イスラエル スタートアップ × モビリティ
革新的ソリューションでクルマ社会はこう変わる

8月1日(水)東京・浜松町で、AZAPA株式会社が主催となり、
イスラエルのイノベーションセンターDrive TLVの協力のもと、 
「イスラエル モビリティスタートアップセミナー」が開催された。
イスラエルのスタートアップはその技術力の高さから世界で注目を集めている企業だけに会場は満席。本レポートでは、セミナーで来日したautofleet社とINNOVIZ TECHNOLOGIES社にクローズアップし、
各社ソリューションの紹介とともに、セミナーの様子をお伝えする。

ライドシェアサービスとレンタカー会社をマッチングして
車両を有効活用するVaaSを提供


ライドシェアサービスと
レンタカー会社をマッチングして
車両を有効活用するVaaSを提供

欧米を中心に普及が進むライドシェアサービス。2030年までには、自動運転によるライドシェアサービス市場が2,850億ドルに拡大すると予想されており、車両管理サービスがさらに重要になると見られている。autofleetは自動運転時代を見据えた車両管理サービスのインフラとして、ユーザーとドライバーだけでなく、車両も含めてマッチングさせるVaaS(Vehicle as a Service)を提供する。

ライドシェアサービスとレンタカー会社をマッチング

autofleetの創業者でCEOを務めるKobi Eisenberg氏は、ワールドワイドでライドシェアサービスを展開するGettにいた。そこで感じていたのが、サービス提供者が十分に需要に応えるにはまだ課題があるということだ。例えば、ユーザーがライドシェアサービスを利用しようとスマートフォンからアプリを使ってオーダーしても、近くに対応できる車両がいなければ取引は成立しない。こうした状況を「ユーザーからのオーダーの30%くらいは、未成立になっていました」と語る。

autofleet CEOのKobi Eisenberg氏

一方でEisenberg氏はレンタカーサービスについても課題があるという。稼働していないレンタカーが意外に多く、「在庫しているレンタカーのうち、20%が使用されていない状況です」と指摘する。

そこでEisenberg氏は、ライドシェアサービスとレンタカー会社をマッチングさせ、レンタカー会社が所有する車両をドライバーと合わせてライドシェアサービスに供給するサービスインフラを構築した。autofleetのビジネスモデルでは、同社はVaaSをサービスインフラとしてレンタカー会社に提供する。レンタカー会社はライドシェアサービスの提供者と直接配車契約を結び、VaaSのサービスを運用する。ユーザーの窓口となるライドシェアサービスのアプリは、VaaSのAPIによってどのサービス提供者のものともリンクできる。

「ユーザーはこれまでと同じように、Uberなどのアプリを使ってライドシェアリングをオーダーすればいいのです。すると、VaaSがレンタカー会社のリソースから、その時点で対応可能な車両とドライバーを選び出して配車してくれます」(Eisenberg氏)

(図)autofleetが提供するVaaSのサービスフロー
VaaSは常にレンタカー会社が所有する車両の情報を把握しておき、ユーザーがライドシェアアプリを使って配車をオーダーすると、その時点で適切な条件の車両を選び出してマッチングする

機械学習を使ってさまざまな条件で車両を配車

基本的にVaaSの配車アルゴリズムは、ユーザーに一番近い場所にある車両を選び出すが、それ以外にも、できるだけ無駄なガソリンを消費しない効率的な配車パターンも考える。例えば、オーダーがあったユーザーから3マイル離れた場所と5マイル離れた場所にそれぞれ車両があったとする。その際、通常ならばよりユーザーに近い場所にある車両が配車される。ところが、5マイル離れた場所にある車両が給油を必要としており、ユーザーの目的地の近くにガソリンスタンドがある場合は、距離が遠くてもその車両を配車した方が、ユーザーを降ろした後にすぐに給油ができる。「VaaSはサービスの運用コストも考慮し、できるだけ空車の状態でガソリンを消費しない配車を優先します」(Eisenberg氏)。

また、VaaSの配車アルゴリズムは機械学習によってユーザーの需要も予測できる。季節や曜日などの影響だけでなく、天候やイベントの開催などによって発生する突発的な影響も考慮し、数時間後のどこにどのくらいの配車の需要があるのかを予測する。ある場所からのオーダーが集中しそうであれば、その近辺に車が集まっていくような配車を考え、全体的に需要が少なそうな日は稼働する車両を無駄に増やさないなどの制御を行う。

