Beyond 2020
デジタル変革時代を勝ち抜くヒント

vol.1
自社の変革なくして、顧客企業の価値創造なし
次世代見据え、
既存の枠組み超えた挑戦推進

三井物産の情報システム部門から独立し、1967年に誕生した三井情報(旧三井情報開発)。半世紀にわたって培った「ICT総合技術力」を武器に、既存の枠組みを超えた大胆な変革に挑戦している。これは、「顧客企業の価値創造に貢献するためには、まず自社の変革が何より必要」という考えからだという。デジタル時代の事業戦略パートナーを目指す三井情報のビジネス戦略について、同社の小日山 功社長に、日経BP総研の桔梗原 富夫が話を聞いた(本文敬称略)。

データをいかに活用するかが企業の差別化戦略に

三井情報株式会社 代表取締役社長 小日山 功氏
三井情報株式会社
代表取締役社長
小日山 功
桔梗原:
現在の経済環境やデジタルトランスフォーメーション(DX)に代表される市場の変化をどのように見ていますか。

小日山:
ICTは驚異的なスピードで進化を続けています。IoTの普及により、収集できるデータの種類も量も飛躍的に拡大しました。コンピューティング能力も格段に高速化し、これまで不可能だったビッグデータ分析もスムーズに行えます。AIを活用すれば、人では処理が難しい高度な分析や予測も可能です。

 この数年で起きている変化は、非常にドラスティックでダイナミックなもの。時には既存産業を破壊し、産業の定義自体さえ塗り替えていく大変革期が到来しつつあります。これによってお客様の投資傾向が変化し、事業にどうICTを使うかという機運が高まっています。

桔梗原:
最近はDXに象徴されるように、従来のICTに代わってデジタルという言葉が盛んに使われるようになっています。ではICTとデジタルの違いは何か。ICTはハードからソフトへの変化、デジタルはソフトからデータ活用への変化を示すキーワード。私はそんなふうに言葉の変遷を捉えています。すなわち、デジタルの本質は「データ」にあるのではないかと思うのです。

日経BP総研 フェロー 桔梗原 富夫
日経BP総研
フェロー
桔梗原 富夫
小日山:
同感です。テクノロジーの進化によって何が変わったか。一番変わったのはデータの種類や量であり、それを処理する方法やコンピューティング能力です。今後はデータがより大きな価値を持つようになる。データ戦略が、企業の差別化戦略になっていくでしょう。

 2020年に向けて、当社を含む国内ICT業界はここ数年活況を呈しています。2020年後も持続的成長を目指すためには、今こそがチャンス。この波を捉えることが、ICT業界全体、ひいては日本経済の発展につながっていくと思います。

SoRとSoEの両面で「ICT総合技術力」を発揮していく

桔梗原:
消費者の意識や行動も大きく変わってきていますね。

小日山:
モバイル技術やSNSの進展により、情報武装の進んだ消費者は、情報の受け手から発信者へと変貌を遂げました。ビジネスの起点が商品・サービスの供給者である企業から消費者側に移行し、市場における消費者のイニシアチブが拡大したわけです。そして、今の消費者はモノではなくコトを求めています。必要なときに、必要なモノを、必要なだけ利用する。画一的な商品の売り切り型から、コト重視のサービス型へ─。企業もビジネスモデルを変えていく必要があるでしょう。

桔梗原:
そうした中、どのようなビジネス戦略を描いているのですか。

小日山:
当社はコンサルティングからアプリケーション、ネットワークを含むICT基盤と情報システムの構築・運用・保守を幅広く手掛け、50年間にわたって豊富なナレッジとノウハウ、人材を蓄積してきました。この「ICT総合技術力」は当社の大きな強みです。

 これを時代の変化に合わせて、さらに磨きをかけていきます。企業システムは大きく2つに大別できます。基幹系システムに代表される従来のICT基盤で「守りのIT」といわれるSoR(Systems of Record)と、新しい価値創出のための情報システムで「攻めのIT」といわれるSoE(Systems of Engagement)です。DXの実現にはSoEの強化が欠かせませんが、SoRとSoEは表裏一体の関係です。SoRがしっかりしていなければ、SoEで成果を上げることは難しいからです。

 当社が守りのITをトータルにサポートすることで、お客様はより多くのリソースを攻めのITに投入できるようになります。当社はお客様に価値を提供するだけではなく、お客様と共にその先の消費者に対して付加価値を創るICT企業を目指しています。

