APC by Schneider Electric ものづくりのデジタル化で迫られる電源のリスク管理 シュナイダーエレクトリック株式会社

「コネクテッドインダストリーズ」「Industry 4.0」「Industrial Internet」など様々な枠組みによって進みつつあるものづくりのデジタル化。この動きに伴って、生産現場の制御関連機器についてもビジネスを止めない“可用性”が求められるようになった。そのために欠かせないのが、予期せぬ停電や瞬低などの電源障害による、生産ラインの停止やシステムの障害のリスクから保護するための無停電電源装置(UPS)だ。耐環境性に優れ、生産現場向けにも最適なUPSとして、シュナイダーエレクトリックは「SecureUPS」を2018年11月に発表した。

ものづくりのデジタル化で生産現場にも電源のリスク管理が必要に

シュナイダーエレクトリック株式会社
IT Business
事業開発本部
プロダクトマネージャー
今野 良昭

生産現場は以前から外部とインターネットなどで接続されていたが、プロセスチェーンやサプライチェーンが高速化するにつれて、データセンターまでの距離に起因するレイテンシー(遅延)の増大が課題として浮上している。シュナイダーエレクトリックでビジネスデベロップメントに携わる今野良昭氏は、「ものづくりのデジタル化と産業IoT(IIoT)の進展につれて、生産現場では端末の近くにサーバーを置く『エッジコンピューティング』が多く使われるようになりました」と現状を説明する。加えて、機密データのセキュリティ対策の面からも、データ処理のローカル化と分散化が進行している。

「ただ、現状では、停電対策がまったく取られていないローカルエッジが数多く存在しています」と、今野氏。これからのデジタル時代におけるデータ処理を確実なものとするには、産業用パソコン、プロコン(PLC)、表示器(HMI)といった制御関連機器についても、予期せぬ電源障害による損失を防ぐために、電源インフラまわりの整備を考える時期が来たと言える。電源のリスク管理は、ビジネス継続性(BCP)やディザスターリカバリー(DR)を担保するためにも重要である。

このような背景のもと、シュナイダーエレクトリックはIIoT環境での使用に適した、常時インバーター方式の小型無停電電源装置(UPS)「SecureUPS」を2018年11月20日に発表した。

明確な市場ニーズに応えグローバルで開発

シュナイダーエレクトリック株式会社
リージョナルオファーマネージャー
宮坂 美樹

シュナイダーエレクトリックでSecureUPSの製品企画がスタートしたのは、2017年の夏のこと。プロダクトマーケティングを担当する宮坂美樹氏は、「インダストリー事業部のお客様から聞き取ったご要望を基に、生産現場でも安心してお使いいただけるUPSをつくることを目指すプロジェクトとして開始しました」と振り返る。

この時点ではっきりしていたニーズは、「従来の産業用UPSよりも小型・低価格であること」「家庭やオフィス向けよりも高い電源品質が得られること」「瞬間的にも電力供給が断たれないこと」「一般の工場で発生する温度とほこりに耐えられること」の4点。

「要求事項がとても明確になっており、弊社としてもデータセンターやサーバールーム向け以外の“非IT”市場に魅力を感じていたので、2017年末から設計と開発に本格的に取りかかりました」と宮坂氏は説明する。

市場ニーズは日本のものだが、シュナイダーエレクトリックの海外本社においてもグローバルでニーズがあると判断。設計や開発は、米国やインドで分担して進められた。「生産現場向けのUPSを短期間につくり出すことはシュナイダーエレクトリック・グループにとっても大変なことでしたが、長年にわたって培われてきたAPCブランドのUPS設計・開発のノウハウと各国チームの努力によって、1年に満たない早さでリリースできました」と宮坂氏は振り返る。

日本から世界へ 電源からものづくりのデジタル化を支える

こうして出来上がったSecureUPSは、幅432mm×奥行き505mm×高さ85mm(2U相当)のサイズ。バッテリー込みの質量は約23kgだ。ラックマウントのほか横置き/縦置きにも対応しているので、19インチラックがない場所にも設置できる。動作状況の表示と各種設定に使われる液晶パネルは手で回転できる仕組みになっており、縦置きにした場合も問題なく操作できる。

SecureUPSはラックマウントのほか、横置き/縦置きにも対応している

また、高い電源品質と無瞬断切り替えを実現するために、UPSの動作方式としては、もっとも信頼性が高い方式である「常時インバーター給電方式」を採用。生産現場で使われる機器の寿命(5~10年)に合わせて、バッテリーには期待寿命が8年(周囲温度5~25℃時)の超長寿命タイプを採用した。入力側の商用電源は単相AC100/110/115/120V、最大出力容量は750VA/675W(SecureUPS Online 750VAモデル)または1kVA/900W(同1000VAモデル)となっている。

「力率は業界トップクラスの0.9ですから、より多くの機器に電力を供給することが可能。最大10台まで追加できる拡張バッテリーを併用すれば、最大352分(750VA/675W時)まで給電時間を伸ばすこともできます」と今野氏はアピールする。

製造装置へのUPS活用例(接続構成)
製造装置へのUPS活用例(接続構成)

SecureUPSのもう1つの特長は、温度と塵埃などの条件が恵まれていない場所でも使える点にある。使用環境は、温度がマイナス10~55℃、湿度が0~95%(ただし結露なきこと)の範囲であれば対応可能。塵埃についても、製品に添付されたダストフィルターを装着することによって汚染度3(一般の工場レベル)まで耐えられる。

汚染度はIEC 60664-1によって規定されており、機器が使用される空気中のほこりなどの汚染により1~4の段階に分類されている。汚染度1はクリーンルーム、2は事務所、3は工場、4は屋外を主に定義している。

「屋外での使用には対応していませんが、粉塵や機械工作の切削粉が舞っている工場内でも保護ケースなしで運用できます」と、今野氏。鉄道会社なら、運行管理設備、券売機、自動改札機といった構内設備用のバックアップ電源としても活用できるという。

なお、SecureUPSはEUのRoHS 2指令にも完全に対応済み。内部のグリーン調達基準としてRoHS 2相当を義務付けている企業でも、安心して採用できる。

さらに、より耐久性の高い部品とバッテリーに超長寿命タイプを採用したことの結果として、サポート期間もシュナイダーエレクトリックの従来のUPS製品より長くなっている。「従来は無償の標準保証が2年、有償の延長保証が4年、合わせて6年となっていました。SecureUPSではこの標準保証を1年伸ばして3年とし、合わせて最長7年の保証をご提供しています」と、今野氏。この無償保証と延長保証にはバッテリー交換保証も含まれているので、長期間運用するのであれば、7年間フルに加入したほうがいいだろう。

「このSecureUPSは日本の要望から生まれた製品ですので、日本市場に先行投入することにしました」と、宮坂氏。米国やその他の国・地域向けにも、これをベースとした製品を提供する予定だという。

IIoTの普及によって急速に進行しつつある、ものづくりのデジタル化。その実現には、ネットワーク経路上のすべてのシステムを常時オンにしておくことが前提となる。この要請に電源の面から応えるのが、シュナイダーエレクトリックのAPCブランドから提供するUPS製品だ。新登場のSecureUPSは、IIoT環境に欠くことのできない存在となるに違いない。

「SecureUPSを世界で普及させたい」と製品担当の2人

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シュナイダーエレクトリック株式会社
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