日経 xTECH元年 特別トップインタビュー

NXPジャパン

戦略的な市場のフォーカスでさらなる飛躍を

新体制「NXP 3.0」により
次のステージへ向け
始動

NXPジャパン
代表取締役社長

原島 弘明

世界屈指の半導体メーカーであるNXP Semiconductors社は、認証ICや高性能ミックスド・シグナル製品、プロセッサー、マイコンをはじめ、保有するさまざまな技術を組み合わせたソリューション展開で市場を牽引してきた。そして2018年、さらなる飛躍を目指して、次なるステージ「NXP 3.0」を発表。NXP Semiconductors、Regional Vice President およびNXPジャパン代表取締役社長の原島弘明氏に詳しく聞いた。

NXPとしての2019年の事業計画をお聞かせください。

原島 これまでNXPの事業をご紹介する際には、ビジネスユニットごとに分類してお伝えしていました。しかしこれからは、戦略的にフォーカスするマーケットを縦軸に定めてメッセージをお伝えしていきます。それが、「オートモーティブ」「インダストリアル&IoT」「モバイル」、そして「コミュニケーション、インフラストラクチャー」の4つの分野です。

 まず、当社の売り上げ92.6億ドルのうち49%を占める「オートモーティブ」は、ロングレンジな開発で堅調です。「インダストリアル&IoT」は、従来のセキュリティやコネクティビティ事業部門にあたりますが、今後さらに注力すべき分野と考えています。「モバイル」における当社の強みは、モバイルペイメントや認証、セキュリティなどのソリューションです。また、「コミュニケーション、インフラストラクチャー」は、安定市場にあり、来る5Gの波は当社の製品を生かせる分野です。

 これら4つのフォーカス分野では、人工知能(AI)や機械学習(ML)、データ分析やさまざまなサービスを利用するためのクラウド・インフラストラクチャーだけではなく、IoTのエッジやノード側の発展が期待されます。そこでNXPが得意とするのは、2015年のFreescale Semiconductor社の経営統合で得たMCUやMPUのようなプロセッサー技術、コネクティビティ技術、そして今後のつながる時代に欠かせないセキュリティ技術です。これらの技術をドライバーとして、あらゆる領域へ製品を展開していきます。

市場をリードする注力事業

特に強みとするオートモーティブにおける戦略をお聞かせください。

原島 NXPは車載向け半導体でグローバルシェア1位の13%のシェアを持っていますが、市場をリードしてきた技術やアプリケーションを今後さらに強化していくつもりです。2018年から2021年までにかけてのオートモーティブ市場における年平均成長率(CAGR)は5~7%を示していますが、NXPではその上をいく7~10%で成長の目標を掲げ、さらなるシェア拡大を目指しています。

 ADASなど将来の自動運転に向けた技術をつくり上げていくのはもちろん、従来のコアビジネスである、カーラジオやアプリケーション・プロセッサーによるインフォテインメント、パワートレイン向けのマイコン、RF製品を利用したキーレスエントリなどによるセキュアカーアクセスほか市場をリードする分野においても、引き続き今後の成長の糧としていきます。

具体的にどのようにしてオートモーティブ分野の成長を加速するのでしょうか。

原島 まずは自動運転、電動化、コネクティビティといったクルマのメガトレンドをしっかりと捉えていくことです。現在は機能を追加する場合、個別のECUを既存のインターフェースに追加していく、分散型アーキテクチャーと呼ばれる状態です。しかしそれでは処理が追い付かなく、ワイヤハーネスも増加の一途をたどっていきます。また、ECUごとにソフトウエアを開発、改変していくのは大きな負担になっています。この課題に対応すべく、ドメイン・アーキテクチャーへの移行が始まっています。

 ドメイン・アーキテクチャーとは、パワートレイン、ボディ、AD/ADAS、インフォテインメント、コネクティビティなど類似機能ごとにドメインとして分離し、機能や処理を最適化することです。ソフトウエアの再利用性も高まり、高い処理性能とともにドメインごとのセキュアな対応も実現でき、これからのコネクテッドカー時代に最適なアーキテクチャーといえるでしょう。NXPではすべてのドメインにおいて共通ハードウエア・アーキテクチャーで開発を可能にする「S32車載プロセッシング・プラットフォーム」をリリースすることで、いち早くこの動きをサポートしています。

インダストリアル&IoTについてはいかがでしょうか。

原島 この分野のCAGRは2021年までに3~5%の成長が見込まれていますが、当社ではその2倍以上をいく8~11%の成長率を目標としています。そもそもインダストリアル&IoTは、オートモーティブよりも大きな市場です。機器、システムや工場はこれまでのクローズドの環境からオープンでネットワーク化され、さらに標準化への対応が必要になります。またすべてをクラウドで処理するのではなく、レイテンシーやネットワーク帯域の課題、プライバシー保護の観点により、AIの活用なども含めエッジ側でのインテリジェンスが求められます。当社が市場をリードする上でカギとなるのは、長年培ってきたセキュリティやネットワークの知見、そしてスケーラビリティーの高いプロセッサー製品群だと考えています。通信処理のスピードや複雑性が求められる中で、当社はローエンドの「LPC/Kinetisマイコン」からミッドレンジ/ハイエンドの「i.MX/Layerscapeアプリケーション・プロセッサー」まで、幅広いArm®製品ポートフォリオを持っているため、ソフトウエアの互換性も保っています。

 また、マイコンのリアルタイム動作とプロセッサーレベルの機能を備えた「i.MX RTクロスオーバー・プロセッサー」にも力を入れています。高度な演算と、マイコン並みの使い勝手を両立させた新しいクラスのプロセッサーです。

「NXP 3.0」始動

市場戦略の刷新に合わせて、組織体制も変化があったのでしょうか。

原島 これまで製品ファミリごとにビジネスユニットが独立していましたが、2018年9月にすべての製品部門を統合しました。単体の部品ビジネスではなく、半導体ソリューションとして提供していくにあたり、各製品部門のコラボレーションを強化するためです。2006年にPhilips社からNXP Semiconductorsとして独立したときを第1のフェーズ、2015年にFreescaleとの経営統合を実現したときを第2のフェーズと考え、当社では今回の組織体制の変更を「NXP 3.0」としています。

 2019年は市場の伸びを超える成長を見込んでいます。オートモーティブやインダストリアルの市場は確実に成長していきます。さらに、スマートオーディオなどで新たなビジネスも生まれています。先に掲げた4つの分野にフォーカスし、当社の技術をコラボレーションしたソリューションを提供していくことで、さまざまな可能性を視野に入れた取り組みを行っていくつもりです。

お問い合わせ

NXPジャパン株式会社
〒150-6024 東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー24F
URL:https://www.nxp.com/jp/