常にグローバルを意識せよ!
日本の女性起業家だからこそ開拓できる道がある 激動するビジネスシーンにおいて日本社会が真の意味でイノベーションを起こしていくためには、女性のチカラが欠かせない。ドコモ・イノベーションビレッジでは米シリコンバレーで活躍する女性起業家支援のプロを招き、“女性のスタートアップ”を応援するミートアップイベントを開催。グローバル視点で活動していくための視座を学び、新たな気づきとつながりを得る絶好の機会となった。
 激動するビジネスシーンにおいて日本社会が真の意味でイノベーションを起こしていくためには、女性のチカラが欠かせない。ドコモ・イノベーションビレッジでは米シリコンバレーで活躍する女性起業家支援のプロを招き、“女性のスタートアップ”を応援するミートアップイベントを開催。グローバル視点で活動していくための視座を学び、新たな気づきとつながりを得る絶好の機会となった。

起業支援のプロが語る“日本に足りないもの”

 「~Tokyo to GLOBAL!~シリコンバレー女性起業家とのミートアップイベント」と名付けられた今回のイベントは、NTTドコモ・ベンチャーズラウンジを舞台に2018年7月13日に開催された。

 イベントの開演前、出席者が集ってインタビューを行った。話を聞いたのはWomen’s Startup Lab創業者・CEO 堀江愛利氏、EY新日本監査法人FAAS事業部シニアプリンシパル クロスボーダーIPOリーダー 工藤陽子氏、内閣府 政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付 企画官(前・経済産業省 経済産業政策局 新規産業室 新規事業調整官) 石井芳明氏、NTTドコモ・ベンチャーズ 代表取締役社長 稲川尚之氏の4人。

インタビューに答えてくれた面々。左から内閣府政策統括官(前・経済産業省)の石井氏、EY新日本監査法人の工藤氏、Women’s Startup Labの堀江氏、NTTドコモ・ベンチャーズの稲川氏

――みなさん、どのように女性起業家を支援しているのでしょうか。

堀江氏:2013年からシリコンバレーで、女性の起業に特化したアクセラレーターを始めました。女性起業家の成功を支援するインフルエンサーを巻き込んで、アントレプレナーシップのトレーニングにフォーカスした活動を行っています。すべてのプログラムが「女性起業家が成長できる環境とは何かと?」という問いかけを含めてデザインされています。

 アクセラレーションの女性版を実施する団体は、ほかにもいろいろとあります。それらとの違いとして、私たちは女性たちが自らのビジョンに自信をつけてモチベーションを上げてもらったり、ビジネスでの決断力を高めてもらうことなどをアドバイスしています。

Women’s Startup Labの堀江氏

工藤氏:もともと私たちは「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」という、アントレプレナーの努力と功績を称える国際的な表彰制度を30数年にわたって展開しています。ただ、女性起業家の受賞者が少ないことから、女性起業家とその事業の成長を応援する「EY Entrepreneurial Winning Women」を立ち上げました。

 私たちは女性の経営者だけでなく、女性のアスリートも応援しています。私たちが培ってきたノウハウを生かし、グローバルレベルでネットワーク作りを支援したりさまざまなプログラムを提供することで、女性をスケールアップさせることを目標としているのです。

EY新日本監査法人の工藤氏

石井氏:経済産業省でも、イノベーションと雇用を創出して経済を元気にする重要な役割を果たすことから、スタートアップの支援に力を入れています。ただ、女性の起業家や支援者などはまだ多くはありません。今後、日本でも女性起業家が次々と生まれてくることで、ダイバーシティが整いエコシステムが強化されます。また、既存の企業においても、女性のリーダーや管理職が前面に出てくることによって、強いチームが形成されていくと思っています。

 また、女性起業家や女性経営者のコミュニティや相談の場を作ったり、ファイナンスなども含めたさまざまな相談も受けています。

稲川氏:私は数年前にシリコンバレーに駐在していました。その頃、堀江さんからグローバルに活動している女性の姿をいろいろとご紹介いただきました。そのことがきっかけとなり、日本でも女性起業家を支援するイベントを一緒に開催したいなと。

 今回のイベントは女性限定ではないのですが、日本で活躍されている女性起業家のみなさんに、グローバルとダイバーシティという2つの観点からいろいろな刺激を受けていただければと思っています。

――日本において女性起業家が活躍するための課題は?

