モダナイゼーションフォーラム2018レビュー|マイクロフォーカスは基幹システムのモダナイゼーションを支援しアプリケーション資産のビジネス価値を高め続ける
株式会社シーイーシー システムインテグレーションBG 金融システム事業部 第二サービス部 グループマネジャー 東 克俊 氏

マイクロフォーカス
アジアパシフィック&ジャパン
プレジデント
Stephen McNulty

2018年10月4日、マイクロフォーカスは、東京ミッドタウン六本木で「モダナイゼーションフォーラム2018 -モダナイゼーション最新技術動向と事例-」を開催した。

 

HPEソフトウェア事業部門統合によって、世界でも有数のIT企業に成長したマイクロフォーカス。開会挨拶に登場した アジアパシフィック&ジャパン プレジデント Stephen McNulty氏は、“提供するソフトウェアの幅が一気に広がったが、モダナイゼーションビジネスは中核であり続ける。本日のセッションを基幹系システムの進化に役立ててほしい”と語った。

Keynote:

Micro Focus社のモダナイゼーションビジネスと戦略

アプリケーションとインフラストラクチャの
モダナイゼーションをマイクロフォーカスとともに

モダナイゼーションによりアプリケーションの価値を拡大

マイクロフォーカス CTO(最高技術責任者) Stuart McGill 氏

マイクロフォーカス
CTO(最高技術責任者)
Stuart McGill

基調講演に立ったのは、英マイクロフォーカス CTO Stuart McGill氏である。同氏は“COBOLは今もアプリケーションランドスケープの中核にある”と語る。全世界1,206社が回答したあるグローバルサーベイによると、85%のCOBOLアプリケーションは戦略的役割を果たしており、50%のCOBOLアプリケーションは10年以上のライフスパンが予定されている。さらに、5年前にはJavaへの移行も散見されたが、今では逆にCOBOLへ回帰する流れが生じている。

 

「ビジネスをサポートするためには、カスタマイゼーションの方が重要だからです。別の言語に置き換えて新規開発するより、今あるCOBOLアプリケーションを進化させる方が理にかなっていると顧客は気づきました。これは当社だけではなく、中立的なアナリスト機関も“レガシー・アプリケーションは、しばしば問題とみなされ丸ごと入れ替えの対象とされるが、これは資産として管理し、最適な価値を提供するために継続的なビジネス主導のモダナイゼーションを実行する必要がある”と明言しています」

最新版Visual COBOLでDockerとKubernetesをサポート

マイクロフォーカスの製品ポートフォリオは、既存アプリケーションの解析・開発・テスト・リホストをサポートする一貫したフレームワークを有している。中でも、開発プロセスを担うVisual COBOLはCOBOL開発のベストチョイスだと同氏は胸を張った。最新版Visual COBOL 4.0ではDockerとKubernetesをサポートする。アプリケーションのコンテナ化を実現、これによって可能になるのはデリバリー速度の向上だ。

 

同社の先進顧客の中には既にコンテナ化を進めている企業もある。米国の大手システムインテグレーターFIS社が手がけた金融機関事例では、メインフレームからUNIXを経てLinuxへプラットフォームを移行、Visual COBOLでマイクロサービスを開発して、今年からはDockerを取り入れ、プライベートクラウド・パブリッククラウドへの展開を実現している。「マイクロフォーカスは、アプリケーションとインフラストラクチャの戦略的なモダナイゼーションを支援し続けます。お客様がこれまでの投資を無駄にすることなく最新技術を活用できるよう、古いものと新しいものの橋渡しをすることが私たちのミッションです」とMcGill氏は語った。

 

図1

 

Technical Session:

最新版モダナイゼーション支援製品の紹介

Dockerコンテナ対応ほか、
柔軟な開発・運用のための新機能を追加

3つの領域のモダナイゼーション戦略

マイクロフォーカス 技術部 マネジャー 山城 裕一 氏

マイクロフォーカス
技術部 マネジャー
山城 裕一

マイクロフォーカスは具体的にどうモダナイゼーションを支援するのか。その戦略を語ったのはマイクロフォーカス 技術部 マネジャー 山城裕一氏だ。Micro Focus 製品において、「アプリケーション」「プロセス」「インフラストラクチャ」の3つの領域のモダナイゼーション戦略があるという。

 

