日経BP総研 特別対談 社会全体で加速するデジタル革新 なぜクラウドから成功事例が生まれるのか

デジタル技術による革新、いわゆるデジタルトランスフォーメーションが加速している。ビジネス、公共分野を問わずチャレンジする機運も高まり、様々なプロジェクトが進行中だ。中には既に高い成果を上げている事例もあり、誰もがその成功要因に注目していることだろう。ここでは、様々なユーザー企業とともにプロジェクトを成功させているNECにおいて、クラウド事業を統括している上坂 利文氏に、日経BP総研の桔梗原 富夫が成功の要因を聞いた。

新たな価値を生み出し、より豊かな社会を実現する

日経BP社 日経BP総合研究所 フェロー 桔梗原 富夫

桔梗原企業はもちろん、総務省がデジタル・ガバメント実行計画を打ち出すなど、公共分野でもデジタルトランスフォーメーションへの関心が高まっています。革新を目指す取り組みは、今後も社会全体へ拡がっていくと思われます。NECは、この潮流にどのように対応していくとお考えですか。

上坂氏NECは、デジタルトランスフォーメーションを、リアルとサイバーをつなぎ合わせて新たな価値を創造し、より豊かな社会を実現することだと考えています。同時にNECは、自身を社会価値創造カンパニーとも定義しているわけですから、いわばデジタルトランスフォーメーションは事業の根幹となります。

革新を牽引するテクノロジーとしては、AIやIoTが注目されていますが、我々は、ほかにもセンシング、画像・映像認識、アナリティクス、そして、基盤となるクラウドなど様々な技術を持っています。これらを有効活用し、お客様とも共創しながら、防災、Fintech、テレマティクス、マーケティング、ワークスタイルなど、様々な分野に新しい価値を提案していきます。


多くの企業や自治体とともに今までにないサービスを実現

NEC サービスプラットフォーム事業部長 上坂 利文氏

桔梗原革新を目指す取り組みは増えていますが、まだPoC(概念実証)の段階で止まっている場合も少なくないようです。NECのかかわっているプロジェクトの進捗はいかがでしょうか。

上坂氏様々な業種のお客様とプロジェクトに取り組み、新たなビジネスやサービスを創り上げ、既に成果を挙げている事例が多数あります。

例えば、貴金属や高級ブランド品の買取/販売事業を手がけるアプレ様のAIによる新たな真贋判定サービスがあります。

高級ブランド品の二次流通市場は年々拡大していますが、イミテーション商品による被害もしばしば発覚します。商品が本物であるという信頼の有無は、二次流通市場の土台を揺るがす問題です。

とはいえ、真贋鑑定が行えるエキスパートの数は限られますし、鑑定書を発行しても現品と鑑定書がすり替えられてしまう可能性もある。そこで、当社のクラウドサービス「GAZIRU(ガジル)個体識別サービス」を活用して、「TALグレーディングレポート発行サービス」を開発。アプレ様の保有する高級ブランド品の高い真贋判定技術を基に発行された鑑定書を、現品画像と関連付けて管理することで、鑑定書のすり替えを防止します。このように「TALグレーディングレポート」の信頼性を高めることで、二次流通市場からの不正品の撲滅・排除に貢献しています。

桔梗原高級ブランド品を所有する個人や業者がレポートを発行してもらうことで、正規商品とのお墨付きを得ることができ、第三者への販売も行いやすくなるというわけですね。しかし、どうやって現品画像と鑑定書の紐づけをしているのでしょうか。

上坂氏製品や部品の表面に自然発生する微細な差異から個体を識別するNEC独自の「物体指紋認証技術」を活用しています。商品そのものの撮影画像のみで個体ごとのわずかな差異を正確に見分け、専門家が発行した鑑定書と商品を紐づけるわけです。

桔梗原オークションサイトやフリマアプリなどの人気も高まっていますから、ニーズが高まりそうですね。ほかにはどんな事例がありますか。

上坂氏データ分析技術を用いて営業車両の安全運行を実現した事例があります。これはアステラス製薬様の事例です。

製薬会社の営業担当者は、医療機関などを訪問する際に営業車を使うケースが多い。アステラス製薬様も2,100台もの営業車両を保有しており、事故や交通違反への対応が課題となっていました。

とはいえ、これだけ多くの車両の運行状況を正確に把握し、安全指導を行うことは容易ではありません。そこで導入したのが、当社のクラウド型事故削減支援サービス「くるみえ」です。

くるみえは、ドライブレコーダーの映像や車両の運行情報などをクラウド上で分析し、急加速/急減速などの危険運転を検知した場合にはアラートをリアルタイムに管理者に通知します。また、運転者ごとの運転データを蓄積して統計分析することで、営業担当者の運転傾向に応じた指導が可能になります。これにより事故発生率を20%、交通違反を40%も低減することに成功しています。

