジタルシフトにせよ、トップダウンでは画一的・押しつけ的になってしまいます。社員のニーズは千差万別なので、これに対応するような形で進めていければと考えています。そのために社員のニーズを的確につかめる風通しの良い社内風土づくりを常に意識しています」(安井社長)

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