まずアプリケーション領域では、アプリケーション提供形態の拡張、アプリケーション資産の再利用と拡張も行い、.NETとJavaフレームワークとの統合も実現する。Micro Focus製品(Visual COBOL / Enterprise Developer)では、EclipseおよびVisual Studio上で実現するCOBOL開発支援機能の提供や、JCAサポート、デバッグ機能など、大規模なマイグレーションプロジェクトの迅速な開発支援が大きなポイントだ。

 

次にプロセス領域では、エンタープライズDevOpsへの適応が目玉で、CIツールとの連携を可能にした。同社はまた、COBOL専用のカバレッジ分析ツールや静的解析ツール、COBOL単体のテストフレームワーク MFUnitなども提供する。

Micro Focusモダナイゼーション支援製品の新機能

続いてインフラストラクチャ領域では、認証を通じたアクセスおよびデータ保護を実現、高いセキュリティを確保するとともに、Dockerコンテナ対応により、ハイブリッドITモデルでの柔軟な開発・運用のための機能を追加している。コンテナを利用したスケールアウトも、Kubernetesベースでアプリケーション・オーケストレーションを実現するRed Hat OpenShift上でMicro Focus製品を動かすことで可能になり、有力な選択肢の一つと山城氏は語る。

 

日本市場向けの支援も手厚く行っており、日本語ロケールのサポートだけでなく、日本固有の拡張機能や国内メインフレームベンダー拡張機能の互換機能提供など、同社は日本企業のアプリケーション・モダナイゼーションを後押しする体制を整えている。

 

「アプリケーションのモダナイゼーションには、プロセス、インフラの対応も視野に入れた製品の採用が重要です。そうしておけば、たとえ今すぐ実施する予定はなくても、何か拡張要求が寄せられたときに迅速に対応できます」(山城氏)

 

図2
Special Session:

コンテナ化で変わる既存COBOLシステムのこれから

ビジネス変化へ迅速に対応するなら
COBOLシステムのコンテナ化

コンテナ化はアプリケーションの自由な移動を実現する

レッドハット株式会社 テクニカルセールス本部 ソリューションアーキテクト 北山 晋吾 氏

レッドハット株式会社
テクニカルセールス本部
ソリューションアーキテクト
北山 晋吾

今回のフォーラムでは、コンテナ化、コンテナ対応という言葉が繰り返し登場したが、その詳細とメリットを説明したのが、レッドハット テクニカルセールス本部 ソリューションアーキテクト 北山晋吾氏だった。

 

コンテナ化とは、アプリケーションと開発環境製品や実行環境製品を1つのパッケージとして同一ファイルの中に格納することだ。Micro Focus Visual COBOL 4.0Jは、このファイルとしてDockerを使用して実現する。一瞬、これは仮想化技術ではないかと思うが、仮想化とコンテナ化は異なるものと北山氏は語る。

 

「コンテナはサーバー仮想化と違ってOSを起動する必要はなくプロセスの起動だけで済むためオーバーヘッドが少ないのが特長です。また、Virtual Machineは提供ベンダーごとにフォーマットが決まっているので、移行するにはコンバーターが必要になりますが、コンテナはkernelさえ維持すればどこにでも移動が可能です。これによって企業はベンダーロックインから解放されます」

Micro Focus製品とRed Hat OpenShiftで継続的インテグレーション体制

それだけではない。コンテナ化でシステム再構築を進めれば、オンライン処理、バッチ処理、業務ロジックをそれぞれ疎結合状態で再編成でき、自由度が高く、非機能要件に対して最適な設計/実装が実現する。たとえば、システム変更による影響範囲を最小限に抑えたり、急なアクセス増加などに対応する際のスケールアップが容易になるのだ。

 

これはクラウドが本来目指すオンデマンドにサービスを展開するというアーキテクチャを、既存のアプリケーションにも適用できるということを示す。

 

Red Hat OpenShiftは、コンテナオーケストレーションツールの Kubernetesを搭載したエンタープライズ向けコンテナ・アプリケーション・プラットフォームだ。パブリック/プライベートクラウドなど環境を問わず、容易かつ短期間にアプリケーションの構築・開発・デプロイを行える。Micro Focus製品とRed Hat OpenShiftを組み合わせて使うことで、従来の資産をそのまま利用し、クラウドのメリットを享受することができる。さらに、開発からデプロイまでのプロセスを自動化しつつ、高品質なアプリケーションをデプロイし続けられる継続的インテグレーション体制が実現可能である。と語って北山氏はセッションを締めくくった。