桔梗原事故や違反を避けられるなら、それは社員自身にとっても大きなメリットですね。

上坂氏冒頭でお話の出た公共分野の事例もあります。安全で住みやすい地域社会を実現するための香川県・高松市様の取り組みです。

社会公共分野向けデータ基盤ソフトウェア「FIWARE(ファイウェア)」を用いたデータ利活用基盤サービスを活用して、ここにセンサーを通じて得られる河川の水位や海の潮位、そして避難所の安全情報などを集約。それを基に避難指示を出すべきかどうかを判断するなど、防災に役立てています。また、レンタサイクルの動態データを見ながら、観光客がどこに集まるのかといった情報を可視化。観光振興への活用も行っています。今後は高松市様を中心に設立されたスマートシティたかまつ推進協議会を通し、さらなるデータ利活用を進めていく予定です。

図1 NECがユーザーとともに成功させた事例

図1 NECがユーザーとともに成功させた事例

ビジネスから公共分野まで、様々なプロジェクトが既に高い成果を上げている。クラウドをはじめとする基盤から、画像認識などの技術まで、随所にNECらしさが見て取れる


安全・安心なマルチクラウドをワンストップで提供

桔梗原いずれも興味深い事例です。すでに様々な分野でデジタルトランスフォーメーションが本格化しているのですね。ご紹介いただいたものを含めて、多くの成功事例にはいくつか共通するポイントがあるようです。

例えば、新技術に目を向け、それが課題解決に有効だと判断したら、すぐに活用していること。それから、やはり価値の源はデータ。様々なデータを組み合わせて、そこから新しい価値を生み出している。

さらに、プロジェクトの進め方という意味では、アイデアを素早く形にして、トライアル&エラーを繰り返しながらブラッシュアップしていることが多く、そのために必要なスピードと柔軟性を備えたICT環境を持っている。

そして、最終的にサービスとしてリリースする際に必要な信頼性と安全性に関して、最初からきちんとビジョンを持っている。

やはりこうした成功のポイントを考えると、デジタル革新を実現していくためには、「クラウドをいかにうまく活用するか」がカギとなりそうですね。

図2 デジタルトランスフォーメーション成功のポイント

図2 デジタルトランスフォーメーション成功のポイント

様々な事例には共通する成功要因がある。そして、その要因をひも解くと成功を支えるのに最適な基盤がクラウドだと分かる

上坂氏はい、まさにそうです。NECが革新の基盤としてクラウドを位置付けているのも、それが理由です。クラウド基盤をベースに、AI、IoTなど最新技術をすぐに活用できるサービスの提供や、お客様とともにサービスを創り出す「共創」を進めています。

また、用途に応じて、NECのクラウド基盤サービスである「NEC Cloud IaaS」の他、Amazon Web ServicesやMicrosoft Azureといったパートナーのクラウドサービスも提供し、どのサービスを使う場合でも、計画策定から導入・構築、運用までをトータルに、かつワンストップでご支援できる体制を整えています。

桔梗原NEC Cloud IaaSの強みは何ですか。

上坂氏セキュリティ面です。サービス提供拠点となるデータセンターのファシリティはもちろん、運用面においても様々な対策を施していることを高く評価いただいています。

また、ISO/IEC 27017、27018をはじめとする最新の主要国際規格や、FISC安全対策基準などにも対応。一般企業はもちろん官公庁・自治体の方々にも安心してサービスをご活用いただけます。

桔梗原NECは持ち前の技術力を生かして、様々な革新を支えているのですね。今後は、どのような取り組みを計画していますか。

上坂氏クラウドサービスの強化・拡充に加えて、ICT環境全体をトータルにサービスとして、お客様に使っていただけないかと考えています。

例えば、IoT、AIの活用において、お客様はセンサーなどのデバイスだけを求めているわけではなく、その選定で頭を悩ませたいわけでもありません。それならば、デバイスからネットワーク、アプリケーション、そしてクラウドまでを、1つにまとめて、それをサービスとして利用できればよい。お客様がやりたいことを実現するための環境をNECがまるごと提供するのです。

桔梗原それが実現すれば、ユーザーは革新に向けた取り組みに集中できます。大いに期待しています。

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デジタルトランスフォーメーションを実現するクラウド活用事例集

デジタルトランスフォーメショを実現するクラウド活用事例集

新たな価値創出に向け、ユニークな独自技術や先進技術を活用したサービスや顧客との共創によるサービスの充実を進めるNEC。本資料では、デジタルトランスフォーメーションの実現やTCO削減/事業継続性向上を目指し、実際に成果を挙げた20を超えるクラウド活用の最新事例を分かりやすく紹介する。大手百貨店や金融機関をはじめ、製薬会社、地方自治体など、業種・業態を問わず数多の企業・団体がNECを革新のパートナーに選んだ理由とは?


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