堀江氏:現在のような男性中心のエコシステムでは、女性起業家がビジネスを生み出す視点や、何に悩みどこでつまづいているのかが理解できず、すべて女性の責任とされてしまいます。例えば、アクセラレータープログラムの期間が3カ月だと言われても、育児を抱えている女性にとってはその間、子供や家のことを人任せにするわけにもいきません。結局、家庭の事情を抱えている女性起業家は男性中心のエコシステムに入っていけず、アクセラレーターからはスタートアップに向いていないなどと決め付けられ残念な結果になります。

 また、仕事のストレスを発散させる場も、ネットワークの仕方も、男性向けばかりで、女性が息抜きをする場やネットワークを創る場なども限られています。これらは女性に関わる課題ではなく、社会システム全体の課題だと思っています。

――では女性に限らず、日本の起業家がグローバル市場で活躍するための課題は何でしょうか。

堀江氏:最終的にグローバル市場で成長したいと考えているのならば、最初から海外の投資家を入れてスタートすることなども検討するべきです。日本の投資家はグローバル市場に進出することについてリスクヘッジを重視するあまり、積極的ではありません。また、日本の投資家だけを集めてスタートすると、後にグローバル市場に進出しようとしたときに海外の投資家が入ってきにくくなります。

工藤氏:グローバルでの上場を目指す企業には、バイリンガルで会計に関するリテラシーを持っている人も必要です。内部にいなければ、アウトソースすることを考えなければなりません。日本の起業家にも、そういうところにリソースをつぎ込む考え方が定着すれば、もっとグローバル市場に出ていける企業が増えると思います。

経済産業省の石井氏

石井氏:ユニコーンと呼ばれる、企業としての評価額が10億ドル以上で非上場のベンチャー企業は、グローバルには200社くらいあります。しかしながら、現在日本にはユニコーン企業は2社しか存在しません。グローバル市場でプラットフォームが押さえられる企業はユニコーンの中から出てくる傾向にあるため、日本でもそこを強化していくべきでしょう。

 とはいえ、今でも日本人のほとんどは起業に興味がなく、起業家を応援するという意識もまだまだ低いので、そこが課題であると感じています。

稲川氏:グローバル市場を意識しているなら、最初からさまざまな国の人を集めた無国籍のチームを作ればいいと思います。これはベンチャーに限った話ではないのですが、日本人はもっと国籍を問わないチームの価値を認めるべきです。

 ただし、たとえばアメリカのやり方がよくて日本のやり方がよくないから日本人がアメリカ人にあわせるというのではなく、それぞれの国のカルチャーを中和する人やいいところを増幅する人を入れておくことが重要です。

――すでに起業している女性やこれから起業を目指している女性にメッセージをお願いします。

工藤氏:日本の女性起業家は、こじんまりとしている印象があります。年商5000万円くらいでも満足している人が多いようです。なので、そこからスケールアップしたいと思えるように、マインドセットを変えてあげたいと考えています。これから起業を考えている女性には、大きな夢とビジョンをもってほしいと思っています。

堀江氏:私は、もっともっと暴れてほしいと思っています。日本の女性起業家は、すべてのことを頑張りすぎる。よって、削れるところを増やす必要があります。例えば、食事に費やす時間やショッピングの時間、子供に接する時間などを削っていけばいい。そうすれば、これまで自分が抱えてきた価値観の中で革命が起き、本当に重要なものが見え始めると思います。

石井氏:女性に限らず、もっと日本でも起業に挑戦する人が増えてほしいと思っています。また、起業家を応援する気持ちを持つ人が増えることでも、エコシステムが成長していくと思っています。最近では、女子大学にも女性起業家を育成するコースが開講され始めたので期待しています。

NTTドコモ・ベンチャーズの稲川氏 

稲川氏:日常生活の中で課題意識をしっかり持って発信してほしいですね。たとえば、カフェで抹茶のパフェを食べたら単に美味しかったと感じるのではなく、抹茶の生産量ってどのくらいだろうと考え、そこから新しいビジネスを思いついてほしい。たとえばキッチンで使う新商品や子供の教育に関する新サービスなどは、男性にはなかなか思いつきませんから。そういった情報交換の場として、今後もさまざまなイベントを開催したいと思っています。

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ドコモ・イノベーションビレッジ事務局
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