なぜいまAutonomous(自律型)クラウドが求められるのか? AIの進歩によりIT運用管理は自律型の時代へ

企業のビジネス変革の推進においては、積極的なデータ活用こそが不可欠だ。しかし、そのためのITインフラの構築、運用、維持には多大なコストと労力が必要で、それが企業のデータ活用に向けた足かせになっているケースも少なくない。オラクルの発表した世界初の自律型データベースである「Oracle Autonomous Database Cloud」は、AIや機械学習の技術を用いて自動的なデータベースの構築・運用を実現。企業の直面するそうした課題を解消している。
識者に聞く

Autonomous(自律型)クラウドが今後のトレンドになる背景

デジタルトランスフォーメーション、データドリブン経営などのキーワードが、いま企業の間で大きく取りざたされている。その根源をなす取り組みとして、企業における重要なテーマとなっているのが、日々のビジネスの中で蓄積されるデータの活用である。とはいえ、データ活用のためのインフラ環境の整備やその維持では、高額な初期投資や増え続けるデータに対し、データベースのチューニングを含めた複雑な運用管理が企業に大きな負担を強いる状況になっている。

これに対しオラクルでは、2017年10月に米国サンフランシスコで開催された「Oracle OpenWorld」において、世界初の自律型データベースである「Oracle Autonomous Database Cloud」を発表した。“Autonomous”の名称が示す通り、データベースの構築・運用にかかわる一連の作業の“自律化”を実現したクラウドサービスとなっている。

「Oracle Autonomous Database Cloudでは、AI、機械学習の技術を適用することで、自己管理(Self-Managing)、自己保護(Self-Securing)、そして自己修復(Self-Repairing)という3つの視点での自律化を実現しています」と日本オラクルの竹爪慎治氏は紹介する。

まず、自己管理ではデータベースのプロビジョニングから保護、モニタリング、バックアップ、復旧、トラブルシューティング、チューニングといった一連の作業を、人手を介さずにクラウドサービス側で実施。また、自己保護については、外部からの攻撃や内部ユーザーによる悪意ある利用からデータを守るとともに、セキュリティパッチの適用なども自動化する。さらに、自己修復では、99.995%といった高いSLAを実現するために、計画停止なども含めてシステムのダウンタイムを極小化にしていくことを目指している。

「オラクルでは、Autonomous Database Cloudを皮切りに、「Oracle Autonomous Cloud Platform」として、データの管理に始まり、アプリケーション開発やボットなどを用いたユーザーとの対話、データ連携、さらにはセキュリティマネジメントやアナリティクスの部分にもAIや機械学習を活用した自律化を積極的に展開します。Autonomous Cloud Platformを、自社のPaaS、IaaS領域におけるフラッグシップとして位置づけており、今後もサービスのさらなる拡充により、お客様のデータドリブン経営、イノベーション創出を軸としたビジネス変革のイネーブラとしての役割を果たしていきたいと考えています」と竹爪氏は語る。

日本オラクル株式会社 執行役員 クラウドソリューション営業統括 竹爪 慎治氏
日本オラクル株式会社
執行役員
クラウドソリューション営業統括
竹爪 慎治氏

簡単・高速・低コストのデータ活用、複雑なデータ管理もクラウド任せ

このAutonomous Database Cloudの1つのサービスラインナップとして、2018年3月にリリースされたのが「Oracle Autonomous Data Warehouse Cloud」である。これは、その名称からも明らかな通り、データウエアハウス用途に特化したサービスで、データ活用に伴うデータベースの構築・運用にかかわる煩雑な業務からデータベース管理者(DBA)を解放するものとなっている。

これまでデータウエアハウスは、クラウド上での利用であってもDBAがリソースのサイジングから論理設計、物理設計といった具合で数週間ないしは数カ月を要する準備作業をかけて構築し、さらに運用開始後も必要に応じてパフォーマンスチューニングやデータの再配置を行うなど、多大な時間と労力をかけて維持管理をしてきた。