 これまでのSIベンダーはお客様の求めるシステムを「つくる」ことが主な役割でしたが、オンプレミス環境のシステムはクラウドによるSaaS利用へと着実に移行していきます。これからは「つくる」ではなく「つなぐ」力がより重要になります。SoRとSoEをつないでICTによる価値の最大化を図る、そしてお客様とその先の消費者とのつながり、いわゆるエンゲージメントを深めていく。こうした取り組みを支えている、ICT総合技術力は当社の大きなアドバンテージになると考えています。

技術と人材の融合を進め、お客様の価値向上に貢献する

桔梗原:
戦略を具現化するために、どのような取り組みを進めていますか。

小日山:
社会・ビジネス環境が複雑かつ多様化する中、単一の企業だけでお客様に最適な価値を提供することは困難です。そこでお客様、そして業種・業界を横断したパートナーと共に「共創」事業に取り組み、「価値創造企業・三井情報」への変革を進めています。

 例えば、営業と技術を融合させた新チームを発足させたことはその1つです。営業と技術部門が一体となって、お客様本位のソリューションを開発・提供する活動を始めました。

 基盤系エンジニアとアプリケーションエンジニアの融合も進めています。これまでは、ICTインフラとアプリケーションそれぞれの技術領域の境界がはっきりとしていましたが、近年は「つなぐ」力が重要となってきており、今後のエンジニアはその両方を体得しておく必要があります。こうしたICT総合技術力を生かしたチーム体制で、お客様のニーズを満たすだけではなく将来を見据えて積極的に最先端技術に取り組んでいくことが重要だと考えています。

 さらに、上流からお客様のビジネスに関わることのできる人材も必要です。長年培った業務ナレッジを生かし、新しい事業やビジネスモデルの構築を支援するビジネスコンサルタント人材の育成も進めています。

桔梗原:
ソリューションレベルでは、どのような分野に力を入れていますか。

三井情報株式会社 代表取締役社長 小日山 功氏
小日山:
基幹を支えるSAPシステムの構築・運用を長年手掛けてきた強みを生かし、クラウド化を含めたSAP S/4HANAへのマイグレーションをサポートしています。そのために、パートナーであるインド大手IT企業テックマヒンドラとの協業体制も強化しました。もちろん、SAP以外のオンプレミス環境のクラウド化やSaaSとの連携にも対応します。

 将来的には超高速のインターネット技術の普及、多様なクラウドサービスの提供などにより、企業がプライベート環境でネットワークを構築する必然性は薄れ、各情報端末が無線などの技術によって、ダイレクトにクラウドにアクセスできるようになってくると思っています。企業ネットワークにおける閉域網という概念はなくなり、代わってより柔軟なネットワークの必要性が高まる。そんな未来を見据えて、SDN事業や5Gの研究にも力を入れています。

 2018年9月には三井物産がグローバル約40カ国の海外拠点で使用するSAP ERPをSAP S/4HANAへ移行する大規模移行プロジェクトがスタートしました。当社がプロジェクトの中心的役割を担っています。また、金融系ソリューションを数多く構築・運用してきた実績を生かし、国内ベンチャーや海外企業と協力してフィンテック関連のトライアルも進めています。国内事業を基盤としつつ、グローバルでの事業展開も加速していきます。さらに、SD-LANやSD-WANについても海外を含めた大規模なプロジェクトもスタートしています。

グローバルに広がる共創の取り組みとその成果

桔梗原:
共創事業については、既に事例もあるそうですね。

小日山:
例えば、バイオサイエンス事業では、京都大学と共同で網羅的がん遺伝子解析サービス「OncoPrime」を開発しました。このサービスは2015年4月に同病院に初めて臨床導入され、最適な治療薬の選定に貢献しています。検査数は既に400件を超えています。

 金融分野では、発展途上国の支援事業を展開するドレミング社、ベトナムのリエンベト郵便銀行、当社の3社共同で、日本発のフィンテックサービスをベトナムで展開していきます。銀行口座を持てない労働者でも、働いた分の給与を即日スマートフォンで利用できるようになります。こういった金融サービスと非金融サービスを融合させた、「MKI金融デジタル・エンゲージメント・プラットフォーム」も複数のパートナーと共同で構築を進めています。

桔梗原:
DXを支援する価値創造企業として、顧客企業の期待に応えることが御社の使命と言えそうですね。

小日山:
既存事業の価値を高め、新たな事業を創出する。それがICTに求められる役割です。これからのビジネスはICTなしには成り立たない。強みであるICT総合技術力にさらに磨きをかけるとともに、業種業界の垣根を越えた「共創」で新たな価値を創出し、お客様ビジネスと社会の発展に貢献していく所存です。
桔梗原 小日山

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