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社会全体のデジタルシフトが加速していくなか、中小企業としてもその流れにうまく乗っていくことが大切だ。だが、中小企業がデジタルシフトに取り組む道のりは平坦ではない。障壁となる理由は何か、そして中小企業が実践すべきデジタルシフトの方向性とは――中堅・中小企業向けのリサーチやコンサルティングで業界を牽引するIT市場専門調査会社ノークリサーチのシニアアナリスト、岩上由高氏に話を聞いた。

中小企業の経営課題こそ
デジタルシフトが欠かせない

IoTやAIの活用をはじめとするデジタルシフト、デジタルトランスフォーメーション(DX)の動きが活性化している。しかし、その事例の多くは大企業によるものであり、そうした大企業の事例をみただけでは「自分たちにはまだ関係のないこと」「直面する経営課題で手が回らない」と考えてしまいがちだ。まずは中小企業を取り巻くビジネス環境を俯瞰してみることが大切と岩上氏は指摘する。

「近年、中小企業の経営では、働き方改革に伴う長時間労働の是正や、2019年10月に予定されている消費税率改正と軽減税率導入、改正労働契約法や改正労働者派遣法による派遣労働者の正規雇用といったように、雇用に伴う負担が増える事象が続いています。そのため、先進的なITを駆使したDXにまで新規投資することは容易ではありません」

では、様々な経営課題に直面している中小企業でも実践できるDXとは何だろうか? 少ない時間で多くの成果を上げることが求められる今、大企業が取り組むようなDXとは異なる、中小企業でも無理なく実践できる取り組みを検討していく必要がある。

大企業では「紙面に書かれた保険などの申し込み内容をシステムに入力する作業をRPA(Robotic Process Automation)と呼ばれる自動処理の技術で代替したり、宅配サービスにおける配達時刻の通知・調整を、AIチャットボットと呼ばれるコンピュータがヒトと対話できる技術を用いて自動化したりといった取り組みが進んでいます。いずれもヒトが担っていた作業をシステムによって自動化する形のDXと言えます。ですが、中小企業が大企業と同じ取り組みをすれば良いか?というと必ずしもそうではありません。」

実際にDXによる自動化への取り組みで陥りやすい、留意すべきポイントがあるという。

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