「Autonomous Data Warehouse Cloudでは、管理者はポリシーを設定するだけです。データインフラに詳しくなくても、高性能で高可用性を実現するデータウエアハウスをすぐに構築することができます」と日本オラクルの佐藤裕之氏は説明する。Autonomous Data Warehouse Cloudでは、数十秒でチューニング済みのデータウエアハウスの構築が可能で、あわせてSLAについても、最大99.995%という稼働率を達成している。

また、これについて竹爪氏は「こうした自動化や可用性の担保については、オラクルが提供するデータベース製品の中で長きにわたり培ってきた技術を適切に組み合わせ、あるいは改良を施して適用したものです。そうした意味で、40年ものデータベース領域での技術の蓄積と最新技術であるAI、機械学習を融合させて初めて実現したものと言えます」と語る。

なお、このAutonomous Data Warehouse Cloudについて、オラクルのパートナー企業であるアシストが先行検証を実施している。その結果についてアシストは、「オンプレミス環境のデータウエアハウスとの比較では、20分の1程度のSQLチューニングの工数で、検索処理時間が10分の1に短縮されるという圧倒的に簡便な運用管理性と、高度な性能が確認」と評価している。

その自律化機能によって、データウエアハウスの構築・運用に多大な工数削減効果をもたらすAutonomous Data Warehouse Cloudだが、企業にとってコスト面でのアドバンテージが大きいことも特筆される。「同種のサービスの多くがCPUとストレージをセットで提供しているのに対し、Autonomous Data Warehouse CloudではCPUとストレージがそれぞれ個別に設定できかつ従量課金となっています。状況に応じて、それぞれオンラインで拡張/縮退することが可能なので、ピーク時に性能を最大化させながら利用料金の最適化が図れます」と佐藤氏は説明する。また、オラクルの柔軟なクラウド購入形態である「Universal Credits」の契約でAutonomous Data Warehouse Cloudは利用可能であり、既存のライセンスを持ち込む「Bring Your Own License(BYOL)」も適用可能である。コストパフォーマンスでも他社のクラウドに比べて大きなメリットを実現できるという。

日本オラクル株式会社 クラウド・テクノロジー事業統括 Cloud Platformビジネス推進本部 本部長 佐藤 裕之氏
日本オラクル株式会社
クラウド・テクノロジー事業統括
Cloud Platformビジネス推進本部 本部長
佐藤 裕之氏

AIの進歩により人がなすべき仕事は、さらに高付加価値を生み出す領域へ

第4次産業革命がグローバルな潮流として国内企業に押し寄せている状況にあって、その駆動力となるデジタル技術の活用にかかわる視点を欠いて、もはやビジネスは語れない時代が到来している。そうした中、企業では顧客などに向けた対外的な業務の側面でデジタル技術の利用が活性化している一方、これまであまり進んでいるとは言えなかった人事や財務会計などの間接部門の業務においても、昨今の働き方改革への取り組みを契機として積極的な活用へと舵を切る企業が増えている。

働き方改革において最も重要な要求となるのは、言うまでもなく生産性の向上である。もっとも生産性には、いわば“分母”と“分子”があり、分母にあたるのが標準化可能なプロセスにおいて、例えばRPAなどのデジタル技術を適用することによりもたらされる「効率化」である。一方、標準化が困難で人でなければ対応できないプロセスにおける「個別化」が分子にあたる。つまり、生産性の向上には、これら2つの側面を意識した取り組みが必要となるわけだ。

最近のAI、機械学習の進歩は、これまで人でしか対応できないと考えられてきたプロセスについてのシステム化の可能性を急速に広げつつある。さらに言うなら、到底人では処理しきれないような膨大なパラメータ、複雑な条件によって解を求めるといったこともできるようになっている。システムの自律的な運用の実現もその一つの表れである。こうしたことは、人がさらに個別化された付加価値の高い領域に注力していける環境が整ってきているということにほかならない。

慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 特任教授 岩本 隆氏
慶應義塾大学大学院
経営管理研究科
特任教授
岩本 隆氏

日本モトローラ、ノキア・ジャパン、ドリームインキュベータ(DI)などを経て、2012年より現職。グローバル企業での最先端技術の研究開発や組織のマネジメント経験を活かし、戦略コンサルティングの新領域を開拓。慶應義塾大学では産業プロデュース論を専門領域として、新産業創出に関わる研究を行っている。

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