 

図3
Customer Success & Solution Session:

アイシン・エィ・ダブリュ様における大規模基幹システムのリホスト事例

オープン化でシステム維持費半減を実現、
次世代テクノロジーへの投資を加速

パフォーマンス低下とシステム維持費高止まりが課題だったメインフレーム

株式会社エクサ 基幹システム本部 ビジネス基盤技術部 部長 水田 啓文 氏

株式会社エクサ
基盤システム本部
ビジネス基盤技術部 部長
水田 啓文

フォーラム後半は、アイシン・エィ・ダブリュ株式会社(以下、アイシンAW)における大規模基幹システムリホストを紹介する、エクサ 基盤システム本部 ビジネス基盤技術部 部長 水田啓文氏のセッションで始まった。

 

アイシンAWは、オートマチックトランスミッション(AT)で世界シェアNo.1を誇る自動車部品メーカーである。同社では、これまで財務・会計、人事管理、生産管理などの基幹システムをメインフレーム上で運用していたが、業容拡大とともにシステム利用者や扱うデータ量が増え、月末・月初などパフォーマンスが著しく低下するとともに、システム予算の大半がメインフレーム維持費に費やされるという状態だった。産業界ではIoTやAI、ビックデータ活用など重要な次世代テクノロジーへの投資が進んでおり、同社も競争力を高めるために同分野への計画的投資が急務だった。これらの課題を解決すべく、メインフレームのオープン化に取り組むことを決断した。

変換ツールの利用など工夫を凝らし、無事システム一括切り替えを完了

当初、リライト・マイグレーションを試みたが、想定していた以上に時間とコストを要することから最終的にリホスト・マイグレーションを選択した。移行対象プログラム資産としてはPL/Ⅰが8,000本、COBOLが3,000本、JCLが3,500本あり、同社はMicro Focus エンタープライズ製品を採用、Micro Focus 製品を利用したマイグレーション実績豊富なエクサがパートナーに選ばれた。

 

2015年4月よりプロジェクトはスタート。既存のマイグレーションソリューションが利用できない部分に適用する変換ツールの開発、昼間作成したテストケースを夜間に流すテスト自動化、パフォーマンス向上のためのプログラムチューニング、システムチューニング、システム構成変更など、さまざまな工夫を凝らしながらプロジェクトを進行、システム移行にあたっては、休日二日間で一括切り替えを完了するためリハーサルを繰り返し、万一の場合に備え切り戻しリハーサルも実施したという。

 

2017年12月、システムは無事一括切り替えを完了。予定どおりメインフレームは撤廃され、プライベートクラウド上に構築された新環境は安定稼働している。水田氏は「リホストプロジェクト成功の要因は、変換ツールの作成やパフォーマンス要求の実現、一括切り替え準備に力を入れるとともに、テスト自動化による効率化を図ったことが大きかった」と語る。プロジェクトの成功により、アイシンAWはメインフレーム環境維持費半減を実現、次世代テクノロジーに投資できる予算も確保されたという。

 

図4
Customer Success & Solution Session:

メインフレーム・リホスト・プロジェクト完遂までの経緯と成果

Micro Focus エンタープライズ製品を中核に
QCDをすべて満たしてメインフレーム・リホストを完遂

メインフレーム・リホスト・プロジェクトの第二次マイグレーションがスタート

王子ビジネスセンター株式会社 代表取締役社長 緒方 真一路 氏

王子ビジネスセンター株式会社
代表取締役社長
緒方 真一路

続いて登壇したのは、王子ビジネスセンター 代表取締役社長 緒方真一路氏である。同社は、製紙事業など5つのカンパニーと独立事業会社群により幅広くビジネスを展開している王子グループのIT戦略と実行を担うシェアードサービス会社だ。

 

2014年、同社は主要事業会社の工場システムや営業系システムといった基幹システムを動かすIBMメインフレームを廃止し、システムのコストダウンを図ることを決定した。プログラム規模はCOBOLで11,400本、約1,705万ステップ、JCLで7,400本、約140万ステップ、VSAM700ファイル、DB2のテーブル数は1,360に上る。

 

