いよいよ5G活用が現実ゾーンへ
5G Tokyo Bay Summit 2018から見えたワクワク感

 2020年のサービス開始に向け、NTTドコモは“5Gで変わる社会”を念頭に置きながら5Gの研究開発に取り組んでいる。「ワイヤレス・テクノロジー・パーク」にてNTTドコモが企画協力した「5G Tokyo Bay Summit 2018」では各パートナーとの協創が数多く展示され、心躍る未来を体感することができた。5G活用を前提としたテクノロジー、その現在地点を探る。
 2020年のサービス開始に向け、NTTドコモは“5Gで変わる社会”を念頭に置きながら5Gの研究開発に取り組んでいる。「ワイヤレス・テクノロジー・パーク」にてNTTドコモが企画協力した「5G Tokyo Bay Summit 2018」では各パートナーとの協創が数多く展示され、心躍る未来を体感することができた。5G活用を前提としたテクノロジー、その現在地点を探る。

5G×VRなら、今までにない双方向コミュニケーションが可能になる

 2015年に始まった5G Tokyo Bay Summit。年を重ねるごとにNTTドコモと協力パートナーによる協創は明確な像を結んできたが、4回目を迎えた今年はこれまで以上に現実感があるものだった。5Gの提供開始まであと2年、いつまでもPoC(概念実証)で足踏みしてはいられない――会場に並んだ各展示からは、そうした決意のようなものが感じられた。

 今回ドコモは27のテーマで5Gソリューションをアピール。その中の1つ、クレッセントとのコラボレーションによる「SpaceFighterトレーニングプログラム」は、旬の5G×VRの組み合わせということもあり、多くの人たちが体験していた。

NTTドコモとクレッセントによる「SpaceFighterトレーニングプログラム」。超高速・大容量・低遅延という5Gの特性を生かし、仮想空間での双方向コミュニケーションを可能にする

 本プログラムは、VRアバターシステムを駆使した双方向(インタラクティブ)コミュニケーションシステムだ。5Gの特性である超高速・大容量・低遅延をフル活用することで、遠隔地にいる参加者とインストラクターが同一の仮想空間でアバターとして接し、インストラクターからSpaceFighterの操作方法を学びながら模擬戦を行う。

 展示では馴染みやすいようにゲーム要素を採り入れたが、本来の目的は電話やテレビ会議など、これまでのコミュニケーション手段では実現できなかった「遠隔地にいる者同士のストレスフリーなリアルタイムコミュニケーション」にある。さらに手振りや細かい表情、ニュアンスなどの非言語情報も円滑にやり取りできるため、真の意味での“場所を問わない働き方”が可能になるという。

 クレッセントは映像やVRをはじめとするデジタルコンテンツ制作に強みを持ち、NTTドコモとともに「5Gで何ができるか」をテーマにトライを続けてきた。代表的な例が、360度の自由視点で人物画像をリアルタイムCGに合成する「Free ViewPoint Live (FVPL)」におけるコラボレーションだ。

 5Gネットワークを利用すれば、合成したCG映像を瞬時に遠隔地に転送することができるのではないか。そして受信側は、どこにいてもVRのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)で自由視点の仮想空間を楽しめるのではないか。このアイデアを発展させ、過去のイベントで実際に膨大なCGデータをリアルタイム転送するデモを披露。昨年の5G Tokyo Bay Summitでは「仮想スイカ割り」を展示した。

 これから、5G×VRはどのように発展していくのか。クレッセント 代表取締役社長の小谷 創氏、NTTドコモ 移動機開発部 第二イノベーション推進担当 担当課長 的場直人氏に話を聞いた。

クレッセント 代表取締役社長の小谷 創氏(左)、NTTドコモの的場直人氏(右)

――まずは5G×VRの持つ可能性について教えてください。

的場氏:5Gの時代には、過去の常識を超えた超高速・大容量・低遅延の無線接続が現実になります。一方これからのVRは、いかに質の高い仮想体験を提供するかがポイントになってきます。この背景を考えると、ローカルデータをディスプレイに表示する時代は終わり、ネットワークを活用して“そこにない”高品質な情報を大量に届けることが当たり前になってくるはずです。これまでの情報処理と転送のバランスが根底から覆るのが5Gの世界だと思いますね。

