日経 xTECH Special

日本経済の屋台骨を支える中小企業のビジネスは今、変化を求められている。キーワードとなるのは、「デジタルシフト」。テクノロジーの活用がプロセスを効率化し、さらに新しいビジネスを創出し、そのプロセスも効率化するのだ。中小企業がデジタルシフトを進める必要性を、日経BP総研のフェロー、桔梗原富夫が語った。

遅れをとった今こそ
中小企業は競争力を示すべき

中小企業のIT活用は、積年のテーマだ。桔梗原が「日経IT21」を創刊した2001年は、インターネットのブロードバンド接続が普及し始め、IT革命が起こったタイミングであり、「中小企業もITで強くならなくてはいけないと盛り上がっていました」と、当時を振り返る。

「しかし、インターネットをどう活用するかが問われた当時と現在では、IT環境がまったく違います。IoT、AI、クラウドコンピューティング、スマートフォン、SNS。インターネットがもはや当たり前となった今日においては、それらを使っていかにビジネスを成長させるかが重要になっているのです」

中小企業におけるデジタルシフトの必要性を端的に物語るのが、日本の労働生産性の低さだ。日本のGDP(国内総生産)は世界3位と高い水準にある。しかし、労働者一人当たり、あるいは一時間あたりの労働効率を数値化した「労働生産性」はOECD(経済協力開発機構)加盟国中21位、先進7カ国の中では最下位※1。これには様々な要因が考えられるが、非効率的な長時間労働はもとより、定評のある日本の高品質なサービスも、生産性という観点からすればマイナスに影響してしまう。

こうしたマイナスこそデジタルシフトで補うべきだが、日本企業のIT活用の遅れは年々深刻化するばかりである。1994年から2016年にかけての日米のICTの年間投資額の数値を比較すると、1994年時点では米国は日本の1.4倍であったのに対して、2016年には4.0倍にまで拡大している※2。失われた20年と言われる年月だ。

他方で、国内における大企業と中小企業の間でもその差は広がっている。社内LANや複合機については企業規模に関わらず導入が進んでいる一方で、スケジュール管理や電子ワークフロー、イントラネットの導入率は、企業規模に比例して高くなる。従業員数が少なくなるほど、つまり企業規模が小さくなるほどデジタルシフトが遅れているのだ※3。

「地方企業はさらに3年から5年ほど遅れていると言われています。しかし逆に考えれば、デジタルシフトをはやく始めることができれば、それだけ競争力を示せるということです。近年のクラウドの潮流は、地域差を埋めるという点でも非常に有効だと思いますね」

活用しているツール 情報共有ツールの活用状況

  • ※1出典:公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2017年版」
  • ※2出典:総務省「平成30年版 情報通信白書」
  • ※3出典:東京商工会議所「生産性向上・ICT活用状況に関するアンケート調査2017年」
  • 図版出典:東京商工会議所「生産性向上・ICT活用状況に関するアンケート調査2017年」

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