ドライバーはレンタカー会社が採用して管理する。通常のライドシェアサービスでは、ドライバーにはユーザーを乗せた距離に応じて報酬が支払われるが、このサービスでは、ドライバーにはユーザーを運んだ時間に応じて報酬が支払われる。「できるだけ複数の車を稼働させたいので、このような形態になっています。ドライバーの勤務時間を8時間にし、3交代制にすれば24時間365日サービスが提供できるのです」(Eisenberg氏)。

将来、インターネットに接続されたコネクテッドカーが普及すれば、車両に関するさまざまなデータをコントロールセンターに送信する機能も付加される。そうすれば、現在地やガソリンの残量を自動的に取得して、次の給油のタイミングをドライバーに知らせることなどが可能になる。「ドアの開け閉めやシートベルトの着脱に関する情報まで収集してコントロールセンターに送信すれば、実際にユーザーがどこからどこまで乗ったかもリアルタイムに把握できます」(Eisenberg氏)。

(図)VaaSのサービス構成
autofleetが提供するVaaSは効率的な運用のためのライドエンジン、車両の動きをリアルタイムに監視できるコントロールセンターなど4つの機能で構成される

自動運転車の普及を見越したVaaSの将来像と日本における展開

autofleetはイスラエルのモビリティイノベーションセンターであるDRIVEが提供する、アクセラレータプログラムのメンバーである。2018年3月に200万ドルのシードラウンドを終え、2018年中にアメリカとヨーロッパにおける一部の都市でVaaSをサービスインする予定だ。

すでに基本的なプラットフォームは完成しているが、サービスインまでに予測機能についてもう少し手を加える予定だという。「需要に応じて、乗車運賃をダイナミックに変化させることを考えています。それらの制御も、すべて機械学習で行っています」(Eisenberg氏)。

ゴールドマン・サックスは2017年のレポートで、2030年までに自動運転によるライドシェアサービス市場が2,850億ドルに拡大すると予想している。そのうち2,200億ドルは、ライドシェアのサービス提供者ではなく、車両管理会社の収益であるとも予想している。VaaSはドライバーが自動運転に変わっても対応できる。Eisenberg氏はVaaSを、来るべき自動運転時代に向けた必須のサービスインフラとして育てていきたいと考えている。「現時点でも、レンタカー会社がKPIを設定する上で、どのくらいの車両が稼働しているのかをリアルタイムに把握できる仕組みなども搭載しています」(Eisenberg氏)。

日本における展開についてEisenberg氏は、「日本のマーケットは大変興味深く感じています。日本では大手のタクシー会社が市場を独占しているようなところもなく、中小のタクシー会社が複数で切磋琢磨しています。将来はライドシェアのサービスも、複数立ち上がっていくのではないでしょうか。そういった企業の配車を、まとめて集約できる仕組みを提供したいと思っています」と語った。

セミナーの様子。日本ではまだ実現していない新しいビジネスモデルに多くの来場者が聞き入っていた

日本でもVaaSが盛り上がるタイミングだけあり、満員御礼となったセミナーでも好評を博したautofleetのプラットフォーム。数年後には日本企業とのコラボレーションが実現する可能性も高いと言えるだろう。

日本進出も含め、グローバル展開に意欲を燃やす



autofleet ltd.
hey@autofleet.io
https://www.autofleet.io/

AZAPA株式会社
自動車のエンジン制御に関する独自技術をベースに、未来の自動車づくりにおける技術支援やアイデア提供を行う。自動車メーカーとサプライヤーの間に入り、橋渡しを行うことで、新しい価値を創り出す試みは、様々な業種を巻き込み幅広い領域でのイノベーション創出に貢献している。
http://www.azapa.co.jp/
Drive TLV
イスラエルでスマートモビリティ分野に特化したアクセラレーターとして、共用ワークスペースの提供、集中的な育成プログラム(ファストレーン)の実施、プロトタイピング作成の具体的支援を通じて起業家の持つアイデアや製品の適用を模索する為の場を提供している。
https://www.drivetlv.com/