 ですから今回の展示では、とことん双方向性にこだわりました。そこにこそ、非常に大きな5G×VRの可能性があると感じています。こちらが発言したり、表現したりしたことに対してすぐにリアクションが返ってくる――。ここには、ストレスのない双方向コミュニケーションにドコモが取り組まなくてどうするといった思いもあります。

 5G×VRの技術がブラッシュアップされれば、仮想現実の中であたかも本当の店舗でショッピングしているような経験も可能になるでしょう。もし、仮想現実内の店舗でICカードをタッチして買い物ができたらどう思いますか? こんな夢物語もさほど遠い未来ではないと信じています。

5G×VRの未来を見つめるNTTドコモの的場氏

小谷氏:我々は映像やデジタルコンテンツを主戦場にしていますが、この世界での5Gの最も単純な想定活用法は、4Kから8K、8Kから12Kと映像をどんどん高精細にしていき、没入感を高めるというものです。

 確かに、今あるものを延長するリニアな思考としては理解できます。しかし、5Gのポテンシャルはそんなものじゃない。当社がドコモさんと一緒に手がけている自由視点映像のリアルタイム転送であるFVPL、それこそ次世代の新しい映像の表現、見せ方につながるのではないかと考えています。

――そもそもは展示会で紹介されて知り合ったとか。クレッセントとして、NTTドコモとの出会いは何をもたらしましたか。

小谷氏:もともと当社は音楽や映画では割と知られた存在でしたが、会社として産業立国・日本を支えるテクノロジーで勝負したいとの思いがありました。産業用VRのHMDを作って自動車会社に納品した実績もあります。新しい時代に向けてこうしたノウハウやテクノロジーを生かすには、通信インフラは欠かせない存在です。だからお世辞ではなく、本当にドコモと一緒にやってみたかった。

 ですから、一緒にやろうぜと言ってくれるほどありがたいことはありません。的場さんはVRに対する偏見がまったくないので、話が早いですから。大企業ならではの懐の深さで、我々のような小さな会社を信じて見守ってくれている安心感があります。

NTTドコモとクレッセントには強い信頼関係があると語る小谷氏

的場氏:正直、最初は半信半疑でした。しかし、自由視点映像生成技術である 4D Viewsを目の当たりにして、このリアルタイム転送の開発について社内の説得に走ったのです。クレッセントとの協創がなければ、今までの実験も上手く行かなかったでしょう。知り合って4年、やはりお互いの信頼関係は年々強くなっていると思います。こちらの無茶なオファーも決して断りませんし(笑)。

――今後、5G×VRはどのように発展し、社会に浸透していくと思いますか。

的場氏:ゲームやエンタメだけではない、仮想空間でいろんなことをできるようにしていくのが理想です。例えば働き方改革。わざわざ会社に行かなくても、上司と連絡を取ったり、同僚とチームワークを取って仕事をしたりといったことがVRやMR(Mixed Reality、複合現実)でできるようになれば、もはやどこに住んでいるかは問題にならなくなります。このように、究極の生産性向上ツールとして機能する可能性があるのです。

 そこまでの進化を想定すると、いかに仮想感を消していくかも重要になってきます。それらは通信技術だけではなく、クラウド、デバイス、アプリなどいろんな技術の総合力で決まってくる。そのため、5G Tokyo Bay Summitに参加していただいているさまざまな会社とタッグを組んでいく必要があると考えています。規模は問いません。ぜひドコモと一緒に開拓していきましょう。

小谷氏:今はまだ、ほとんどの人が“5Gが来る”ことを想像できていないと思います。でも昔のISDNのように、普及した途端に一気に当たり前になるような“ホットな興奮”が5Gにも感じられます。

 我々からすると、5GはVRを外に持ち出せる強力なインフラです。例えば映画のロケ先で超高精細なVRを確認したいとなったとき、今は重装備のPCが必須になりますが、いつでも持ち込めるわけではなりません。データを楽に転送できるようになれば、そうしたニーズにも難なく応えることができます。これは医療や建築など、いろんな業界に当てはまるはずです。そうした意味でも、5Gがビジネスを加速するインフラであるのは間違いないですね。

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