2018年は「サードギアチェンジ」の年
NTTドコモ・ベンチャーズが目指す明日とは?

画期的なソリューションが多数集まった展示ブース

 カンファレンス会場横の展示会場には、NTTドコモ・ベンチャーズの出資先企業をはじめ、ドコモ・イノベーションビレッジの卒業生・支援先企業、NTTドコモ事業部など全28ブースが出展され、新しいサービスとの出会いを求める人たちで大いに賑わった。

賑わう展示会場の様子

 入口近くでは、医療関連のWebサービスに強みを持つ「GENOVA」が注目を集めていた。NTTドコモ・ベンチャーズが出資する同社は、スマホ用の診察券アプリ「NOMOCa(ノモカ)」を中心としたソリューションを展示。各病院やクリニックごとに発行される診察券を一括してアプリにまとめ、どの医療機関でもNOMOCaを提示すれば診察が受けられるようにする仕組みだ。

NOMOCa-Standのデモ。クリニック向けに機能をダウンサイジングし、コストを抑えている

 また、スマート簡易自動精算機「NOMOCa-Stand(ノモカ-スタンド)」と連動し、診察後の会計を自動化するデモを披露。患者の待ち時間ストレスを軽減するとともに、医療事務従事者の手間が減ることから、空いた時間を患者のフォローに使えるなど新たなサービス効果が生まれる。90%以上のレセコン(医療会計システム)・電子カルテと連携できる部分もメリットだ。GENOVAの担当者は「少子化で医療現場の人的リソースが少なくなっているのが現状。ITと医療をかけ合わせながらサービスを展開していきたい」と話してくれた。

 NTTドコモ IoTビジネス部では、「製造業向け故障予兆検知ソリューション」を展示した。機器に振動センサーを装着して、IoTゲートウェイとNTTドコモのセキュアな閉域網ネットワークによってクラウドへ振動測定データを送信。データを解析して機械の健康度を示す「ヘルススコア」を割り出し、機械の状態を数値によって可視化するサービスだ。

製造業向け故障予兆検知ソリューションのデモ

 このヘルススコアをもとにして、機械学習を用いて将来の予測値をWeb画面上に表示。今までの異常度の推移から故障時期の予測が可能となり、効率的なメンテナンスの予定が立てられる。こうした可視化によって経験の浅い担当者でも状態が把握できるようになるため、ベテランの保守担当者がより精密かつ重要な設備の診断に注力できるといった効果もある。

 NTTドコモの担当者は「現場の保守担当者が高齢化して人が不足している一方、機械は経年劣化が進み、日常点検のニーズが増えている。このギャップをIoTや機械学習によって埋めていく」と、本サービスの狙いについて語った。

 NTTドコモの社内発・新規ビジネス創造プロジェクトとして脚光を浴びる「39works」も出展した。NTTドコモ本社39階から始まったことに由来する同プロジェクトは、ドコモ社員のアイデアを皮切りに、社外パートナーと一緒にプロジェクトを組み、企画・開発・運用・保守までを一貫して行う。ブースには、これまで形になったサービスや開発中のプロダクトなどが並べられた。

39worksのブース

 既存のドコモの事業と異なるのは、クイックスタートかつ高速でPDCAを回していく点にある。半年、一年単位できちんと期間を区切り、KPIを設定して最終的にはビジネス化を目標とする。失敗した場合も、「なぜうまく行かなかったのか」をチームで共有し、次の糧に生かすという。

 担当者は「基本的にドコモの社員だけで回しているプログラムはほとんどない。専門的な強みを持つスタートアップとのコラボを行っているのが39worksの特徴」と話す。垣根を超えた協業は、ドコモ・イノベーションビレッジの活動などにも共通する“ドコモイズム”と言えるだろう。

 展示されていた中で非常に可能性を感じるのが「docomo SmartParking system」。街なかの駐車場のフラップ板の代わりにIoTセンサーを埋め込んだプラスチック板を置き、入車を検知。スマホアプリで決済ができる。加えて設置工事が簡単でコストも低く、空きスペースを駐車場として有効活用できることをアピールしている。

docomo SmartParking systemで利用するIoT板

 担当者は「既存の方法を変えるにはエネルギーが必要。むしろ我々のように外の世界の人間のほうがチャレンジしやすい」と話す。このほか、サイト訪問者一人ひとりにあわせた“Web接客”を可能にする「ecコンシェル」、空き駐車場検索・予約サービス「Peasy」など、既にいくつかのビジネスが走り始めている。

OTON GLASSのデモの様子。読み上げられた文字はスピーカーから再生する

 ドコモ・イノベーションビレッジの支援先企業である「OTON GLASS(オトングラス)」は、おもに視覚障がい者向けとなる同名デバイスを展示した。OTON GLASSをかけると、目前にある文字をカメラが撮影して文字認識技術によりテキストデータに変換。それを音声として読み上げてくれる。

 代表取締役である島影圭佑氏の父親が脳梗塞の後遺症で文字が読めなくなってしまったことが、OTON GLASS開発の経緯だ(オトンはこの経緯と、「音」に由来する)。大学時代に研究を始めた島影氏は本デバイスでNTTドコモのコンテストに参加。その後、NTTドコモ・ベンチャーズのプログラムに採択されて現在に至る。

 島影氏によれば、理化学研究所で網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダーを務める高橋政代先生がOTON GLASSを推しているという。高橋先生といえばiPS細胞による網膜再生に取り組んでいることで有名だが、島影氏は「眼科の世界でイノベーションを起こすために、先生のように世界そのものを変えていく人たちと組んでやっていきたい」と言う。現在、最初の生産を目指してクラウドファンディングを実施中(2018年5月3日まで)。将来的にはコストを下げ、視覚障がいの当事者たちに広く使ってもらうことを目指している。

島影氏はOTON GLASSでイノベーションを起こしたいという

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