当初はJavaによるリライト・マイグレーションを構想したが、プログラム・メンテナンスが困難になるとしてリホスト・マイグレーションへ変更。ソリューションの中核にはコストパフォーマンスが高いと判断したMicro Focus Enterprise Developer / Enterprise Serverを選び、システムインテグレーターの手を借りずにLinuxサーバー上へ自力でマイグレーションすることにした。規模が大きいことから2つにフェーズを分け、2015年7月より第一次マイグレーションが本格的に正式にスタート。2016年8月にはプロジェクトが無事完了。その後、間髪を置かず第二次マイグレーションの資産移行準備に入った。

予定どおりプロジェクトを完遂。投資コストは1年で回収見込み

第二次マイグレーションは前回より規模が大きかったため、6か月間を資産移行の時間に、テストを含む並行稼働には13か月間をかけたが、プロジェクトはすべて予定どおり推移し、2018年1月、新システムは本番稼働を開始。その月末には早くもIBMメインフレームを撤去した。

 

緒方氏は今回のマイグレーションプロジェクトで達成した成果を次のように語った。「まずはIBMメインフレームを廃止し、コストを削減できたことです。それも、当初は3年で投資コストを回収する予定でしたが、約1年で回収できる見込みが立ちました。また、システム処理スピードが1/2以下に短縮し、エンドユーザー業務がスピードアップ。テスト時間の短縮、システム変更時の立ち会い作業時間の短縮など保守工数の大幅削減も実現しました」

 

さらに、オープン化によるハードウェアコスト削減で原資を得たため、従来は見送っていたシステムの二重化が実現。基幹システムの可用性が大きく向上するなど、メインフレーム・リホスト・プロジェクト完遂によって大きな成果が得られたと緒方氏は明言した。

 

図5
Customer Success & Solution Session:

モダナイゼーション・ソリューションとユーザー事例の紹介

マイクロフォーカスは今後も製品・サービスを
ブラッシュアップし続ける

レガシーシステムのさまざまなモダナイズ方法を提案

マイクロフォーカス営業部 マネジャー 浅井圭子 氏

マイクロフォーカス
営業部 マネジャー
浅井 圭子

フォーラム最後の登壇者は、マイクロフォーカス 営業部 マネジャー 浅井圭子氏だった。COBOLレガシーシステムのモダナイズ方法を提案するのがマイクロフォーカスソリューション、と同氏は語る。前半のセッションでMcGill氏や山城氏が言及したようにモダナイゼーションを支援する製品群をさらに進化させ、プロフェッショナルなサービスを提供し続けていく。IBMメインフレームユーザー向けにはクロス開発ソリューションおよびリホストソリューション、IBM/国産メインフレーム資産をオープン化したいユーザーやオープン・レガシーを保有するユーザーにはマイグレーションソリューション、というように顧客のニーズに応じたソリューションを提供していることを説明した。

先進的なMicro Focus Visual COBOL採用事例

海外のみならず国内でも製品導入事例が豊富なマイクロフォーカスだが、セッションの中で浅井氏は特徴ある最新事例を2つ紹介した。

 

1つは九州に拠点を置くシステムインテグレーター 株式会社シティアスコムだ。ノンバンク系金融機関の基幹システムの開発・運用をメインフレーム時代から長年にわたり担当してきた同社は、2017年、大がかりなシステム更改にあたり、ACUCOBOLからMicro Focus Visual COBOLへ移行。Visual COBOLのWebサービス機能を利用して、WCF+RESTfulという先進的な組み合わせでCOBOLプログラムの呼び出しを実装した。また、基幹系システムと情報系システムをJSONファイルで連携させる機能も実現、業務効率化に貢献し顧客から高く評価された。

 

もう1つはANAグループのITプロフェッショナルであるANAシステムズ株式会社の事例である。国内旅客収入管理システムのマイグレーションプロジェクトでMicro Focus Visual COBOLを採用、キヤノンITソリューションズを開発パートナーに高精度な「ストレートコンバージョン」を行った。その結果、QCD目標をすべて達成し、メインフレーム撤廃により運用コストも大幅に削減できた。

 

「1959年の誕生以来ここまで長い間使い続けられている言語はCOBOL以外ありません。マイクロフォーカスは1976年の設立以来、たゆみなく製品のブラッシュアップを行い、これからもそれは続けていきます。ぜひ今後とも弊社製品の採用と継続利用をご検討いただければ幸いです」浅井氏はそう語って最後のセッションを締めくくった。

 

図6

 

マイクロフォーカス COBOL事業部 営業部

https://www.microfocus.co.jp/

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sales@microfocus.co.jp